経営戦略による革新の舞台裏

グローバル化の進展や地政学的リスクの高まり、デジタル技術の急速な発展、そして社会が企業に求める「大義」や「意味」の重要性の高まり──。事業環境が複雑さ・不確実さを増し、従来の経営手法の延長線上では生き残れない時代を迎えています。今求められているのは、財務、ブランディング、ガバナンスといった経営の根幹を成す要素を、統合的な視点で革新することです。

本特集では、変革の最前線に立つ経営トップや優れた知見を持つ有識者との3つの対談を通じて、不確実性の時代を生き抜く新たな経営戦略の本質に迫ります。

 

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現代の企業経営において、CFOの役割は単なる財務管理にとどまらず、企業価値向上の中核を担う存在へと進化しています。特に、不確実性の高まるグローバル経済のなかで、財務戦略とリスクマネジメントを一体的に捉える視点は不可欠です。

本対談では、株式会社日立製作所のCFOであり、CRMO(チーフリスクマネジメントオフィサー)も兼務される加藤 知巳氏に、その多岐にわたる役割とミッション、過去の中期経営計画の成果と新たな挑戦、そして「Inspire 2027」に込めた成長戦略の真意を伺います。AI活用やグローバル分散経営といった先進的な取組みを通じて、日立製作所が描く未来の姿に迫ります。

従来、広告やプロモーションの延長として捉えられがちだったブランディングは、今や経営戦略と一体となり、将来ビジョンの実現に向けてその方向性を社内外のステークホルダーに示すものとして再認識されています。その背景には、事業価値を超えた「大義」や「意味」に社会の関心が向かい、企業が明確な価値観を体現することが求められるようになったことがあります。

こうしたなか、株式会社INPEXは新経営方針と共に新ブランド指針を策定し、世界各拠点の従業員とともにアイデンティティーを再定義しました。本稿では、このプロジェクトを主導した同社経営企画本部長の滝本 俊明氏に、伴走したKPMG FASの古谷 公と佐伯 尚子が、ブランド刷新の舞台裏についてお話を伺いました。
 

2024年4月1日以降開始事業年度より法施行されたBEPS 2.0 Pillar2 グローバルミニマム課税制度。しかし、米国の第2次トランプ政権は早々に離脱を発表しており、国際協調から一転、各国独自の規制強化の時代へと変化しつつあります。「税制のグローバル化」が判然としない複雑な状況になっている今、日本のグローバル企業はこの変革にどのように対応し、どのような税務ガバナンスを構築すべきなのでしょうか。

本対談では、国際租税法研究の第一人者である政府税制調査会委員一橋大学大学院法学研究科教授吉村政穂先生とKPMG税理士法人代表の宮原雄一が、混沌とする国際税制の現状・課題と企業の対応策について掘り下げます。

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