行動規範・行動指針・行動基準とは
「行動規範」とは、「Code of Conduct」の日本語訳で、服務規律に相当する倫理的な規範文書を指します。一般的に、企業のミッション・ビジョンを実現するための共有すべき価値観に基づき、役員・従業員が倫理的に行動するための倫理規範を意味します。
また「行動規範」を「行動指針」「行動基準」などと表現することもあります。これらは、一般的に、役員・従業員が共有すべき価値観に基づく具体的な行動ルールとして位置付けられます。
このように「行動規範」「行動指針」「行動基準」に明確な定義はなく、企業によって捉え方が違うこともありますが、組織として大切にすべき価値観を明示し、従業員が取るべき行動の方向性を示しているという点は共通しており、これらを役職員に周知・浸透させ、遵守してもらうことが、企業にとっては重要と言えるでしょう。
以下においては、行動規範・行動指針・行動基準を総称し、「行動規範」としてご説明します。
日本企業が直面するグローバル行動規範策定の必要性
多くの日本企業では、従前から行動規範を整備していますが、記載内容が国内目線であり、事業のグローバル化に伴い多様化したリスクへの行動指針を示しているとはいえません。そのため、次のような課題を認識し、行動規範を抜本的に改訂する企業が増加しています。
- 多様化するリスクに対する具体的な判断基準を示したい
- 海外にも通用するグループ共通の行動指針を整備したい
- 海外の買収先に共有・浸透すべきグループ共通の価値観を示したい
- 投資ファンドのCSRアンケートにも回答可能な内容を具備したい
グローバル行動規範の策定時に検討すべき事項
役職員がリスクに直面した際の行動指針(判断の拠り所)の策定
不正予防にも役立つグローバル行動規範の策定に当たり、次の点を重視して策定すべきと考えます。
グローバルに対応
- 不正予防にも役立つ内容とすること
- 多様な価値観を有するグループ全ての役職員に通用するシンプルな原理原則を示すこと
改定の容易性
- 進出国の言語に翻訳されることを前提に、適時の改訂が容易な内容・構成とすること
リスクへの対応方針
- 自社グループの役職員をとりまく「リスク」への対応方針をしめすこと
- 「リスク」は事業軸と地域軸の両面から検討されたものであること
役職員への浸透
- 役職員への周知教育に活用できる具体的な内容とすること。また、周知プログラムと現場教育の周知支援ツールのあり方も併せて検討すること
グローバル行動規範の策定・周知の重要ポイント
- 役職員がリスクに直面した際の行動指針(判断の拠り所)の策定するためには、自社をとりまくビジネス環境を踏まえたリスクを的確に把握することが必要不可欠であるため、必ず「リスク評価」を実施すること
- 行動規範の各事項は、自社グループのリスク評価結果の裏付けに基づき作成することが重要であり、投資ファンドからのCSRアンケートの質問事項や他社事例だけに関心を持って策定しないこと
- 行動規範は単に作成・配布されるだけではなく、その内容がグループの役職員に浸透してはじめて意味をなるものであるため、策定の段階から、研修の実施、周知ツールの整備、周知度の測定方法についても計画・準備すること
策定・周知プロセスの例
グローバル行動規範の策定支援に関するサービス内容
1.リスク評価の実施支援
コンプライアンス体制の現状評価や、「事業軸」「地域軸」のリスク評価を実施し、行動規範の記載内容の基礎となるリスクを洗い出します。
2.策定プロジェクトのファシリテートの支援
行動規範の策定プロジェクトにおける討議をファシリテートすることで、行動規範の位置付け・コンセプト・項目の候補の洗い出しなどを円滑に実施します。
3.構成案・文案の策定支援
企業理念、共有すべき価値観、ステークホルダーへの対応方針、リスクなどを踏まえ、役職員がリスクに直面した際の行動指針として相応しい構成案・文案を策定します。
4.周知の企画・実行に関する支援
周知計画の策定から、各種ツールの策定、周知実行の支援に至るまで、一連のサービスを提供します。