不正リスクマネジメントとは
不正リスクマネジメントとは、企業の目標達成を阻害するような意識的な不正行為を防止するため、発生する可能性のある事象や状況を識別・評価・管理・コントロールするマネジメントプロセスを言います。
不正が発生した事例の多くは、不十分な内部牽制や不十分な職務分離のほか、当り前の経営管理の考え方の欠如が原因としてあげられ、特別な対策が必要なわけではありません。
不正リスクマネジメント体制の確立に向けた前提条件
多くの日本企業にとって、海外子会社を含むグローバルベースでの不正リスクマネジメント体制の確立が急務となっています。一方で、グローバルベースで有効な不正リスクマネジメント体制を確立するためには、下記事項に留意する必要があります。
- 財務報告に係る内部統制制度に対応する取組みではカバーできない、不正の予防・早期発見の有効な対応策を確立すること。
- 中堅・中小規模であることが多い子会社では、管理体制のリソースが不足しており、職務分離・内部牽制を図ることが困難であることが多い。
- 特に海外子会社については、日本と同様の不正リスクマネジメント手法をそのまま導入しても通用しない論点が多いこと。
KPMGが提供するサービス
KPMGの不正リスクマネジメント体制の構築支援サービスは、現状診断、制度設計・導入支援から調査・監査・研修まで幅広いサービスを提供していますが、下記を重視している点に特長があります。
- 財務報告に係る内部統制制度に対応する取組みではカバーできない、不正の予防・早期発見の有効な対応策を確立すること。
- 職務分離・内部牽制を図ることが困難である中堅・中小規模の子会社にも有効な不正の予防・早期発見策を確立すること。
- 海外不正の特徴を踏まえ、海外にも通用する不正リスクマネジメントを確立すること。
不正リスクマネジメント体制の構築に関する主なサービスメニュー
全体施策(現状把握) |
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個別施策 | 制度設計 |
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導入 |
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監査・調査 |
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研修 |
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サービス概要
全体施策(現状把握)
1.不正リスクマネジメント体制の短期診断
規程等の文書や統制手続のレビューを中心とする短期診断により、不正リスク対策の 十分性や、不正発生の可能性があるシナリオと不正リスクマネジメント上の脆弱点を明らかに します。実質的な診断期間は標準で1ヵ月程度です。貴社の資料準備や、報告書の作 成・説明、高度化計画案の作成を含めても標準で3ヵ月以内で実施可能です。
個別施策/制度設計
2.子会社マネジメントハンドブックの策定支援
グループ各社のマネジメント力の底上げを図るために、子会社のマネジメント層向けに、不正の予防・早期発見に有効な支援ツールを策定します。特に、職務分離・内部牽制が脆弱となりがちな国内外の中堅・中小規模の子会社を念頭に、グループとして最低限要求する管理方針を明確にした上で、不正の予防・早期発見に資する着眼点等を含む解説書を作成します。
3.PMIにおける不正リスクマネジメント体制導入策の整備支援
買収前のデューデリジェンスにおける調査漏れを補うためのPMIにおける再デューデリジェンスの着眼点の整備や、買収先に導入すべき標準的なグループ管理方針の策定を支援します。
4.国別リスクガイドの作成支援
グループベースでの不正リスクマネジメント力を向上するために、進出国に関する国別リスク をまとめたガイドの作成を支援します。
個別施策/導入
5.子会社の現状把握/梃入れ支援
子会社への訪問や書面調査により現状把握を行い、グループ方針との乖離度を特定した上で、導入支援等を行います。
個別施策/監査・調査
6.従業員サーベイ(コンプライアンスアンケート)の実施
質問項目の作成から、経年比較分析、調査レポートの作成までを行います。「周知度」「意思度」「認知度」に加え、潜在的な不具合の有無を探る質問を設定します。
7.不正リスク対応監査・不正リスク調査の支援
各種の不正リスク対応型の内部監査の制度設計や監査の協働・代行を行います。(電子メール監査も可)。また、不正リスクの状況と対応状況の調査を行います。
8.不正事案の原因分析と再発防止の設計・実行支援
疑義発覚時の不正調査や、他部署/他グループ会社における残存リスクの有無、再発防止策の導入支援、十分性の検討、定着度の確認等を行います。
個別施策/研修
9.子会社マネジメントハンドブックの活用研修の実行支援
海外赴任前研修や、海外拠点長会議等において、マネジメントハンドブックを活用した不正リスク事例研修を行います。
10.不正リスク研修の実行支援
具体的な不正事例を想定したシナリオを題材に、マネジメント/担当者の立場から、 重要リスクの絞込みや原因・再発防止策およびモニタリング項目の検討を行います。