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      今回は第5回に続いてTCFDと欧州サステナブルファイナンスというテーマのその4となります。
      第5回では、2018年3月に公表された欧州サステナブルファイナンスに関するアクションプラン(Action Plan : Financing Sustainable Growth)に関して、3つの目的と目的1に関する5つの施策をご紹介しました。今回は、目的2及び目的3に関する施策をご紹介します。
      ちなみに、アクションプランの3つの目的は以下のとおりです。

      目的1:持続的・包括的な成長につなげるために投資家の資金をサステナブルな投資案件に誘導する
      目的2:気候変動、資源枯渇、環境悪化、社会的課題から生じうるリスクを管理する
      目的3:透明性が確保され長期的視点に立った金融経済活動を醸成する


      1. アクションプランの3つの目的

      第5回をご参照ください。


      2. 目的1に関連した5つの施策

      第5回をご参照ください。


      3. 目的2に関連した3つの施策

      (1)サステナビリティの格付への反映とリサーチ手法の改善
      格付会社及びリサーチ提供会社による各企業のESG活動に関する評価や情報等は投資家によるサステナブル案件やその意識の高い企業への投資活動に一定の貢献を行っています。しかし、広く受け入れられる企業の評価基準等が欠如していることから、どの程度ESG要素を考慮しているのかが投資家に分かりにくい状況にあると考えられています。
      そこでアクションプランでは、格付会社に対してESGのようなサステナビリティに関する要素を企業評価に含めること、ESMAに対して格付会社が現状の実務においてどの程度ESG要素を考慮しているかを調査すること、欧州委員会も格付会社及びリサーチ提供会社の独立性を含むサステナビリティに関する格付やリサーチの状況に関する包括的な調査を行うことなどを要求しています。

      (2)機関投資家と資産運用会社の責任強化
      EU域内においても機関投資家及び資産運用会社は、その運用成果の最終受益者である投資家の最善の利益を考慮して投資意思決定を行うようにフィデューシャリーデューティーが求められています。しかし、現在の法令では機関投資家等に対して投資意思決定にサステナビリティを考慮するように求めるには不十分であり、サステナビリティを自動的に考慮したり、顧客に対してどのようにそれを考慮しているのかを十分には開示する仕組みになっていないと考えられています。
      そこで機関投資家及び資産運用会社に投資意思決定のプロセスにサステナビリティを反映させること、その意思決定の状況等を最終的な投資家に開示するよう欧州委員会が法案を検討することを求めています。

      (3)金融機関の健全性規制へのサステナビリティの導入
      銀行、保険会社、年金基金等はサステナブル投資の重要な資金源となりますが、例えば銀行資産の少なくとも半分は気候変動関連のリスクに晒されていると指摘されており、金融システムの安定性に対する脅威と想定されています。
      そこで欧州委員会は、気候変動など環境関連の要素を自己資本比率規制などのプルデンシャル規制に含めるべきか否かなどを検討するとしています。


      4. 目的3に関連した2つの施策

      (1)サステナビリティに関する開示と会計基準の強化
      EUでは2018年から従業員500人以上等の企業等に対して非財務情報及び多様性の開示に関するEU指令に基づいてESG情報等のサステナビリティに関する開示が要求されています。企業に対しては多様な開示方法が許容されており、投資家の意思決定に有用な程度の一定の標準化が課題となっています。そこで、同指令に基づく現状の開示実務がどの程度有効であるかについての分析と報告が求められています。
      さらに、非財務情報に関するEU指令のガイドラインを改正し、気候関連リスク情報をガイドラインに加えることを求めていますが、それはTCFD最終提言に準拠することとされています。
      また会計に関しては、金融商品に関する会計基準であるIFRS(国際財務報告基準)第9号がサステナビリティに関する長期投資を害さない基準であるか否かを検討するとしています。

      (2)コーポレートガバナンスと長期投資の強化
      経営者が短期的な成果を市場から求められた場合には、長期的な戦略的意思決定が難しくなる場合が想定されます。そこで長期的視点に立ったサステナブル投資に貢献できるようなコーポレートガバナンスを推進するために取締役会に対してサステナビリティ戦略の策定と開示、長期的な利益のための取締役に関する行動指針策定の必要性を評価・分析を行うとしています。


      ご紹介:TCFD及びEUタクソノミーに関するKPMGジャパンのサービス等

      KPMGジャパンでは、GSDアプローチによるTCFDアドバイザリーサービスを提供しています。
      また、EUタクソノミーに関するご相談を受け付けています。
      詳細は、ページ内の「お問合せフォーム」もしくは「ご依頼・ご相談 RFP(提案書依頼)」からお問い合わせください。
       

      ※ GSDアプローチとは、Gap analysis(TCFD最終提言とのギャップ分析)、Scenario analysis(シナリオ分析)、Disclosure analysis(開示内容・手法の妥当性分析)を指します。


      執筆者

      KPMGジャパン
      コーポレートガバナンスCoE/TCFDグループ
      テクニカルディレクター 公認会計士 加藤 俊治

      加藤 俊治

      KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン/有限責任 あずさ監査法人 金融統轄事業部/サステナブルバリュー統轄事業部 テクニカル・ディレクター

      あずさ監査法人


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