グループガバナンスとは

グループガバナンスとは企業グループ全体における統治・統制の仕組みのことです。厳密には、グループガバナンスの定義は単一のものではありませんが、一例として以下の図のように表せます。

【グローバルガバナンスの定義(例)】

グループ経営のガバナンス体制構築支援_図表1

グループガバナンスの検討にあたっては、まず、自社にとっての意義、スコープ、考え方について共通認識を持つことが重要です。

グループガバナンスの必要性

グループガバナンスが機能していないと、企業グループ全体のリソースを効率的・効果的に配分することができません。企業グループの価値を最大化し、グループ全体の業績の向上と運営上のリスクを最小化するためにも、グループガバナンスを適切に整備・運用していくことが求められます。

【グループガバナンスの目的】

グループ経営のガバナンス体制構築支援_図表2

経済産業省が定めた「グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針」では、グループ設計の在り方、内部統制システムの在り方なども含めたグループガバナンスの強化が求められています。

グループガバナンスの課題

グループガバナンスの課題として、子会社と親会社の関係性に起因するものが多く散見されます。また、海外拠点では、贈賄、カルテル、品質偽装、プライバシー規制等による法規制対応リスクの厳格化、地政学リスクの変化など海外事業に伴うリスクの複雑化から、課題の解決が困難となっています。

【よく聞かれる課題(例)】

拠点 課題(例)
本社
  • グループルールがなく、子会社の独自解釈を許している
  • 子会社への支援を本社の仕事として認識していない
統括会社
  • 親会社の子会社管理の「足りないところ」を補うために子会社サポートに忙殺されている
  • グループ内での位置づけが不明確なため、アクションを起こしても空回りに終わってしまう
海外子会社
  • グループの共通ルールがなく、子会社の独自判断で業務を行っている
  • 間接人員が極度に少なく、必要な管理ができていない
  • スペシャリストの不在によりコンプライアンスに不安がある
  • 日常業務に追われ、「攻め」のガバナンスができていない

グループガバナンスを検討すべき具体的なタイミング

グループガバナンスは、それ単体として検討をするというより、以下のような契機となる事象が発生し、検討・再考するケースがほとんどです。このような契機が発生したタイミングで、グループガバナンス上の論点を改めて検討することが望ましいと言えます。

契機例 再考おける論点(例)
M&Aによる子会社の増加
  • M&Aによる子会社を含め、各子会社に対して最低限求める事項の定義
  • 層別管理の考え方の導入、会社分類ごとに異なる管理の在り方の設定
拠点の再編/地域統括会社/シェアード会社設立
  • 地域統括会社の役割の定義
  • 本社管理部門の役割の再定義、強化
  • シェアード化の余地、シェアードサービス会社の役割の定義
子会社における不正の発生
  • 不正発生の要因
  • 子会社内におけるガバナンスの強化
  • 本社におけるグループガバナンスの強化
投資家からの要請
  • グループガバナンスの基本的な考え方の整理
  • 中期経営計画に沿ったガバナンスの方向性の整理

グループガバナンスの課題解決に向けたアプローチ

まず本社の問題認識を深める必要がある場合、最初に全体を診断してリスクと課題を明確化することが重要です。そのうえで、業務の属人化やレベルのばらつきならマネジメントブックから、組織の機能不全であれば機能整理からなど、状況別に課題に着手します。また、あるべき姿と現状との比較を通じて、課題と優先度の整理と同時に初動の対策を進めることも可能です。

状況 アプローチ(例)
  • 本社が子会社の管理をあまり意識しておらず、問題視されていない
  • おぼろげに危ないとは感じているものの、具体的な確証がない
  • 子会社の業務も本社部門の業務自体も属人化が懸念されている
  • 出向者が異動するたびに管理レベルが変動し、日本も現地も安定しない
  • 海外管理の指揮系統が交錯しており、うまく連携が図れていない
  • 機能配置がうまくいかず、機能の不足や管理の漏れが懸念される
  • 新型コロナウイルス感染症など不測自体の影響により、本社から現地に赴き、内部監査等のモニタリング活動を十分に行うのが難しい

KPMGの支援

海外拠点への進出検討から撤退までの各段階において、リスクの検討や管理要件の設計・導入、内部監査対応などさまざまなニーズに対応しています。

グループガバナンス戦略・方針の策定支援サービス

適切なグローバルガバナンスを実現するためには、自社のグループ経営理念やグループ経営戦略を踏まえた上で、国内外のグループ会社をどのように管理するのかといった考え方について明確化する必要があります。KPMGでは、日本企業に対する豊富な支援実績に基づいて体系化したグローバルガバナンスのあるべきフレームワークに基づき、グループガバナンスの考え方や姿勢をまとめた戦略・方針の策定を支援します。

海外子会社リスク評価サービス

各海外子会社の経営体制や事業内容、財務数値等を総合的に分析し、グループ内において相対的にリスクが高いと想定される拠点をクイックに評価します。グループ全体のリスクの分布状況を俯瞰することで、重点管理が必要な拠点・領域を効率的に特定することが可能です。

海外子会社ガバナンス成熟度診断支援サービス

グローバルガバナンスの観点から、親会社及び子会社(統括会社を含む)の現状を短期間で診断し、あるべき姿と現状のギャップを整理します。また、抽出された課題と傾向から、グループ全体で取り組むべき改善の方向性・具体策を提案します。
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グループ規程の整備支援サービス

グループ全体で共有する価値観と、それらを体現した各機能・領域別の方針・規程類の体系化ならびに整備・運用を支援します。検討に際しては、既存の規程類について過不足を検討した上で、各規程の位置付けの整理・見直しを行います。

ガバナンス施策・統制整備支援サービス

財務や人事、法務などの各領域について内部統制やコンプライアンスの観点を踏まえた管理のポイントや業務要件を定義しグループ全体で守るべき管理標準として展開を行うことで、海外子会社の管理能力の向上を支援します。
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子会社取締役会を通じたガバナンス向上支援サービス

取締役の選任基準や、役割・責任を明確化するとともに、子会社の取締役会で付議するべき事項を整備することで、子会社の取締役会の機能強化を支援します。検討に際しては、現状の取締役会の機能や体制、子会社の権限を検討した上で、今後のあるべき取締役会の位置付けの整理・見直しを行います。

海外子会社の内部監査・モニタリング支援サービス

各国の法令・商習慣や言語に精通したKPMGのプロフェッショナルが、海外子会社の内部監査計画策定から現地往査の実施、結果報告、改善支援までの一連の内部監査プロセスを支援します。また、海外子会社の財務情報や非財務情報を収集し、データアナリティクス手法を活用することにより、リモートでのモニタリングを効率的・効果的に行うことを支援します。
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グローバル危機管理・有事対応支援サービス

地震、風水害等のインシデント系事象、新興国の各種ビジネスリスク、海外事業撤退に係るリスク等を対象とした、企業のグローバルな活動に伴う幅広い危機管理を総合的に支援します。
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