ESGの取組みのうち、気候変動は最も差し迫ったリスクの1つとして地球規模での対応が求められています。企業にとって脱炭素化は、リスクであると同時に自社の競争力を向上させる新たな機会になっています。企業は自社を取り巻く事業環境の重要な要素として気候変動を捉え、脱炭素化を経営戦略の一環として進めることが求められています。

KPMGは、企業が「ネットゼロ」を目標に掲げるだけでなく、戦略的な意思決定を支援する「カーボンマネジメント」を構築し、目標達成に向けて実行するための支援を行います。

カーボンマネジメントとは

脱炭素化(ネットゼロ、カーボンニュートラル)の取組みは、2015年にパリ協定が採択されて以降、国内外で目まぐるしく進展しており、新型コロナウイルス感染症や国際情勢といった危機を経ても流れは変わりません。

企業の脱炭素化の取組みは、政策や技術発展などの不確実な要因に左右され、産業や業種ごとにGHG(温室効果ガス)排出削減の難易度は異なるため、各企業は独自の削減戦略を立案する必要があります。また、原料調達・製造・物流・販売・使用・廃棄までを含めたサプライチェーン全体でGHG排出削減を達成しなければならない点も、取組みを複雑にします。

KPMGは、企業が実効性をもって着実にカーボンニュートラルを実践するための考え方として「カーボンマネジメント」を提唱しています。

KPMGによる支援

カーボンニュートラルの達成には、広範囲かつ長期的な取組みが必要です。この長い道のりを成功に導くには、現状把握から戦略策定、施策の実行、ステークホルダーへの開示に至るまでの「カーボンマネジメント」が必要です。

KPMGは、企業のカーボンニュートラル実現に向けた取組みを成功に導くためにワンストップで支援します。

【カーボンマネジメントの流れ】

脱炭素化に向けたカーボンマネジメント構築支援_図表1

ステップ1.現状把握

カーボンニュートラル達成への取組みをスタートするにあたり、まず現状を把握するため自社の事業に関連する排出量とホットスポットを明らかにする必要があります。

本ステップでは、算定対象とする組織やGHGの種類を定義したうえで、自社の排出源を特定してエネルギー使用量等を取得し、排出場所がある国・地域等に応じた排出係数を適用することで、排出量を算定します。

KPMGは、排出量算定のポイントであるGHGプロトコル等の手法に基づく算定を、実務レベルでの知見をもとに支援します。

【現状把握の流れ】

脱炭素化に向けたカーボンマネジメント構築支援_図表2

ステップ2.カーボンニュートラルストラテジー策定

カーボンニュートラル達成に向けた取組みにおいては、気候変動が将来的に社会・経済および自社の事業活動に与えるポジティブ・ネガティブ両方の影響を把握し、カーボンニュートラル社会への移行に向けて戦略的に対応する必要があります。

本ステップでは、自社とサプライチェーンにおける気候変動リスク・機会を特定したうえで、GHG削減戦略を策定し、SBT等の国際基準に基づき削減目標(ネットゼロ目標)を設定します。

KPMGは、企業の現状を踏まえたリスク・機会の特定と評価、経営方針や事業の方向性に資するGHG削減戦略の検討と策定など、企業がカーボンニュートラルを実現するための目標やロードマップの策定を支援します。

【カーボンニュートラルストラテジー策定におけるキーポイント】

Why なぜ取り組むのか カーボンニュートラルに取り組む必要性を明確にし、社内外に発信する
What どのような目標か SBT等の国際基準に基づき、自社およびサプライチェーンの状況を踏まえて排出量削減戦略や数値目標、ロードマップを設定する
How どのように達成するのか 設定された削減目標値の達成に向けて、自社が取り組むべき施策を明らかにする(進捗にあわせて、柔軟に施策の見直し等も行う)

ステップ3.カーボンニュートラル施策立案

企業がGHG排出量を削減するには、事業形態に合った有効な施策を選定するとともに、複数の施策を組み合わせて実効性を確保する必要があります。

本ステップでは、「ステップ1.現状把握」で明らかにした排出源ごとに有効な削減施策を特定したうえで、優先順位とタイムラインをロードマップに落とし込みます。    

KPMGは、外部トレンドを踏まえた施策の選定から、各種規制での活用度や自社にとっての意義、実行難易度等を考慮した優先順位付け、およびロードマップの策定を支援します。

【ネットゼロ施策の例】

施策の方向性 内容 施策例
省エネルギー エネルギー使用量を減らす
  • エネルギー効率化:LED照明、ハイブリッド車など高効率な設備を導入
  • プロセス改革:エネルギー消費が少ない業務プロセスに変更
    (出張をリモート会議へ切り替えるなど)
再生可能エネルギーの導入 太陽光や風力などGHGを排出しない方法で生み出された電力等に切り替える
  • 自家発電:太陽光や風力等の発電設備を自社所有して事業用電力を発電
  • 電力販売契約(PPA):自社敷地内や遠隔地で第三者が発電した再エネ由来の電力を購入
  • エネルギー属性証明書(EAC):再エネ由来の電力等が持つ再エネ価値を購入
  • 電気自動車(EV):再エネ電力を動力源とするEVを導入
サプライチェーンへの貢献献 サプライチェーンにおけるGHG排出量を削減、または削減を支援する
  • サプライチェーンエンゲージメント:サプライヤーへの働きかけにより、主にサプライチェーン上流の排出量を削減
  • 低炭素製品・サービス:使用時のGHG排出量が少ない製品・サービスを提供することにより、サプライチェーン下流の排出量を削減
オフセット 削減努力を行ったうえでどうしても削減できない排出量を相殺する
  • カーボンクレジット:自社サプライチェーン外の事業者等による削減量を購入(再エネ導入によるGHG排出量削減や植林によるGHG固定・吸収など)

ステップ4.社内体制とデジタルプラットフォームの構築

“ネットゼロ”の目標年は2030年や2050年などに設定されており、通常の経営計画と比べて極めて長い時間軸で取り組まなくてはなりません。この道のりを着実に進むには、GHG排出量削減施策の実行状況と効果をモニタリングするマネジメントサイクルが必要です。

本ステップでは、中長期的にGHG排出量の算定や削減施策の実行を管理し、目標達成へとつなげていくための社内体制の構築およびデジタルプラットフォームの導入・活用を行います。
Climate Accounting Infrastructure®は、GHG排出源・排出量を適切に把握・可視化するとともに、実行した削減施策の効果を定常的・継続的にモニタリングし、経営戦略の文脈で意思決定した内容を開示する一連のマネジメントサイクルを管理するために、KPMGが考案したフレームワークです。

KPMGは、このClimate Accounting Infrastructureを活用することで、規制や開示要求が刻々と変化する状況においても、データに基づいた戦略的な意思決定を行うための社内体制やガバナンス、デジタルプラットフォームの構築を支援します。

ステップ5.業務定着化と開示

投資家や消費者、取引先等のステークホルダーによる気候変動開示の要請はますます厳格化しており、国内外の規制も目まぐるしく変化しています。ステークホルダーは企業の脱炭素化の取組み状況をみて意思決定する傾向が強まっており、定性・定量の両面から説明を尽くすことが期待されています。

本ステップでは、構築した社内体制とデジタルプラットフォームに基づき、削減施策の実行から、GHG排出量の算定・分析による効果測定、ステークホルダーへ開示するまでのサイクルを実行します。

KPMGは、企業が開示要求や規制に着実に対応するとともに、社内外の意識醸成等を通じた行動変容によって施策効果を高め、カーボンニュートラルを達成できるよう支援します。

【Climate Accounting Infrastructure®】

脱炭素化に向けたカーボンマネジメント構築支援_図表3

※Climate Accounting Infrastructureは、KPMGコンサルティング株式会社の日本における登録商標です。

各ステップにおけるKPMGの提供サービス

ステップ 内容 提供サービス
1 現状把握
2 カーボンニュートラルストラテジー策定
  • 気候変動シナリオ分析支援
  • KPMGが設計した気候変動シナリオの定量化分析ツール(KPMG Climate IQ)の導入支援
  • 脱炭素化戦略策定支援(カーボンニュートラルストラテジー策定支援)
3 カーボンニュートラル施策立案
4 社内体制とデジタルプラットフォームの構築
  • カーボントラッキング体制構築・デジタルプラットフォーム導入支援(Climate Accounting Infrastructure導入支援)
5 業務定着化と開示

関連サービス/関連リンク

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