法務省、「リースに関する会計基準」の公表等を受けた「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集を開始
2025年2月5日、法務省は、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」の公表等を受けて、「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集を開始しました(募集期間:2025年2月5日~2025年3月6日)。
2025年2月5日、法務省は、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」の公表等を受けて、「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集を開始しました(募集期間:202
1.改正の趣旨
本省令案は、企業会計基準委員会(以下、ASBJ)による企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」の公表等を受けて、会社計算規則(平成18年法務省第13号)について、所要の改正を行うものです。
2.改正の概要
ASBJによる企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」の公表等を受けて、以下の事項について修正を行うことを提案しています(企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の詳細は、ポイント解説ASBJ、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等を公表をご参照ください。)。
(1)定義規定につき所要の修正を行うとともに、その他の規定につき、これに伴う修正を行う。
(定義)
- リース物件から使用権資産に定義を修正(会社計算規則第2条第3項第56号)
- ファイナンス・リースの定義を修正(同第2条第3項第57号・58号・59号)
(資産の部)
- 有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産に掲げられているリース資産を使用権資産に修正(同第74条第3項第2号チ、第74条第3項第3号ヌ、第74条第3項第4号チ)
- 流動資産、投資その他の資産に掲げられているファイナンス・リースの用語を修正(同第74条第3項第1号二・ホ、第74条第3項第4号へ・ト)
(負債の部)
- 流動負債、固定負債に掲げられているリース債務をリース負債に修正(同第75条第2項第1号チ、第75条第2項第2号ト)
(2)リースに関する注記につき注記すべき事項を定める。
- リースに関する注記(同第98条第1項第11号、第2項第4号、第108条第1項)を追加。
- 会計方針に関する情報(借手のみ)
- リース特有の取引に関する情報
- 当期及び翌期以降のリースの金額を理解するための情報
- 連結計算書類を作成する株式会社は、上記(1)会計方針に関する情報を除き注記は不要(同第108条第2項)。
- 個別注記表に注記すべき上記(1)会計方針に関する情報が連結注記表に注記すべき事項と同一である場合において、個別注記表にその旨を注記するときは、個別注記表における当該注記は不要(同第108条第3項)。
- 「リースに関する会計基準」を適用しない場合における個別注記表におけるリースに関する注記を存置(同第108条第4項)。
(3)その他所要の整備を行う。
リース会計基準等の公表に伴い、他の会計基準等の改正が行われたことを受け、以下の修正を行う。
- 賃貸等不動産の定義の修正(同第2条第3項第70号)、賃貸等不動産の時価開示に関する修正(同第110条)。
- 金融商品の時価開示に関する修正(同第109条)。
3.施行日・経過措置
公布の日から施行予定です。ただし、以下の経過措置を設ける予定とされています。
- 改正後の会社計算規則(以下「新会社計算規則」という。)は、2027年4月1日以後に開始する事業年度及び連結会計年度に係る計算書類及び連結計算書類について適用し、同日前に開始する事業年度及び連結会計年度等に係るものについては、なお従前の例による。
- 2025年4月1日以後に開始する事業年度及び連結会計年度に係るものについては、新会社計算規則の規定を適用することができるものとする。
- 計算書類又は連結計算書類に初めて新会社計算規則の規定を適用する場合のリースに係る会計方針の変更については、「会計方針の変更に関する注記(新会社計算規則102条の2)」における計算書類又は連結計算書類の主な項目に対する影響額(同第1項第4号イに掲げる事項)に代えて、次に掲げる事項を注記することができる。
- 新会社計算規則の適用初年度の期首の貸借対照表又は連結貸借対照表に計上されているリース負債に適用している借手の追加借入利子率の加重平均
- 次の(1)と(2)の差額の説明
(1)1の加重平均後の追加借入利子率で割り引いた適用初年度の前事業年度又は前連結会計年度の末日において開示したリース(ファイナンス・リースを除く。)の未経過リース料
(2)適用初年度の期首の貸借対照表又は連結貸借対照表に計上されているリース負債
執筆者
有限責任 あずさ監査法人
会計・開示プラクティス部
マネジャー 加藤 巳希