不透明感の高まり、不確実性の常態化、そして高まるボラティリティ――これらは依然として世界のビジネス環境を特徴付けています。KPMGが『On the 2026 Board Agenda』を公表して以降、マクロリスクと経営課題が相互に重なり合う状況は、その影響が一層顕在化するとともに、取締役会における議論の緊急性も高まっています。
経済の脆弱性、地政学的分断、人工知能(AI)の急速な導入、関税・規制の急激な変更、サイバーセキュリティ上の脅威、そして労働力構造の変化は、それぞれが独立した課題ではなく、相互に作用し合いながらリスクを著しく増幅させています。イラン情勢をめぐる紛争はこうした複雑性を一段と深め、多くの業界における地政学的・市場的な前提条件の見直しを迫っています。その結果生じたエネルギー供給ショックは、企業の事業環境における他の重要なボトルネック(例:主要な商品・原材料へのアクセス、資本と流動性、サプライヤーの集中、サイバーセキュリティ侵害、労働力の確保など)に引き続き注視すべきであることを、改めて示しています。
こうした状況の一部は、乗り越えるべき一時的な激しい逆風といえますが、その一方で、より根本的で構造的な変化も進行しています。実際、KPMGが最近実施した調査では、取締役の80%が「自社の戦略は今後1~2年の間に大幅な見直しを迫られる可能性が高い」と回答しています。
取締役会にとっての示唆は明確です。マクロ環境の不確実性と変化は、もはや経営陣だけが対処すべき課題ではなく、取締役会が取り組むべき重要なガバナンス課題となっています。取締役が取締役会にもたらす独自の資質――環境認識、経験、そして判断力――は、今後数ヵ月における実効的な監督とリーダーシップの発揮に不可欠です。
本記事では、KPMGの継続的な活動や、2026年KPMG Board Leadership Conferenceでの議論を踏まえ、取締役会が下期のアジェンダを見直し、優先事項を再調整するにあたって参考となる示唆と考察を紹介します。
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執筆者
KPMG US Board Leadership Center