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      グローバルアプローチの必要性


      移転価格方針は、企業グループにおいて、各関連者がどれだけの利益を獲得するかを決定する最大の焦点となるものであり、その設定如何による各関連者役員および従業員へのインパクトは決して小さいものではありません。仮にグループでの業績評価基準が各関連者の利益をベースとして設定されている場合、グループ内価格設定方針の変更による関連企業役員・従業員の給与・賞与・昇進等への影響は看過することはできません。これが、移転価格方針の設定が社内ポリティクスの問題を多分に含んでいるとされる所以であるといえます。

      一方で、各国の移転価格税制の規定内容は国により異なっており、実際の調査・課税方法も各国税務当局の「指針」や「実務」に大きく依拠しています。そもそも移転価格税制は、企業が「独立企業間価格」という算定が非常に困難な価格でグループ内取引を行うことを要請する税制であり、その困難さゆえに企業にとっては常に不確実さを伴った対応を余儀なくされます。こういった移転価格税制の特質が、企業の各国における移転価格税制遵守の達成を困難にしているものと考えられます。また、この困難さは、多数の国にまたがって事業を行う多国籍企業にとってはさらに大きくなることになります。

      多国籍企業、特に移転価格課税の厳しい米国、中国、オーストラリア、英国、独国等へ進出している企業にとって、価格設定にまつわる社内ポリティクスの問題を解決すると同時に、これらの国の法制と実務の両面における移転価格対応策を立案することが急務であると言えます。しかし、それは同時に極めて戦略的な視点、情報、経験が必要となる最難関の分野でもあります。KPMGが提供する「グローバル移転価格方針の立案」とは、この多国間における移転価格問題を税制上の観点のみならず経営等の多角的視点から総合的な解決をサポートすることを目的としています。

      グローバル移転価格方針の立案と目的


      KPMGが提供するグローバル移転価格方針の立案は、「対内的方針の立案」と「対外的方針の立案」の2つの視点に立脚します。

      • 対内的方針の立案

        対内的な移転価格方針の立案とは、関連者間の価格方針決定過程におけるさまざまな「摩擦」を軽減することにより、社内ポリティクスの解消、価格設定プロセスの効率化を目的とします。
        具体的には、公平な価格設定方針の立案、各部署・関連者への説明、ルール化、社内マニュアル化等を通じて、グループベースでの価格設定に対する認識の統一を目指します。

      • 対外的方針の立案

        対外的な移転価格方針の立案とは、各国税務当局への対応方法、対策を事前に確立しておくことにより、将来の移転価格調査時における対応をスムーズにすることを目的としています。
        具体的には、価格設定方針のフォーミュラ化、リスク負担ルールの確立、機能・権限の明確化、これらに関する税務当局対応のための文書化等を通じて、将来の税務調査等において税務当局に十分に説明ができる体制を整備しておくことを目指します。プロジェクトの目的によっては、適切なプロセスを通じて各国の当局より「事前確認(APA)」を取得することも検討します。

      以上の対内・対外的対応の両面から方針を立案・策定することにより、移転価格に関連するあらゆる問題を総合的に解決することが、このプロジェクトの最終的なゴールとなります。但し、一般的には対内的な政策と対外的な政策は必ずしも完全には合致し ないため、双方の必要達成度合やリスク度合をどれほど重視するかという経営判断や、これらの諸政策をバックアップする会計システムが構築できるのか等の他の関連要素を考慮する必要があります。すなわち、各多国籍企業グループのそれぞれの事情に応じて実際の移転価格方針が構築されることになります。


      プロジェクトのプロセス

      グローバル移転価格方針の立案は、大きく分けて「Planning Phase (立案フェーズ)」と、「Implementation Phase (実行フェーズ)」に分けられます。

      Planning Phase (立案フェーズ)

      • 「事実・機能分析」

        各関連者の行っている事業概要、海外取引フロー、R&D・生産・販売プロセスを正確に把握するとともに、実際の財務データを分析し、既に存在する重要な移転価格リスクを特定することにより、今後の分析の方針を確定します。

      • 「各国税制・当局指針の詳細調査」

        事業の展開先である各国の移転価格税制、当局の課税方針、過去の課税事例、判例、その他関連する税務上・ビジネス上・産業上の法制のうち、方針立案に重要な影響を与えると考えられるものを詳細に調査し、分析対象となる企業の海外取引を取り巻く環境を的確に把握します。

      • 「グローバル方針の立案」

        上記の(1)・(2)に基づき、グローバルに適用しうる移転価格方針を策定します。この場合、上述の「社内的方針」および「社外的方針」の双方を勘案します。さらに、この方針を実行した場合の財務数値への影響度を測定します。

      Implementation Phase(実行フェーズ)

      • 「税務文書、社内マニュアルの作成」

        「立案フェーズ」において策定された移転価格方針を、税務当局による調査にスムーズに対応するための文書として内部的に準備します。同時に、価格設定方針のみならず、あらゆるリスク(在庫リスク、投資リスク、為替リスク等)の負担ルール、グループ内サービスの提供方針、委託R&Dやコストシェアリング契約のあり方を税制面・実務面から明文化し、活用可能な社内マニュアルを作成します。

      • 「各部署、関連者への説明・討論会等」

        立案・ルール化した価格設定方針等の根拠、妥当性、実行可能性等について、各部署や関連者の担当者に対して説明会を開催し、討論を行います。このプロセスにより各担当者の新ルールに対する意識・理解の統一を図るとともに、各関連者が納得の上実行していくことを目指します。

      • 「実行、評価、改善」

        以上の方針およびルールを実際に適用します。四半期、半年、1年毎等の周期で、財務数値の予実格差、オペレーション上の問題点等を評価し、改善案を策定・実行します。以上の段階を踏むことにより、立案されたグローバル移転価格方針を継続的・恒常的に改善・発展させていくことが可能となります。

      一般的なプロジェクトでは、まず立案フェーズを行い、その内容・アウトプットを社内的に十分に検討した上で実行フェーズに進みます。一般的には両フェーズそれぞれ平均で3ヵ月から5ヵ月程度の期間を要しますが、各企業の個々の事情に応じて、フレキシブルにタイムフレームを設定することが可能です。
      また、上記のプロセスにおいて、各国の税務当局から「事前確認(APA)」を取得すること、当局間の「相互協議」を進めること、またプロジェクトの過程で発生した移転価格調査対応の支援が生じることも少なくありません。このような場合には、各事案に応じたタイムフレーム、作業内容を適宜策定します。

      藤原 拓哉

      国際事業アドバイザリー パートナー/KPMG Japan Supply Chain Advisory Leadership(KPMG Japan SCALe)リードパートナー

      KPMG税理士法人


      グローバル移転価格方針の立案

      多国間における移転価格問題を、税制上の観点のみならず経営等の多角的視点から総合的な解決を支援します。

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