将来の掛金の割引が退職後給付制度の分類に与える影響(IAS第19号に関連) - IFRICニュース2019年6月 - アジェンダ却下確定

IFRS解釈指針委員会ニュース(2019年6月) - 将来の掛金の割引が退職後給付制度の分類に与える影響(IAS第19号に関連)については、2019年6月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。

将来の掛金の割引が退職後給付制度の分類に与える影響(IAS第19号に関連)については、2019年6月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。

関連IFRS

IAS第19号「従業委員給付」

概要

以下の前提において、将来の掛金の割引の存在によって、退職後給付制度は確定給付制度に分類されるか。

  • 企業は第三者が管理する退職後給付制度に拠出する。
  • 企業は一定の年間掛金を制度に支払う義務を有する。その後は、たとえ制度が従業員の当期及び過去の期間の勤務に関連するすべての給付を支払うために十分な資産を保有していない場合でも、追加的な掛金の支払義務は法的にも推定的債務としても発生しないと判断している。
  • 企業は年間掛金に対する将来の割引を受ける潜在的な権利がある。具体的には、制度負債に対する制度資産の比率が所定の水準を超過した場合に、将来掛金の割引が生じる。このため、割引は、数理計算上の仮定及び制度資産に対する収益のの影響を受ける可能性がある。

ステータス

IFRS-ICの決定

IFRS-ICは、2019年6月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。

  • IAS第19号第8項は、確定拠出制度を「企業が一定の掛金を別個の事業体(基金)に支払い、たとえ基金が従業員の当期及び過去の期間の勤務に関連するすべての従業員給付を支払うために十分な資産を保有しない場合でも、企業がさらに掛金を支払うべき法的債務又は推定的債務を有しないもの」と定義している。また、確定給付制度を「確定拠出制度以外の退職後給付制度」と定義している。
  • 確定拠出制度の定義を満たすためには、企業は(a)一定の掛金を支払う義務を有していなければならず、かつ、(b)たとえ基金が従業員の当期及び過去の期間の勤務に関連するすべての従業員給付を支払うために十分な資産を保有しない場合でも、追加的な掛金を支払う義務があってはならない。例えば、将来の掛金が、従業員の当期及び過去の時間の勤務に関連する従業員給付の積立不足を補填するように設定されている可能性があってはならない。
  • IAS第19号第28項及び第30項は、確定拠出制度において、数理計算上のリスク(給付のコストが企業にとって予想よりも多くなるリスク又は給付が従業員にとって予想よりも少なくなるリスク)及び投資リスク(投資された資産が予想される給付を満たすのに不十分となるリスク)は、実質的に従業員が負担する一方、確定給付制度では、それらのリスクは実質的に企業が負担すると明記している。確定拠出制度の定義は、企業にとってコストが増加する可能性があるダウンサイドのリスクのみに焦点を当ており、コストが想定より安く済むアップサイドリスクの可能性を排除していない(IAS第19号BC29項)。
  • よって、将来の掛金の割引の存在は、それのみでは、当該制度をIAS第19号を適用して確定給付制度に分類する決定的な根拠にはならない。評価に際しては、制度についての関連契約条項をすべて勘案する必要がある。公式のものではないとしても一定の実務が存在し、これが推定的債務を創出している場合も考えられる。
  • なお、経営者が退職給付制度の分類に関して行った判断が、財務諸表上の金額に最も重要な影響を与えた判断の一部である場合には、当該判断を開示することとなる(IAS第1号第122項)。

IFRS-ICは、2019年6月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書の要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。

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