本連載は、2026年9月より中央経済社Digitalに連載された記事の転載となります。以下の文章は原則連載時のままとし、場合によって若干の補足・修正を加えて掲載しています。
法務・コンプライアンス部門は、法律相談、契約書審査、紛争対応など、個々の案件に適切に対応することを中心に発展してきました。
一方、人権・環境や腐敗防止など、近年法務・コンプライアンス部門が扱うリスク領域は拡大しています。対応すべきリスクも、グループ会社、取引先、製品、サプライチェーン全体にかかわるものが増え、1つの案件や部門のなかだけでは対応が完結しないケースも少なくありません。
本稿では、「法務コンプライアンスデータ」を、法務・コンプライアンスリスクの識別、評価、対応およびモニタリングに用いるデータの総称として捉えます。これには、契約、法律相談、紛争、内部通報・相談、調査・監査などの業務を通じて生成・取得される情報だけでなく、取引・支払、調達、人事、品質、安全、環境などの関連業務情報のうち、リスクの把握や判断に必要なものも含まれます。
これらの情報が契約・支払、内部通報・相談、監査など、情報が異なる部門やシステムに分散していれば、案件ごとの対応や情報整理だけでは、会社全体におけるリスクの所在や集中、同種問題の繰り返し、変化の傾向を把握することは困難です。そのため、個別案件への対応に加えて、部門や案件を横断して共通する問題や潜在的なリスクを見いだし、問題が顕在化する前の兆候を捉えることが求められています。
具体的には、次のような問いに答えられる状態を整えることが重要です。
- どのリスクが、どの事業・地域・製品・取引先に集中しているか
- 同じ問題が、複数の案件や部門で繰り返されていないか
- サプライチェーンのどの階層・拠点・原材料に起因するリスクがあるか
- 問題がインシデントや紛争として顕在化する前に、件数の増加や通常とは異なる兆候の重なりを把握できないか
本連載で考える「法務コンプライアンスデータマネジメント」
こうした対応を可能とするため、本連載では、法務・コンプライアンスデータを適法かつ信頼できる状態で管理し、個別案件への対応から、部門・案件横断のリスク把握、判断・対応までにつなげる取組みを「法務コンプライアンスデータマネジメント」と定義します。文書保管やAI(人工知能)の導入準備だけではなく、コンプライアンス統制、説明責任、経営判断を支える経営基盤を対象とします。
本連載では、法務・コンプライアンス領域を取り巻く環境変化を起点として、法務コンプライアンスデータがもたらす価値、活用の成立条件、本稿独自に整理する実装形態に応じた活用方法、データマネジメントの導入ステップ等を6回に分けて解説します。
- 第1回 法務・コンプライアンスを取り巻く環境変化
- 第2回 法務コンプライアンスデータがもたらす価値
- 第3回 法務コンプライアンスデータ活用の成立に必要なデータマネジメントとは
- 第4回 法務コンプライアンスデータ活用の導入領域と実装形態の選定
- 第5回 リスクの予兆を捉える法務コンプライアンスデータマネジメント
- 第6回 法務コンプライアンスデータマネジメントの導入・定着ステップ
執筆者
KPMGコンサルティング
Regulation & Sustainability Intelligence
シニアマネジャー 荒尾 宗明
マネジャー 吉田 愛子
Data Analytics & Data Management
アソシエイトパートナー 安田 壮一
シニアマネジャー 土田 俊輔
マネジャー 大野 発
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企業の法務・コンプライアンスの取組みに関する調査
KPMGコンサルティングでは、「企業の法務・コンプライアンスの取組みに関する調査(法務・コンプライアンスリスクサーベイ)」を実施しています。企業の法務・コンプライアンス機能について、組織体制、業務高度化、テクノロジー活用、経営・事業への関与、ESG・人権・AI等への対応状況を把握し、今後求められる法務機能のあり方を分析することを目的としています。
ご回答内容は、個人や企業名が特定できる形では公開されません。また、ご回答いただいた企業には、完成後に調査結果レポートを送付させていただきます。
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- 回答時間:20~30分程度
- 回答期限:2026年10月30日(金)
- 調査実施:KPMGコンサルティング株式会社(調査委託:株式会社日経リサーチ)
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