収益ドライバーの中でも、プライシング改善は継続的な収益確保に効果的と考えられるものであり、今後はより重要性が高まっていくと考えられます。プライシングは大きく収益性に影響を持つため、詳細にデータを分析したうえで、筋の悪い値上げやディスカウントを避けながら戦略的に意思決定を行うことが重要となります。商品と販売チャネルが数多くある中で、プロモーションの有無、需要の時間帯的な変化、商品間での競合などさまざまな要因を総合的に考慮して適正価格を決定するのは容易ではありません。

このような複雑で困難な意思決定に、KPMGではデータサイエンスを用いて、価格を軸にした販売量予測の回帰モデルとそれに基づいて価格を変化する手法にて価格戦略の最適化のご提案を提供しています。

お問合せ

プライシング/価格戦略の重要性

プライシングの最適化

日本においては、今後人口減少が見込まれ、市場規模が縮小していきます。従来のように、販売量の拡大・成長による収益確保・コストメリット創出が今後はより難しくなってきています。また原材料費や物流費の更なる⾼騰などにより、企業努⼒によるコスト削減は限界にきています。そのような厳しいビジネス環境においても、企業活動の成果としての収益性を、⾼めていかなければなりません。

そのような状況下にある企業において、プライシングは戦略的に取り組むべき領域の⼀つです。過去の複数のKPMGの調査から、収益改善ドライバーとして価格、販売量、固定費、変動費の4つを⾒た際に、収益改善効果の中では価格のインパクトが最も⼤きいという結果が示しだされています。⽇本ではあまり馴染みのないプライシングも、海外では実は収益を改善する上で最も効果的なドライバーと認識されており、コスト削減・管理と同様かそれ以上に取り組まれている施策領域となっています。既存商品の短・中期的な収益改善から、新商品の値決めまで、プライシングは企業にとって必須の検討項⽬とされているのです。

 

価格戦略の最適化の考え方

商品・サービスの販売に関わる様々かつ複雑な要素を適正に把握し、最適な価格付け(プライシング)を行うことにより、売上高の向上・コストの削減を促し、結果として収益の最大化を行うというのが、価格戦略の最適化の主な考え方です。

ダイナミック・プライシングの考え方

プライシングは⼤きく収益性に影響を持つため、購入者の属性や、販売場所、タイミング、調達量等、多岐に亘る複雑かつ膨大なデータを詳細に分析したうえで、筋の悪い値上げやディスカウントを避けながら戦略的に意思決定を⾏うことが重要になります。商品・サービスを各購入の際の状況に合わせて変動的な値付けを行うことをダイナミックプライシングと呼びます。

ダイナミックプライシングを行うことにより、より幅広い顧客層へ購入を促すことが可能となります。

プライシングフレームワーク

 

KPMGの提供する価格戦略の最適化検討支援

KPMGでは、大きくは「Step1.モデリングによる価格分析」、「Step2.効果シミュレーション・価格の最適化」、「Step3.価格戦略に継続的に取り組むためのケイパビリティ構築」の3ステップでそれらの検討を進めます。

Step1. 需要予測モデリングと価格分析

価格分析に必要なデータを整理・統合し、全体としての販売量と価格の関係性を把握しつつ、機械学習モデルを用いて価格弾力性を分析します。

1. データの統合および可視化

  • 小売からの取引データや競合・市場データを組み合わせ統合データを作成
  • SKU・チャネルごとに自社、競合、市場全体の価格と販売量を可視化・分析

価格と販売量の関係性の把握

価格と販売量の関係性の把握

2. 機械学習モデルの構築

  • 各種変数(価格、競合との価格差、市場ボリュームなど)を基に、説明力の高いモデルを構築
  • モデルを基に価格弾力性、プロモーション効果をSKUごとに把握

モデルによる説明・予測精度の検証

モデルによる説明・予測精度の検証

3. 商品の価格メカニズム把握

  • モデル結果を基に、価格の弾力性、SKU間のカニバリ、競合との有意な価格差、プロモーション効果などを詳細に検証

各SKUの価格弾力モデル

各SKUが価格弾力的か、非弾力的かを統計モデルを用いて用いる

カニバリゼーション分析

統計モデルを用いて、自社及び競合SKUとのカニバリゼーションをヒートマップで把握する

Step2. 効果シミュレーション / 価格の最適化

商品ポートフォリオの利益を最大化する
SKU価格の最適化(最適化による理論値推定)

構築したモデルをもとに、各種制約がある中で目標値を最大化するような価格の最適化を実施する

各SKUの価格最適化

財務インパクト・シミュレーション
(売上・利益目標など)

モデルから価格シナリオツールを構築し、様々な価格ポイントにおける財務インパクトを可視化し、各プライシング施策による効果をシミュレーション

機械学習モデルに基づく利益シミュレーション

Step3. 価格戦略に継続的に取り組むためのケイパビリティ構築

最終的には、プライシングの意思決定をするためのケイパビリティの構築まで支援することで、貴社が継続的に利益改善に取り組む体制を持つことができます。

 

ダイナミックプライシング実践のためのケイパビリティ全体像

ケイパビリティ構築におけるポイント

  • 自己学習し、アップデートされるモデル : 予測の信頼性を向上させるフィードバックループが含まれているため、時間の経過とともに弾力性に基づいてより多くの製品の価格を設定できます
  • カスタマイズされた価格決定メカニズム : データベースとツールは毎日更新でき、統計的にモデル化できるかに基づいて2つのエンジン間で商品価格を柔軟に設定します
  • 強固なガバナンス体制 : 価格決定の透明性と有効性を高め、重要な価格決定の「チェックとバランス」を確保するための明確なルールとプロセス
  • KPIのレポーティングとモニタリング : 価格決定の有効性をモニタリングし、より広範な販売戦略に沿って最適化の機会を特定するための機能

関連ページ