自動車業界ではSDV(Software Defined Vehicle)が競争力を左右する重要テーマとなり官民両輪で取組みが進んでいますが、ソフトウェアにより価値を提供するビジネスの本格化に伴い、「OEMと主要サプライヤーを中心に価値が作られる」という市場構造が覆りつつあります。
KPMGは、豊富な知見を基に、企業が競争優位性を維持、または新たに確立するためのSDV領域における指針設計を支援します。
SDVとは
SDVは、一般的に「自動車のスマートフォン化」と言われ、一例として自動運転(AD)/先進運転支援システム(ADAS)機能、車載インフォテインメント(IVI)機能のアップデート、基盤としてのビークルOS、ドメイン/ゾーンアーキテクチャの実現も含まれます。これらは、主にユーザーサイドから見た価値で表現されているため「企業がどのようにユーザーの価値を作り込むか?」という視点が欠如しています。
KPMGは「ソフトウェア(SW)での価値更新」に加えて「SWを車両のライフサイクルを通じて開発・運用し続けられる組織体制・仕組み」まで考慮した範囲をSDVとして捉えるべきと考えます。この組織体制・仕組みとはAD/ADAS、IVI等の機能を実現するSWを作り込み、管理するための「開発環境」、国際規格・認証獲得等の法規対応も含めたトレーサビリティ・品質管理を行う「運用環境」、どのようなSWを開発していくかの指針となる車両データ蓄積のための「コネクテッドプラットフォーム(PF)」、SWを配信する「OTA(Over-the-Air) PF」といった車両内・外部の環境が相互に連携し、SWが作られるプロセスが絶えず技術体系及び事業活動として体現されている状態を指します。
SDVにより引き起こされる3つの変化
(1)新たなニーズへ対応するための開発・組織体制変化
SDVの進展は、SWを軸に組織構造・役割分担・意思決定プロセスそのものの再設計を企業に迫ります。
- SW開発専門部署の新設・高度化
開発・運用・更新を高速に回すため、従来部門から独立したSW組織の設立が進展
- DevSecOpsを前提とした部門横断体制への移行
開発・運用・セキュリティを常時連携させる組織運営が必須に
- SW組織の事業部化・独立採算化
機能の社内提供やチーム別収益管理など、SWを「コスト」から「事業」へ転換
- 全社共通の開発基盤を担う中核組織・人材の重要性増大
個別最適ではなく、全社最適でSW開発を支える横断組織が鍵に
- AI・ML Opsを前提とした役割・スキル構成への転換
車両制御モデルの継続更新に対応できる人材・組織設計が競争力を左右
- 法規認証部門の組織統合・関与深化
SW更新の影響範囲と安全性を判断するため、開発プロセスへの組み込みが不可欠
【SDVによる提供価値の変化】
(2)事業性の変化
SDVの進展により、従来の収益モデルは通用しにくくなり、プレイヤーごとに事業性と競争環境が大きく再編されつつあります。
- OTA単体での収益化は困難化
ADAS L2+の標準化などにより課金余地が縮小し、当面はECU統合によるコスト削減が開発原資に
- 商用車ではTCO低減が競争力の中核に
SDVによる予防整備高度化が進まない場合、顧客に選ばれにくくなるリスクが増大
- Tier1はSW事業への転換を迫られる
SW運用・開発環境のサービス化やSoC・AI領域への進出が不可欠に
- SW投資を継続できるかがTier1の分岐点
OEM・エンドユーザーからの収益確保が難しいなか、事業投資の持続性が課題
- HW専業化による収益性低下リスク
OEM・IT事業者の内製化進展により、Tier1の立ち位置は厳しさを増す
- Tier2(半導体)は高効率な立場を確立しつつも不確実性を内包
SoC・AI基盤を軸に影響力を高める一方、地政学リスクや技術進化による環境変化リスクが残存
(3)プレーヤーの役割変化
SDVの進展により、車両の商品力はSW主導へ移行し、OEM・サプライヤー・関連プレイヤーの役割分担が再編されつつあります。
- AD/ADAS・IVIの継続更新が商品力を左右
SWの進化が車両価値に直結
- 従来のTier1完結型ビジネスは縮小
HW+SW一体納入モデルからの転換が進行
- OEM主導のソフトウェア内製化が加速
アプリ開発を含め、OEMが主導権を握る動きが拡大
- OEMとサプライヤーの「Tier0.5」化が進展
車両PF・E/Eアーキテクチャ・SW仕様を共同設計
- SoCレイヤへの進出が競争軸に
Tier1はSoC・AIモデル開発まで事業領域を拡張
- Tier2はイネーブラーへ役割拡大
SoC提供に加え、OEMのアプリ開発・運用を支援
- IT事業者は「SW Tier1」として台頭
従来のTier1を介さず、OEMを直接支援する動きが顕在化
【SDVの担い手・推進組織・費用回収モデル】
KPMGによる支援
SW開発がライフサイクルを通じて継続するビジネスモデルに変わるなか、従来の「OEMー主要なサプライヤー構造」が崩壊する可能性を踏まえると、新たな事業機会探索や変化する市場構造のなかでの競争優位性構築の対応が遅れることは、収益獲得機会の逸失のみならず、市場から締め出される可能性にまでつながり得ます。
しかし、自動車業界のバリューチェーンにおける関連プレイヤー(OEM/Tier1、2/IT事業者/半導体事業者/総合商社/金融事業者等)において、SDVの進展に伴って発生する主要な事業機会と取るべき対応は各社ごとに異なってきます。そのため、ユーザーと、各社が市場において提供できるユーザーへの価値の再定義を踏まえた事業機会候補の特定が必要です。
KPMGは、モビリティ事業に特化したコンサルタントが集まるMobility Ecosystem Strategyチームを設置しており、企業の市場への参入から、参入後の事業戦略策定までをサポートします。
支援内容 | 詳細(例) | 想定される支援先 |
市場/顧客/競合/政策調査・分析 |
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事業戦略策定 |
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組織戦略策定 |
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| SDV関連サービス 企画・開発 |
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| リスクシナリオプランニング |
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| スキルトランスファー |
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| 事業構築 |
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