法務省、時価の算定に関する会計基準等の公表を受けた「会社計算規則の一部を改正する省令」を公布

ポイント解説速報 - 2020年3月31日、法務省は「会社計算規則の一部を改正する省令」(以下、「本省令」という)を公布しました。2020年2月10日に公表された省令案からの変更はありません。

2020年3月31日、法務省は「会社計算規則の一部を改正する省令」(以下、「本省令」という)を公布しました。2020年2月10日に公表された省令案からの変更はありません。

1.改正の経緯

本省令は、2019年7月4日に企業会計基準委員会から公表された「時価の算定に関する会計基準」等、及び2020年3月6日に金融庁から公表された「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」等を受け、会社計算規則の改正を行うものである。

2.改正の概要

会社計算規則の主な改正内容は、以下のとおりである。

  • 金融商品に関する注記として表示すべき事項に「金融商品の時価の適切な区分ごとの内訳等に関する事項※1」が追加された(第109条第1項第3号)。
  • ただし、有価証券報告書の提出義務がある大会社以外の株式会社は、当該注記事項の省略が認められる(第109条第1項ただし書)※2

 

※1 金融商品に関する会計基準等における「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」と同義であることが、法務省の考え方として示されている(「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について 2.))。

※2 会社法第444条第3項に規定する株式会社、すなわち、事業年度末日において大会社であって金融商品取引法第24条第1項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならないものについては、第109条第1項第3号所定の注記を義務付けることとし、それ以外の株式会社にあっては、同号所定の注記を省略することができることとしている。

3.「金融商品の時価の適切な区分ごとの内訳等に関する事項」の内容、範囲等

本省令において追加された事項は、実務上の負担等も考慮し、各株式会社の実情に応じて必要な限度での開示を可能とするため、現行の第109条第1項第1号(金融商品の状況に関する事項)及び第2号(金融商品の時価等に関する事項)と同様に、金融商品の時価等の開示に関する適用指針における定めとは異なり、概括的に定めることとしている。
したがって、金融商品の時価等の開示に関する適用指針において「金融商品の時価のレベルごとの内訳等に関する事項」として注記を求められる事項であったとしても、各株式会社の実情を踏まえ、計算書類においては当該事項の注記を要しないと合理的に判断される場合には、計算書類において当該事項について注記しないことも許容されることが、法務省の考え方として示されている(「会社計算規則の一部を改正する省令案」に関する意見募集の結果について 4.)。

4.施行期日及び経過措置

公布の日(2020年3月31日)から施行される。

なお、本省令による改正後の会社計算規則(以下「新会社計算規則」という。)の規定は、2021年4月1日以後に開始する事業年度に係る計算書類及び連結計算書類について適用し、同日前に開始する事業年度に係るものについては、なお従前の例によるものとする。
ただし、2020年3月31日以後に終了する事業年度に係るものについては、新会社計算規則の規定を適用することができるものとする。

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執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
マネジャー 山田 桂子

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