「選手移籍金支払の表示(IAS第38号に関連)」-IFRICニュース2020年6月

IFRS解釈指針委員会ニュース(2020年6月) - 「 選手移籍金支払の表示(IAS第38号に関連)」については、2020年6月のIFRS-IC会議において審議された内容に更新しています。

「選手移籍金支払の表示(IAS第38号に関連)」については、2020年6月のIFRS-IC会議において審議された内容に更新しています。

関連IFRS

IAS第38号「無形資産」

概要

以下の前提において、企業は選手の移籍金の受取りをIFRS第15号の収益として認識するか、またはIAS第38号に従い無形資産の認識中止に伴う損益として認識するか。

  • サッカークラブを営む企業が、所属する選手を他のクラブに移籍させる。選手を獲得する際、クラブは電子的移籍システムにその選手を登録する。登録された選手は他のクラブでプレーすることができなくなる。また登録したクラブは、選手と雇用契約を締結する。雇用契約の締結により、選手は合意なくクラブを離脱できなくなる。雇用契約及びシステムへの登録を合わせて「登録権」と呼ぶ。
  • 企業は、登録権の取得に要した支出をIAS第38号に従い無形資産として計上した。企業は、その通常の事業活動の中で、獲得した選手を試合で起用・育成し、場合により他のクラブへ移籍させる。
  • 企業と移籍先のクラブが移籍契約を締結すると、移籍先クラブは企業に移籍金を支払う。移籍金は企業が選手の雇用契約をその期間末より前に解約することに対する補償である。移籍金を支払っても、電子的移籍システムへの登録は、法的には移籍先クラブに移転しない。移籍先クラブが選手を登録し、新たに登録権を獲得することにより、企業の既存の登録が消滅する。
  • 移籍先クラブが選手をシステムに登録した時点で、企業は計上していた無形資産の認識を中止する。

ステータス

IFRS-ICの決定

IFRS-ICは、2020年6月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。

受領した移籍金の認識

  • 本ケースでは企業は登録権をIAS第38号に従い無形資産として認識していることから、その認識の中止の会計処理についてもIAS第38号の規定に従うことになる。IAS第38号第113項は「無形資産の認識の中止から生じる利得又は損失を正味処分収入(もしあれば)と資産の帳簿価額との差額として算定し、当該差額を資産の認識の中止時に純損益に認識」することを要求しており、かつ「利得は収益に分類してはならない。」と述べている。
  • 本ケースで発生する移籍金は登録権を放棄する企業への補償であり、IAS第38号第113項の処分収入に該当する。
  • 従って企業は、登録権の帳簿価額と受取移籍金の差額を、IAS第38号第113項に従って登録権の認識中止から生じる損益として純額で認識し、IFRS第15号の収益としては認識しない。

キャッシュ・フロー計算書

  • 企業は、IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」に従い、移籍金の受取額を投資活動から生じるキャッシュ・フローの一部として表示する。

IFRS-ICは、2020年6月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書の原則及び要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。

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