グループガバナンスの概要と課題

グループガバナンスとは

地政学リスクの高まりやESGへの取組みに対するステークホルダーからの関心の高まりなどの経営環境の変化を受け、多くの日本企業ではグループ会社に対する統制のあり方について再考を迫られています。一方で、M&Aによる海外の大手企業を買収するケースが増加するなど、グループ管理の難易度はますます高まっていると言えます。

グループガバナンスとは、企業グループ全体における統治・統制の仕組みのことを指しますが、その検討にあたっては、まず、自社にとっての意義や目指す姿を明確に描くことが重要です。

グループガバナンスの必要性

企業グループの価値を最大化し、グループ全体の業績の向上と運営上のリスクを最小化するためにも、グループガバナンスを適切に整備・運用していくことが求められます。特に、海外子会社については、日本の本社から物理的に離れていることに加え、時差や言語の問題もあり、現地で発生している課題を適時に把握することが困難なケースも散見されます。

グループガバナンスに関するよくある課題として、親会社と子会社の各組織の役割・責任や権限、レポートラインなどが明確化されておらず、グループ経営上のリスクに対する対応の遅延やビジネス上の機会損失が生じることが挙げられます。

高度化・複雑化する経営課題に対処するためには、子会社・関係会社の自助努力だけでは限界があり、グループ本社として適切な関与を果たしていくことが求められています。

【グループガバナンスの目的】

グループ経営のガバナンス体制構築支援_図表1

【よく聞かれる課題(例)】

拠点 課題(例)
本社
  • グループルールがなく、子会社の独自解釈を許している
  • 子会社への支援を本社の仕事として認識していない
統括会社
  • 親会社の子会社管理の「足りないところ」を補うために子会社サポートに忙殺されている
  • グループ内での位置づけが不明確なため、アクションを起こしても空回りに終わってしまう
海外子会社
  • グループの共通ルールがなく、子会社の独自判断で業務を行っている
  • 間接人員が極度に少なく、必要な管理ができていない
  • スペシャリストの不在によりコンプライアンスに不安がある
  • 日常業務に追われ、「攻め」のガバナンスができていない

グループガバナンスを検討すべき具体的なタイミング

グループガバナンスは、それ単体として検討をするというより、以下のような契機となる事象が発生し、検討・再考するケースがほとんどです。このような契機が発生したタイミングで、グループガバナンス上の論点を改めて検討することが望ましいと言えます。

契機例 再考おける論点(例)
M&Aによる子会社の増加
  • M&Aによる子会社を含め、各子会社に対して最低限求める事項の定義
  • 層別管理の考え方の導入、会社分類ごとに異なる管理の在り方の設定
拠点の再編/地域統括会社/シェアード会社設立
  • 地域統括会社の役割の定義
  • 本社管理部門の役割の再定義、強化
  • シェアード化の余地、シェアードサービス会社の役割の定義
子会社における不正の発生
  • 不正発生の要因
  • 子会社内におけるガバナンスの強化
  • 本社におけるグループガバナンスの強化
投資家からの要請
  • グループガバナンスの基本的な考え方の整理
  • 中期経営計画に沿ったガバナンスの方向性の整理

グループガバナンス戦略・方針の策定支援

適切なグローバルガバナンスを実現するためには、自社のグループ経営理念やグループ経営戦略を踏まえたうえで、国内外のグループ会社をどのように管理するのかといった考え方について明確化する必要があります。

KPMGでは、日本企業に対する豊富な支援実績に基づいて体系化したグローバルガバナンスのあるべきフレームワークに基づき、グループガバナンスの考え方や姿勢をまとめた戦略・方針の策定を支援します。

グループガバナンス戦略・方針の策定支援

海外子会社リスク評価支援

各海外子会社の経営体制や事業内容、財務数値等を総合的に分析し、グループ内において相対的にリスクが高いと想定される拠点をクイックに評価します。

グループ全体のリスクの分布状況を俯瞰することで、重点管理が必要な拠点・領域を効率的に特定することが可能です。

海外子会社リスク評価支援

グループ規程の整備支援

グループ全体で共有する価値観と、それらを体現した各機能・領域別の方針・規程類の体系化ならびに整備・運用を支援します。

検討に際しては、既存の規程類について過不足を検討した上で、各規程の位置付けの整理・見直しを行います。

グループ規程の整備支援

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