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      欧州タクソノミーは2020年6月に最終化されました。


      1. はじめに

      このタクソノミーは第6回までにご紹介した欧州サステナブルファイナンスの核となるコンセプトであり、同回でご説明したアクションプランに含まれています。このタクソノミーに基づいて、どういったものが環境的にサステナブルな投資・経済活動であるか(environmentally sustainable investment、economic activities)を分類することになります。その目的はグリーンウォッシュのようなグリーンを装いながらもグリーンでない投資・経済活動に資金が流れてしまうことを防止することです。
      TCFDとの関係も重要です。例えば、取締役会で投資案件が諮られる場合にはタクソノミーに基づいてグリーンであると判断される案件であるか否かは重要な判断基準になります。戦略に関しても同様にその事業、その将来の計画がグリーンなものといえるか、シナリオ分析においてもグリーンの定義をどう置くかによって企業の対応が変化することになります。リスク管理においても気候関連リスクを特定するのにグリーンであることの意味は非常に重要ですし、指標・目標の設定にも影響します。
      欧州タクソノミーはEU域内のルールではありますが、欧州のグリーンマーケットが最大であること、いち早くタクソノミーを提案したことなどから事実上のグローバルスタンダードになっていく可能性があると考える人たちが増えています。
      EUでは欧州委員会が2018年5月に提案したタクソノミー規則案に関して、2019年12月に欧州議会と理事会が合意したことから、最終化される方向となりました。


      2. 2018年5月の規則案

      EU単一市場において投資家が確実にサステナビリティ案件に投資できるように、「環境的にサステナブルな投資(environmentally sustainable investment)」を、当規則案によって環境的にサステナブルであると認められる1つまたは複数の経済活動へ投資することを定義しています。
      そして、「環境的にサステナブルである」ためには、

      (1)下記6つの要素のうちの1つ以上を対象とし、

      • 気候変動の緩和
      • 気候変動への適応
      • 水資源等の使用と保全
      • 循環経済等への移行
      • 大気・水・土壌等の汚染防止
      • 植生・森林・希少種などエコシステムの保護

      (2)(1)で対象としなかった残りの要素を著しく害さないこと、
      (3)強制労働・児童労働の禁止など「労働における基本的原則および権利に関するILO(国際労働機関)宣言」に反しないこと

      とされています。


      3. 2019年6月のTEG(Technical Expert Group)のレポート

      (1)枠組
      規則案を受けてTEGはレポートを公表しています。
      その中で、タクソノミーの利用方法として、機関投資家や環境的にサステナブルな投資商品として販売活動を行う資産運用会社がタクソノミーを利用したか否か、どのように利用したかを説明する必要があるとしています。また、投資家は、タクソノミー上適格な活動に投資したり、自らのサステナビリティ選好度を公表するなどしてその投資活動が環境的にサステナブルであるように意思決定するべきであるとしています。
      規則案と同様に経済活動を分類し(Technical screening criteria)、6要素のうち、
      A:気候変動の緩和(mitigation)を検討したうえで、
      B:気候変動への適応(adaptation)+水資源等の使用と保全(water and marine)+循環経済等への移行(circular economy)+大気・水・土壌等の汚染防止(pollution)+植生・森林・希少種などエコシステムの保護(ecosystems)の5要素に対するDNSH(著しく害さない:Doing No Significant Harm)
      を検討するとしています。
      公表されたタクソノミーでは、農林水産業、製造業、電気ガス、水資源等、輸送業、ICT、建設不動産業が対象となっており、60を超えるタクソノミーが提示されています。

      (2)事例
      実際には非常に細かな技術要件などが含まれていて複雑ですが、簡略化した事例は以下のとおりです。

      セメント製造業
      Mitigationの検討

      • セメント生産は重要な炭素排出源となっている。使用するエネルギー効率の改善、代替エネルギーへの転換などを通じて対応するべき:クリンカ(焼成した塊)及びセメントからの炭素排出量を基準とする

      DNSHの検討

      • 化石燃料の消費、セメント窯での焼成反応による汚染物質の排出
      • 水資源が十分でない生産設備での水資源の消費
      • セメント生産の過程で出た副産物等による地下水汚染の可能性

      太陽光発電
      Mitigationの検討

      • ネットゼロエミッション(NZE:net-zero emissions)への移行をサポートすること
      • NZEに貢献しない技術に固執しないこと
      • 炭素排出量が2050年までにはゼロになること

      DNSHの検討

      • 太陽光発電設備の敷地が保護地域に指定されていたり、エコシステム、生物多様性に重要なエリアである場合には、エコシステム、生物多様性に与える影響
      • 太陽光発電システムの生産と廃棄における環境への影響

      ご紹介:TCFD及びEUタクソノミーに関するKPMGジャパンのサービス等

      KPMGジャパンでは、GSDアプローチによるTCFDアドバイザリーサービスを提供しています。
      また、EUタクソノミーに関するご相談を受け付けています。
      詳細は、ページ内の「お問合せフォーム」もしくは「ご依頼・ご相談 RFP(提案書依頼)」からお問い合わせください。
       

      ※ GSDアプローチとは、Gap analysis(TCFD最終提言とのギャップ分析)、Scenario analysis(シナリオ分析)、Disclosure analysis(開示内容・手法の妥当性分析)を指します。



      執筆者

      KPMGジャパン
      コーポレートガバナンスCoE/TCFDグループ
      テクニカルディレクター 公認会計士 加藤 俊治

      加藤 俊治

      KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン/有限責任 あずさ監査法人 金融統轄事業部/サステナブルバリュー統轄事業部 テクニカル・ディレクター

      あずさ監査法人


      気候変動リスクは投資家、開示企業だけでなく社会的な関心事です。サステナビリティを見据えてTCFDに関するさまざまな情報を提供します。

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