リニアエコノミーと呼ばれる直線的な経済システムのもとでは、資源は「採る・作る・廃棄する」ものであるとの認識が一般的でした。しかし、人口増加や資源の過剰使用に伴い、気候変動に対する影響や資源の価格高騰による調達コストの増加など、企業の潜在的リスク(リニアリスク)が顕在化しつつあります。リニアエコノミーから脱却するために、「サーキュラーエコノミー」と呼ばれるシステムへの根本的な変革の重要性が認識されはじめています。サーキュラーエコノミーでは、廃棄物の発生と天然資源の使用を最低限に抑え、資源と製品の経済価値を永続させ、物質(マテリアル)を循環させることで、再生可能な自然のサイクルを取り戻します。
リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの移行に伴い、企業には資源・製品の価値保全のインセンティブが働くことになります。資源投入・消費を抑えストックの有効活用を促しながら、同時に収益性を確保するには、製品売切り型のビジネス(リニア型価値創造)から、製品のオーナーシップを企業が保持したまま、顧客から製品の利用に応じて対価を得る、「物から事へ、そして時へ」という言葉で表されるサーキュラー型価値創造へと、ビジネスモデルを変えていく必要があります。具体的には、修繕・メンテナンスを行って自社製品の価値を可能な限り維持し、さらには再利用・リファービッシュ・リサイクルなどの取組みによって、資源・製品の価値を可能な限り再活用するビジネスモデルへの変革が求められます。
KPMGは、企業のサーキュラーエコノミーへの移行による企業価値向上の取組みを支援します。
KPMGの支援内容
【紹介動画】 サーキュラーエコノミーの概念と移行に向けた取組み
循環性評価指標の導入・分析支援
企業が自社のビジネスをサーキュラーなものに移行するためには、自社の”サーキュラリティ”、すなわち製品や資源の価値を永続的に再生できる能力への理解を深めること、さらには資源循環性を測る「サーキュラリティ指標」を用いて、サーキュラーパフォーマンスの目標設定や測定を定量化する必要があります。
企業が自社のサーキュラリティに関するパフォーマンスを把握するには、マテリアルフローの理解に基づいた適切なサーキュラリティ指標を設定し、一貫した測定方法で算定、分析していく必要があります。サーキュラリティ指標の分析は、関連するリスクと機会の把握、さらに今後のアクションプラン策定、意思決定のプロセスに大きく役立ちます。
KPMGが導入・分析するサーキュラリティ指標は、製造に投入された全マテリアル(インフロー)のうち、過去に使用、または消費されていない資源(バージン資源)の投入はどのくらいの割合かといったシンプルな指標から、「サーキュラー・トランジション・インデックス(CTI)」という高度な指標まで、幅広く柔軟に対応しています。
KPMGのサーキュラリティ指標導入・分析支援は、3つのフェーズに分けて実行されます。
サーキュラー型収益モデルへの移行推進支援
企業が自社のビジネスをサーキュラーなものへと移行する際の大きな論点として、対象となるビジネスの収益モデルの検討が挙げられます。サーキュラー型ビジネスへの移行とともに収益性の向上を実現するため、企業は自社製品の特性・価格帯や顧客属性などによって、自社ビジネスに最適な収益モデルを選択する必要があります。
KPMGは、豊富な知見とグローバルの先進事例の活用により、企業のサーキュラー型ビジネスへの移行に伴う収益モデル策定に必要な取組みを支援します。
支援内容:
- 事業機会の検討とリスクの洗い出し
- 新しい収益モデルのビジネスケースの作成およびモデリング
- 会計/税務/Cash Flow上の論点整理
サーキュラー型オペレーションの構築支援
企業が現状のビジネスをサーキュラーなものに移行していくにあたっては、価値創造におけるインプット(製品の開発・製造)とアウトプット(利用~利用後)をサーキュラーな業務プロセスへと変革していくことが基本となります。
KPMGではそのようなサーキュラーなビジネスプロセスに移行するためのさまざまな支援を実施しています。
支援内容:
- 製品のメンテナンス等を通じた長寿命化
- 見込生産から受注生産への移行による廃棄ロスの削減
- 環境負荷、人権問題を踏まえた調達への切り替え
- 利用後の製品の回収、再生・再利用、再販売プロセスの整備、など