調達領域においては、長年にわたりプロセスの自動化とデジタルテクノロジーの導入が推進され、ソーシングから支払いに至るまでの調達に関する多くの取組みが合理化・自動化されてきました。デジタル化を推進するうえで、調達ソフトウェア「ボット」の活用は大きなメリットをもたらしますが、同時に課題も伴います。
KPMGは、調達部門へのボット導入支援により、企業の調達改革を支援します。

進化する調達部門

ボットの導入は、調達担当者にとっては自身の担当業務がなくなる恐れがあるとして、大きな不安要因になっています。これまでも、企業がリエンジニアリング、ERPの導入、アウトソーシングなどに取り組むたびに、同様の懸念が繰り返し発生してきました。このような懸念を考えると、事業の見通しのうえでも、また調達担当者の安心を確保するうえでも、企業は包括的なチェンジマネジメントプログラムを導入して戦略を策定することが不可欠です。
また、透明性を維持することも重要です。ボットの導入により各担当業務が将来的にどのように変わっていくのか、調達担当者にもたらされるメリットを示さなければなりません。また、サプライヤーなどのステークホルダーに対する調達ボットの影響も考慮しなければなりません。

<ボット導入により調達担当者にもたらされるメリット>
  • 反復的な手作業から解放される。
  • 調達プロセスが自動化されることで、より付加価値の高い業務へ注力できるようになる。
  • 新しい自動化プロセスを管理する能力が身につく。
  • より創造的な仕事を担うポジションに移行することができる。

RPAによる効率化

ロボティックプロセスオートメーション(RPA)はあらゆる産業のさまざまな領域で急速な導入が進められており、企業のビジネスそのものが変革しつつあります。
RPAは人件費削減と、効率性・正確性の向上に貢献しています。
KPMGインターナショナルによる調査によると、自動化によるコスト削減(40~75%)は、安価な労働力への切り替えによるコスト削減(15~30%)よりも大きな効果があります。自動化により、個人のスキルの差が平準化され、業務品質を向上させ、ミスを削減することができます。さらに高度な自動化では、迅速な意思決定も可能です。
CPO(最高調達責任者)が自社の調達プロセスの効果的な改善方法を模索するなかで、効率性の向上とコスト削減を達成する魅力的な方法として、RPAの存在感が増しています。

ボットによる業務プロセスの効率化

調達部門内でボットはどのように活用されるのでしょうか。
ベーシックなボットは、調達部門に多く存在する単純でルールに依存した反復作業(請求システムに入力された情報のレビューやチェックなど)を担うように設計されています。従来の業務が自動化されることで、調達担当者はより戦略的な活動に集中できるようになります。より高度なボットは、人の行動と似た複雑な作業を行うことができます。最も高度な形態のボットは、テキスト、音声、画像、動画など、構造化されていないソースを含む多様な情報源から膨大なデータを取得し、理解します。こうしたボットは情報を評価し、特定のアルゴリズムやオントロジーを使用して、人のように推論(さまざまな証拠と可能性に基づいた決定)をすることができるほか、調達担当者とともに業務を処理し、カテゴリーマネジメントやサプライヤーマネジメントなど部門内の重要度が高い戦略的な取組みを合理化し、改善することができます。また、支出や業務のパターンを特定し、サプライヤーやカテゴリーに関する動向をプロアクティブに把握することも可能で、さらには、調達部門のユーザーやビジネスユーザーに対し、プロセスやポリシーについてコーチングすることもできます。

ボットの導入によるチェンジマネジメント

調達プロセスへのボット導入決定後は、組織は効果的なチェンジマネジメントプログラムの構築と、業務の円滑な移行に注力しなければなりません。それには、調達担当者、経営層それぞれの立場から、ボット導入に関する説明やビジョンを提示する必要があります。業務の円滑な移行のために、ボット導入前には導入後の説明等も考慮した十分な検討を行うことが重要です。

<ボット導入前に検討すべきポイント>

  1. 組織の将来的なビジョンに向けての意思統一
    ・上層部がボットの導入に前向きに賛同し、将来のデジタルワークフォースの姿を描くためにサポートする。
  2. デジタル調達への変革に対する積極的な対応
    ・ボットの導入を成功させるため、チェンジマネジメントを実行する。
  3. デジタルニーズの進化に適応できる人材配置の実現
    ・ボットのメリットの活用・効果的な導入のため、人事部門と業務形態の変更について話し合う。
    ・また、人事部門に対して、強固な組織設計ツールを導入して新しい業務形態を再構築し、デジタルレイバーの導入メリットを確認するよう促す。
  4. 将来を見据えた人材採用・再教育の計画
    ・短期的な採用にとどまらず将来的な人材ニーズにも対応できる、先を見越した人材マネジメント戦略を策定する。
    ・人員の状況をプロアクティブに分析し、将来的に必要になる人材タイプと人数を予測する。
    ・既存人材と新規人材との重大な能力ギャップを解消する人材計画を立案する。
  5. 新しい働き方の導入・適応
    ・人とボットとの新たな関係を前提に、調達担当者の行動を変えていく。
調達部門の自動化による新たな労働力の確保図表1

KPMGによる調達部門へのボット導入支援

KPMGは、デジタルレイバー(RPAやAIを活用して業務を自動化するソフトウェアロボット一般)の活用支援を通じて企業の変革をサポートしており、600件を超えるボット導入支援実績を有しています。

<デジタルレイバー導入支援実績>

業界 支援範囲
メディア/エンターテインメント

・98の経理財務プロセスの自動化診断

・企業間プロセスに関する概念実証

・テクノロジーベンダーのアセスメント

通信

・センター・オブ・エクセレンス(CoE)の設計

・チェンジマネジメント

・ボットの設計と構築

・Q&Aボット

・インフラ構築支援

・トレーニング

食品・飲料

・CoEの設計

・チェンジマネジメントとコミュニケーション

・ボットの設計、構築、テスト

・機能面と技術面の設計

ライフサイエンス/ヘルスケア

・機能面と技術面の仕様書の設計

・概念実証

・パイロット開発

・チャットボットの概念実証

銀行

・顧客オンボーディングの自動化

・非構造化データと神経言語プログラミング(NLP)の抽出

・リスクアセスメントの優先順位付け

・概念実証

エネルギー/公益事業

・詳細プロセスマップ策定

・自動化可能分野の分析

・自動化戦略の策定

・チャットボットの概念実証

小売業

・デジタルレイバーのブループリントとロードマップ作成

・グローバルに共有可能なサービスのガバナンスモデル

・テクノロジープラットフォームの評価

・財務経理・人事プロセス用のボット構築

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