2024年10月号

1.企業会計基準委員会(ASBJ)、日本公認会計士協会(JICPA)及びサステナビリティ基準委員会(SSBJ)

今月、特にお知らせする事項はありません。

2.東京証券取引所

今月、特にお知らせする事項はありません。

3.金融庁

【改正】

「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」の改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について

金融庁は2024年10月25日、「『企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)』の改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について」を公表しました。本改正は、「有価証券報告書等の提出期限の承認の取扱い」(企業内容等開示ガイドライン24-13)において、既に有価証券報告書等の提出期限の延長承認を受けている発行者から当該承認の対象となった有価証券報告書等と同一の有価証券報告書等について、再度の延長承認の申請があった場合の取扱いと有価証券報告書等の延長承認に係る事務処理の留意点を明確化するものです。

また、有価証券報告書等の提出期限の承認の際のやむを得ない理由について、「サイバー攻撃等により財務諸表もしくは連結財務諸表を作成するために必要なデータを取得できないこと」が追記されています。

本改正は2024年10月25日から適用されます。

あずさ監査法人解説資料:ポイント解説速報(2024年10月30日)

4.法務省

今月、特にお知らせする事項はありません。

5.国際会計基準審議会(IASB)、IFRS解釈指針委員会(委員会)及び国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)

今月、特にお知らせする事項はありません。

6.米国財務会計基準審議会(FASB)

【公開草案(会計基準更新書案(ASU案))】

ASU案「無形資産ーのれん及びその他ー内部利用のソフトウェア(サブトピック350-40):内部利用のソフトウェアの会計処理に対する限定的な改善」

FASBは、2024年10月に内部利用のソフトウェアに関する規定を、アジャイル方式のような最新のソフトウェア開発手法に対してより適用しやすいものとすることを意図したASU案を公表しました。本ASU案では、ソフトウェア開発プロジェクトの時系列の開発段階に応じた会計処理の規定を削除したうえで、下記の2つを満たした時に費用の資産化を開始することが提案されています。

  •   経営者がソフトウェア開発プロジェクトを承認し、資金の拠出を約束(commit)している、かつ
  •  プロジェクトが完了し、意図された機能を実行する目的でソフトウェアが使用される可能性が高い(完了可能性要件)

本ASU案では、プロジェクトの完了可能性を評価する際に、企業はソフトウェアの開発活動に関連する重要な不確実性が存在するか否かについて検討することが提案されています。また、本ASU案では、資産化された内部利用のソフトウェアに関するキャッシュ・アウトフローを、キャッシュフロー計算書において投資活動区分内の独立した項目として表示することが提案されています。

他方、本ASU案では、外部利用のソフトウェアに関する既存の規定や、内部利用のソフトウェアについて資産化できる費用の性質に関する規定、内部利用のソフトウェアについて費用の資産化を終了する時点に関する規定については、変更は提案されていません。 

本ASU案は、適用開始日以降に発生する費用から将来に向けての適用又は遡及適用(完全遡及アプローチ)のどちらも認めることが提案されています。なお、本ASU案に基づく改訂の発効日及び早期適用が認められるかについては、本ASU案に寄せられるコメントを踏まえて決定されます。

コメントの募集期限は、2025年1月27日です。

KPMG関連資料:Defining Issues(英語)

 

ASU案「企業結合(トピック805)及び連結(トピック810):変動持分事業体の取得における会計上の取得企業の決定」

FASBは、2024年10月に法的な被取得企業が変動持分事業体(VIE)である場合の一部の企業結合における会計上の取得企業の決定に関する規定を変更し、VIE以外の企業の取得の際の規定と一致させるASU案を公表しました。現行の規定では、VIEの取得を伴う企業結合においてはVIEの主たる受益者が常に会計上の取得企業であると規定されており、VIEの取得を伴う企業結合(SPACを利用した取引を含む)を逆取得として会計処理することはできず、VIEの取得とVIE以外の企業の取得の会計処理に不一致が生じていました。

上記の課題を踏まえ、本ASU案では、事業の定義を満たすVIEの取得が主に持分(equity interest)の交換により行われる場合、サブトピック805-10のガイダンスを考慮して、会計上の取得企業を決定するようにすることが提案されています。他方、主に持分の交換以外の方法でVIEの取得が行われる場合に主たる受益者を常に会計上の取得企業とする規定については、変更の提案がされていません。

本ASU案は、適用開始日以降の取得から将来に向けて適用(早期適用可)することが提案されています。なお、本ASU案に基づく改訂の発効日は本ASU案に寄せられるコメントを踏まえて決定されます。

コメントの募集期限は、2024年12月16日です。

KPMG関連資料:Defining Issues(英語)

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計・開示プラクティス部

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