キャッシュ・フロー・ヘッジにおける「取引の発生可能性が非常に高い」の判断(IFRS第9号に関連) - IFRICニュース2019年3月 -アジェンダ却下確定
IFRS解釈指針委員会ニュース(2019年3月) - キャッシュ・フロー・ヘッジにおける「取引の発生可能性が非常に高い」の判断(IFRS第9号に関連)については、2019年3月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。
キャッシュ・フロー・ヘッジにおける「取引の発生可能性が非常に高い」の判断(IFRS第9号に関連)については、2019年3月 ...
Article Posted date
10 April 2019
関連IFRS
IFRS第9号「金融商品」及びIAS第39号「金融商品:認識及び測定」
概要
予定取引がキャッシュ・フロー・ヘッジ関係におけるヘッジ対象として適格となるためには、「取引の発生可能性が非常に高く」なければならないというIFRS第9号及びIAS第39号の要求事項は、以下のケースでどのように考えるべきか。
- ヘッジ対象である予定取引(エネルギー売上の予定取引)の最終的な発生数量に応じて、ヘッジ手段として指定されたデリバティブの想定元本が変動する(いわゆる「ロード・フォローイング・スワップ」)場合、上記の要求事項をどのように適用するか。
- ヘッジの有効性を評価する、又はヘッジの非有効を測定するにあたって、ヘッジ対象の数量はヘッジ関係の開始時において固定されていなければならないのかどうか。
- IAS第39号を適用するか、IFRS第9号を適用するかで上記の2つの論点に対しての回答が変わるか。
ステータス
IFRS-ICの決定
IFRS-ICは、2019年3月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。
- アウトリーチを行った結果、当該金融商品は一般的なものではないことが確認された。
- 暫定決定に対するコメントレターからも、本金融商品は一般的ではないことが確認された。あわせて、本件については、時期及び規模に関する不確実性が予定取引の「取引の発生可能性が非常に高い」についての評価にどう影響するかという、よりハイレベルな観点で取り上げられるべきという、一部の委員の見解をコメントレターでも支持していた。
- ヘッジ対象である予定取引(エネルギー売上の予定取引)の発生可能性が非常に高いかどうかの評価にあたっては、時期と規模の両方の観点から不確実性を考慮する必要がある。なお、ヘッジ手段の条件は、この評価に影響を与えない。
- 取引が発生した時に当該取引がヘッジ対象の予定取引かどうかを識別できるように、ヘッジ会計の目的上、企業は予定取引の規模と時期に関して十分に具体的に文書化しておく必要がある。
- 予定取引がキャッシュ・フロー・ヘッジ関係におけるヘッジ対象として適格となるためには、「取引の発生可能性が非常に高く」なければならないという要求事項は、IFRS第9号で新たに設けられたものではなく、IAS第39号でも設けられていた。
IFRS-ICは、2019年3月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書(IAS第39号及びIFRS第9号)の要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。