持続的な企業価値向上のために求められる資本コスト経営とは
東京証券取引所が2015年に公表したコーポレートガバナンス・コードを皮切りに本格的に始動したコーポレートガバナンス改革によって、日本企業には持続的成長と中長期的な企業価値向上が求められてきました。しかしながら、日本企業のPBRやROEといった指標は依然として米国や欧州企業と比較して低い水準にあり、資本コストを踏まえた企業価値向上策の実行力が問われています。企業は資本コストや株価を意識した経営をどのようにして推進していくべきでしょうか。その背景にある本質的な課題の所在と解決策を探ります。
特集
資本コストや株価を意識した経営を実現するために~日本企業の持続的成長と企業価値向上のための戦略と課題~
日本企業の持続的成長と中長期的な企業価値向上が課題となるなか、東京証券取引所(以下、「東証」という)は2023年3月31日に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応等に関するお願いについて」というリリースを発表し、企業の資本収益性の向上を促す取組みを進めています。しかし、多くの企業で資本コストへの理解や事業ポートフォリオの見直しが不十分であり、さらなる改善が求められています。
企業価値向上に向けた日本企業の取組みの現状はどうなっているか、課題はどこにあるのか、また、東証の市場区分ごとに企業の成長をどのように支援していくべきかなどについて、株式会社東京証券取引所上場部企画グループ統括課長の池田 直隆氏に伺いました。
インタビュー= あずさ監査法人 土屋 大輔
少子高齢化が進行するにしたがい、日本の国内市場は縮小していくことが見込まれています。そこで、政府は新しい資本主義を実現するために「スタートアップ育成5か年計画」を決定しました。終戦直後の第1次ベンチャーブームが日本経済を復興させたように、第2次ベンチャーブームを起こすことで持続可能な経済社会を実現しようという壮大な挑戦です。その「スタートアップ育成5か年計画」決定から1 年、見えてきたのは「人材」という大きな壁でした。「スタートアップ×人材」シリーズは、官公庁、スタートアップ企業、アカデミアから有識者をお招きし、プロフェッショナル人材領域にフォーカスしてご意見を伺う短期集中連載です。
Vol.68/2024年9月号
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