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      日系自動車部品メーカー自立の必要性 - 何者を目指すのか

      日系自動車部品メーカーは更なる自立が求められる

      昨今の各種報道の通り、トヨタ自動車を筆頭とするトヨタグループはグループ体制の最適化、資産効率向上の観点から、政策保有株の縮減、グループ持合いの見直し等、資産入替を加速させている。

      トヨタグループにおける主要な資産入替事例
      出所:日経テレコン、各社公表資料を基にKPMG作成

      既にトヨタグループ以外では系列の見直しが進んで久しく、もはや自動車メーカーが系列部品メーカーを支え続ける余力がなくなっているのが実態である。これまで自動車部品メーカーは自動車メーカーに追随していけばよかったが、これからは自立をして独自で戦略を持たないといけない。元来、自動車部品メーカーは戦略判断が重要な業種である。どの自動車メーカーのどの車種をいくらで受注するかによって事業構造が決まってしまい、その後のカイゼンでのリカバリーには限界がある。また、一度受注した仕事は基本的にやり続けないといけないし、販売数量も自分ではコントロールできない。

      自立とは自社が何者を目指すのかを再定義すること

      日本においていわゆるメガサプライヤーは少数であり殆どの自動車部品メーカーは単一カテゴリーの製品を生産している。そういった自動車部品メーカーにおける戦略とは提供機能とバリューチェーン上のポジショニングを明確にしたうえで、顧客、製品、地域の観点から何をやって何をやらないかを定めること、換言すれば自社が何者かを定義すること、である。

      戦略策定のフレームワーク

      提供機能とは自社のコアコンピタンスを踏まえて顧客に何の機能を提供するか、ということである。例えば、生産に加えて設計開発も、生産だけにしても素形材まで、機械加工まで、組立まで、といった具合である。また、バリューチェーン上のポジショニングとはいわゆるティア1、ティア2といったバリューチェーン上の位置取りである。それも踏まえて、自社の顧客、製品、地域を再定義する。顧客、地域、製品が意思なく分散している企業はいかに選択と集中を図るか、一方で特定の顧客、地域、製品に依存している企業はいかに多様化を図るかが焦点となる。ティア1からティア0.5にティアアップすることでより顧客に深く刺さる、逆にティア2にティアダウンすることで顧客を多様化するというアプローチもあるだろう。また、EVでテスラや中国企業が台頭している中、それらにどう向き合うかは今後、非常に重要なファクターとなる。

      手段としてM&Aを活用する

      一方で、自前でポジショニング・事業構造を転換するには期間を要するのも事実である。そこでM&Aの活用が想定される。実際、過去にも顧客、製品、地域の多様化を目指したM&Aはあったが、業界の注目を集めた日系自動車部品メーカーによる海外自動車部品メーカーの買収事例は元々想定した成果を得るのに苦労するケースも多い。特に買収後に新規モデルを立ち上げる局面で生産トラブルが発生する事態が散見される。買収時点で既に量産立ち上げが完了しているモデルについてはその後も滞りなく量産が継続するケースが多いが、新規モデルの立ち上げにおいて新たな株主・経営陣によるマネジメントが上手く機能せず、品質や生産性が安定しないという類のトラブルである。

      海外メーカー買収後に困難に直面した事例
      出所:日経テレコン、各社公表資料を基にKPMG作成

      元々、リスクの高い手法であるM&Aを成功させるためには、まずは国内企業間で、持分法出資から、等、手堅く進めることが重要である。その意味で、国内自動車部品メーカー同士の提携に伴う系列を跨いだ部品メーカーの再編も期待される。将来のパワートレインミックスが不透明な現状の自動車業界に対しては、総合商社、ファンド等、従来、業界再編の触媒の役割を果たしてきたプレイヤーも投資に慎重な姿勢を示している。自動車部品メーカーは自らの意思で戦略を立て、その手段としてM&Aを使いこなすことが求められている。