KPMG Insight Vol.49/2021年7月号

監査、税務、アドバイザリー3分野のプロフェッショナルが、会計・監査・税務・経営に関する知識や最新動向等を解説しています。

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ESG対談

2021年4月、欧州委員会はESGに代表される非財務情報の開示義務の対象を拡大すると発表しました。

日経225構成企業の64%にあたる145社がTCFDに賛同しているとおり、企業にとって気候変動に関する情報開示はもはや当たり前となりつつあります。しかし、非財務情報には合意された開示基準がなく、報告の内容は任意です。このような情勢のなか、2020年9月、「包括的な企業報告を目指した協調に関する表明(CDSB、CDP、GRI、IIRC、SASBの共同ステートメント)、「持続可能なステークホルダー資本主義の測定指標」(世界経済フォーラム)、「SSB設立を提案する協議文書」(IFRS財団)の3つの文書が発表されました。

非財務情報の開示基準やフレームワークはどうなるのか。新たなステージに入った非財務情報の開示について確認します。

VOL.49/2021年7月号の特集

求められるサステナビリティレポーティングの強化とは-気候変動の深刻化で強まるサステナビリティ関連情報報告の意義

世界最大の資産運用会社である米ブラックロック社は、気候変動が同社の顧客にとって最優先の課題であるとして、2020年、すべての企業に対し、TCFDとSASBに沿った情報開示を求めました。同社CEOのラリー・フィンク氏も2021年の年次書簡で、ネットゼロに向けた気候変動対策の強化とこれに関わる情報を報告する必要性を述べており、同社はサステナビリティの課題に焦点を当てたレポーティングを支持しています。

そこで今回は、ブラックロック社のインベストメント・スチュワードシップ・チームを統括するマネージング・ディレクターであるミシェル・エドキン氏に、企業と投資家とのコミュニケーションの質を高めるためにはどのようなレポーティングを展開すべきかについてお話を伺います。

インタビュアー=芝坂 佳子

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