ASBJ、改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」を公表
企業会計基準委員会(ASBJ)は2025年3月11日に、組合等への出資に係る会計処理及び開示に関して、改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「本改正実務指針」という)を公表しました。本改正実務指針では、組合等への出資を行う企業の会計処理及び開示の規定の改正が行われています。
企業会計基準委員会(ASBJ)は2025年3月11日に、組合等への出資に係る会計処理及び開示に関して、改正移管指針第9号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「本改正実務指針」とい
Article Posted date
19 March 2025
ポイント
- 本改正実務指針により、以下の要件を満たす組合等への出資は、当該組合等の構成資産に含まれるすべての市場価格のない株式(出資者の子会社株式及び関連会社株式を除く)を時価評価し、組合等への出資者の会計処理の基礎とすることが認められます。時価評価を行う場合、評価差額の持分相当額は純資産の部に計上します。
- 組合等の運営者は出資された財産の運用を業としている者であること
- 組合等の決算において、組合等の構成資産である市場価格のない株式について時価をもって評価していること
- 上記の取扱いの対象とした市場価格のない株式については、時価のある有価証券の減損処理に関する定めに従った減損処理を行います。
- 会計処理に対応した追加の注記が求められています。
- 適用時期は、2026年4月1日以後開始する年度の期首からとし、2025年4月1日以後開始する年度の期首からの早期適用が認められます。また、適用初年度の経過措置が設けられています。
なお、いわゆる「総額法」、「折衷法」を採用している場合の会計処理、及び組合等が連結子会社に該当する場合の連結上の取扱いについての改正は行われていません。
2024年9月に公表された公開草案から、組合等の構成資産に含まれる出資者の子会社株式及び関連会社株式は時価評価の対象とはならない旨の明確化が行われました。また、ファンド・オブ・ファンズのように組合等が別の組合等に出資している場合の考え方も結論の背景に追加的に示されました。
PDFの内容
- 改正の経緯
- 本改正実務指針に基づく会計処理及び開示
- 適用時期及び経過措置
執筆者
会計・開示プラクティス部
パートナー 植木 恵
会計・開示プラクティス部
テクニカル・ディレクター 江﨑 千香
会計・開示プラクティス部
シニアマネジャー 渡辺 真理