金融庁、「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」公表を受けた、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等の公表について
2024年8月22日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等を公表しました。
2024年8月22日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等に対するパブリックコメントの結果等を公表しました。
1.改正の概要
本件は、企業会計基準委員会(ASBJ)において、実務対応報告第46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」(以下「実務対応報告第46号」という。)を公表したことを受け、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等及び「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項について(財務諸表等規則ガイドライン)等について所要の改正を行うものです。
(1)貸借対照表における表示
実務対応報告第46号では、グローバル・ミニマム課税制度に係る未払法人税等のうち、貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払の期限が到来するものは、法人税等会計基準第11項の定め(流動負債の区分に表示)にかかわらず、連結貸借対照表及び個別貸借対照表の固定負債の区分に長期未払法人税等などその内容を示す科目をもって表示することとされています。
- (中間)連結財務諸表及び(中間)財務諸表の固定負債の区分掲記として、「長期未払法人税等」を追加
- 各様式の例示として、固定負債の区分に「長期未払法人税等」を追加
- ガイドラインに「長期未払法人税等には、国際最低課税額に対する法人税等のうち、貸借対象日の翌日から起算して1年を超えて支払の期限が到来するものが含まれることに留意する」旨を追加
(2)損益計算書における表示及び注記
連結損益計算書における表示及び注記
実務対応報告第46号では、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等は、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)を示す科目に表示するほか、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等が重要な場合は、当該金額を注記することとされています。
- 国際最低課税額の金額がある場合において、当該国際最低課税額に対する法人税等に重要性があるときは、当該金額を注記しなければならない旨の規定を追加
- 前連結会計年度以前の連結会計年度に係る法人税、住民税及び事業税の更正、決定等による納付額又は還付額がある場合には、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)の項目の次にその内容を示す名称をもって記載することができるほか、金額の重要性が乏しい場合には、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)に含めて表示することができる旨を追加
個別損益計算書における表示及び注記
実務対応報告第46号では、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等は、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)を表示した科目の次にその内容を示す科目をもって区分して表示するか、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)に含めて表示し当該金額を注記することとされています。ただし、グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の金額の重要性が乏しい場合、法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)に含めて表示することができ、この場合は当該金額の注記を要しないこととされています。
- 税引前当期純利益(損失)金額の次に記載する項目として、「当該事業年度に係る国際最低課税額に対する法人税等」を追加
- 税引前中間純利益(損失)金額の次に記載する項目として、「当中間会計期間に係る国際最低課税額に対する法人税等」を追加
- 「国際最低課税額に対する法人税等」を「法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)」に含めて記載することができる旨、またこの場合において重要性が乏しい場合を除き、注記しなればならない旨を追加
- 前事業年度以前の事業年度に係る法人税、住民税及び事業税の更正、決定等による納付額又は還付額がある場合には、「国際最低課税額に対する法人税等」の項目の次にその内容を示す名称をもって記載することができるほか、金額の重要性が乏しい場合には「国際最低課税額に対する法人税等」に含めて表示することができる旨を追加
- 各様式の例示として、法人税、住民税及び事業税の次に「国際最低課税額に対する法人税等」を追加
2.施行日
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令等は、2024年8月22日付で公布・施行されます。
執筆者
会計・開示プラクティス部
マネジャー 木名瀬 光行