KPMGグローバルCEO調査2016
KPMGインターナショナルは「KPMGグローバルCEO調査2016」を発表しました。
KPMGインターナショナルは「KPMGグローバルCEO調査2016」を発表しました。
世界のCEOの多くは、穏やかな経済成長が期待される中、今後数年は困難だが挑戦していくべき時期になると予測している一方で、このような環境下でもうまく対応していくことができると、楽観的展望を持っていることが明らかになりました。CEOの72%が、今後3年間が過去50年間より自社の業界にとって重要であると感じていますが、同時に自社の成長見通しについては自信を示しています。また、10人中4人のCEOが、今後3年間で事業モデルを大きく変革することを見込んでおり、これは前年度の調査から12%も上昇しています。
KPMGグローバルCEO調査2016の主なポイント
2016年の調査では、世界のCEOのビジネス成長に対する期待が鮮明に映し出されており、今後3年間で彼らが直面する課題や、組織を成功へと導くための戦略等が明らかにされています。主な調査結果は、以下のとおりです。
- 多くのCEOが将来の成長の見通しに自信を持っており、自社については89%、自国については86%、自社の業界については85%、そして世界経済については80%のCEOが自信を示している。
- およそ半数(48%)のCEOが、今後3年間の売上げの伸びは、2%から5%と見込んでいる。
- CEOが主な成長の源泉として挙げたのは「新製品」(28%)、「新規顧客」(26%)、「新規市場」(25%)、「新規チャネル」(22%)であった。
懸念事項と優先課題
主要10カ国、11業種におけるCEO約1,300人を対象に行ったこの調査では、CEOがいくつかの重要な課題に懸念を抱いていることが明らかにされていますが、それらの多くはCEOがキャリアの中で過去に経験したことのないようなものであると示唆しています。
- 顧客のロイヤリティ(88%)
- 世界経済の成長が彼らの想定以下であった時の自社のビジネスへの影響(88%)
- 自社の将来を形づくる破壊とイノベーションについて戦略的に考える時間がない(86%)
重要なことは、新規参入者が既存のビジネスモデルに破壊をもたらしていることに対して65%のCEOが懸念している反面、自社は業界のビジネスモデルに十分に破壊をもたらしていないと考えているCEOが半数以上(53%)もいることです。
KPMGインターナショナルのチェアマンであるジョン・ビーマイヤーは、「CEOは、彼らの組織自らが破壊者となることが必要で、そうするのは今であると理解している。現在のグローバルな地政学的不確実性、破壊的な市場と社会的な力といった現実にもかかわらず、本調査においてCEOは、変革や先端技術、より専門化した人材を通じて現在の能力を強化し、全く違う未来に対応していくことで成長にフォーカスしている」と述べています。
新しくてなじみのない課題に対する懸念の度合いは、CEOが考える最重要リスクの変化からも明らかです。例えば、今回の調査ではサイバーリスクが懸念事項最上位となりましたが、2015年の調査では懸念事項の上位5位にも入っていませんでした。72%のCEOは、自社組織がサイバー攻撃に対応できる万全な準備ができていないと考えています。また、顧客との繋がり方にデジタルチャネルを有効活用できていないことと同様に、自社のデータアナリティクスの洗練度が高くないことについても懸念を示しています。自社がデータアナリティクスの分野で主導的立場にあると回答したCEOは、3分の1以下(30%)しかいません。今後3年間のCEOの戦略的優先事項は、以下のとおりです。
- イノベーションの促進(21%)
- 顧客志向の強化(19%)
- 破壊的テクノロジーの導入(18%)
- タレントマネジメント(18%)
- マーケティング/ブランドの強化(17%)
組織の最優先事項にイノベーションが挙げられており、CEOの10人のうち8人(77%)が、明確なターゲットと目的をもってイノベーションを戦略に組み込むことが重要であると考えているにもかかわらず、イノベーションはCEO個人の最重要課題だと回答したCEOは全体1/4以下(23%)にとどまりました。
変革、テクノロジー、タレントに未来を託すCEO
ビジネス環境の変化により、半分近くの(41%)CEOが、自社は今後3年間にこれまでとは大幅に異なる組織体に変革されるであろうと回答しています。2015年の調査時にそのように回答したCEOは全体の29%であり、顕著に増加していることがわかります。
タレント(人材)
経済と収益の成長に対する期待に即して、CEOの多くが今後3年間に人材の増加を計画しています。
今後3年間で人員増加を予定しているCEOは96%にも上がり、前年の調査時の78%と比べて増加しました。また、過半数を超えるCEO(61%)が今後12か月以内に採用を検討しています。一方で、主要なビジネス機能においてスキルギャップが見られると答えたCEOは、50%以上にのぼります。
テクノロジー
CEOが考える変革プランの中でテクノロジーが顕著に取り上げられており、自社の成長に最も影響をもたらす要素として、世界経済動向と国内経済状況の間で2番目に挙げられています。CEOは新しいテクノロジーが、自社の成長の達成・加速を実現させる重要な要素として強調しており、CEOの18%は破壊的テクノロジーの導入を重要な優先事項として挙げています。CEOは今後3年間でテクノロジー分野への投資に意欲を示しており、25%がデータ分析能力の向上、22%がサイバーセキュリティソリューションへの投資を考えています。テクノロジーにまつわるリスクもまたCEOの関心事項となっており、サイバーセキュリティ(30%)、最先端技術のリスク(26%)が懸念するリスクの上位3つのうち、2つを占めています。
「KPMGグローバルCEO調査2016」の日本企業との比較分析資料については、以下の資料をご参照ください。
なお、本調査の英語版については、www.kpmg.com/CEOoutlookのサイトをご参照ください。
「KPMGグローバルCEO調査2016」について
本調査は主要10カ国(オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、インド、イタリア、日本、スペイン、英国、米国)、および主要11業界(自動車、銀行、インフラ、保険、投資運用、ヘルスケア、製造、小売り/消費財、テクノロジー、エネルギー/公益事業、通信)におけるCEO 1,268人に対して実施しました。回答者は業務収入が5億米ドル以上の企業であり、そのうち3分の1の企業が100億米ドル以上となっています。調査は2016年3月15日から4月29日にかけて実施されました。
注釈)いくつかの図表の数値は、四捨五入を行った関係で、合計がかならずしも100%になりません。