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      KPMGコンサルティングは、2026年7月9日(木)、啓明学院高等学校の高校1年生から3年生を対象に、気候変動適応をテーマとした講義およびワークショップを実施しました。

      気候変動適応を、リスクへの備えにとどまらず、新たな事業機会や地域社会の持続的な発展、将来の価値創出へとつなげて考える機会となりました。本稿では、ワークショップの模様や生徒たちの意見から得られた示唆について紹介します。

      開催概要

      今回の取組みは、気候変動への対応を「緩和」だけでなく「適応」の観点から捉え、企業経営や地域課題と結びつけて考えることを目的に実施しました。猛暑、豪雨、洪水、高潮、土砂災害、サプライチェーンの寸断など、すでに顕在化しつつある気候ハザードを題材に、企業がどのように備え、どのように価値創出につなげられるかを学ぶ内容としました。

      講義では、まず気候変動適応の基本的な考え方を解説し、熱中症対策、避難ルートの確認、浸水リスクを踏まえた設備・物流体制の見直しなど、身近な例を用いて説明しました。

      Japanese alt text: 気候変動適応を「自分事」にする学び_写真1 講義全体の様子

      気候変動適応を企業経営の視点で考える

      ワークショップでは、生徒の皆さんに「自分が企業のCEOだったら」という視点で、神戸に関係のある実在の企業を題材に検討してもらいました。企業の技術、事業、拠点、サプライチェーン、従業員、地域社会とのかかわりを踏まえ、気候ハザードが企業活動に与える影響と、レジリエンスを高める対応策を整理しました。

      たとえば、猛暑による屋外作業や工場現場の熱中症リスク、空調コストの増加、生産性の低下に対して、温度センサー、冷却設備、作業環境の見守り、健康データの活用などを組み合わせることで、従業員の安全確保と新たな製品・サービス開発の可能性を考えました。また、豪雨や高潮による道路冠水、港湾機能の停止、倉庫・工場の浸水、物流遅延などに対して、防水・止水設備、浸水モニタリング、代替物流、在庫分散、耐水性の高い施設設計などを検討しました。

      Japanese alt text: 気候変動適応を「自分事」にする学び_写真2 グループワークの様子

      グループワークで見えた「守り」と「攻め」の適応

      今回のワークショップで特徴的だったのは、生徒の皆さんが気候変動を単なる環境問題としてではなく、企業経営や地域課題と結びつけて考えていた点です。気候変動適応は、被害を小さくする「守り」の対応に加え、自社の技術やデータ、人材、地域との関係性を活かして社会課題の解決に貢献する「攻め」の事業機会としても捉えることができます。

      テーマパーク運営会社を題材にしたグループでは、猛暑や豪雨への対応を安全対策にとどめず、これまで提供してきた「屋外で楽しむ体験価値」を、気候変動下でも楽しめる新しい顧客体験へ転換する発想が示されました。具体的には、屋内型(地下空間の活用等)・夜間型・デジタル連動型の体験を充実させること、天候に応じて楽しみ方を変えられるサービスを設計すること、猛暑日や雨天時でも快適に過ごせる滞在環境を新たな魅力として打ち出すことなどが挙げられます。

      この視点は、既存の事業を守るだけでなく、顧客に提供している価値そのものを再定義するものです。気候変動適応を設備投資やコスト負担としてのみ捉えるのではなく、顧客体験の再設計、新サービス開発、収益機会の創出へつなげる考え方は、企業がレジリエンス領域の事業戦略を検討するうえでも重要です。

      Japanese alt text: 気候変動適応を「自分事」にする学び_写真3 発表・共有の様子

      生徒アンケートから得られた示唆

      講義後のアンケートでは、回答者の75%以上が、今回の講義を通じて「新たな気づきや発見があった」と回答しました。気候変動適応という、まだ十分に認知が広がっていないテーマであっても、身近な生活や企業活動と結びつけて学ぶことで、自分事として捉えられる可能性が確認されました。

      自由記述では、気候変動適応を通じて社会やビジネスの課題が具体的に見えるようになったこと、仲間同士で解決策を共有しながら考えを深められたことを評価する声が寄せられました。また、CO2排出量削減だけでなく、異常気象のなかでもビジネスや日常生活を継続できるよう備えることの重要性に気づいたという回答もありました。

      【理解度に関するアンケート結果】
      Japanese alt text: 気候変動適応を「自分事」にする学び_図表5
      【新たな学び・気付きに関するアンケート結果】
      Japanese alt text: 気候変動適応を「自分事」にする学び_図表6

      教育現場とビジネスをつなぐ気候変動適応

      講義終了後には、啓明学院の常任理事および校長先生とも意見交換を行いました。気候変動適応を実践することが、環境への対応と経済活動をどのように両立させるのかという観点について議論が交わされました。

      校長先生・常任理事からは、気候変動適応を通じて、環境課題への対応と経済的価値の創出を両輪で考えることは、教育現場においても意義のあるテーマであり、生徒が社会課題とビジネスをつなげて考える機会になるとのコメントをいただきました。

      Japanese alt text: 気候変動適応を「自分事」にする学び_写真4 小菅常任理事(中央)・指宿校長(右)との講義後の意見交換の様子

      おわりに

      KPMGコンサルティングは、企業の気候変動戦略、サステナビリティ経営、レジリエンス領域の事業戦略、ならびに気候変動を起点とした事業機会創出を支援してきました。今回の取組みは、こうした専門知見を教育現場や次世代人材の学びにも展開する試みです。

      気候変動適応は、行政や企業だけが考えるものではありません。将来社会を担う生徒の皆さんが、自分たちの生活、地域、学校、企業活動との関係で気候変動を捉え、自ら考えることは、持続可能でレジリエントな社会をつくるうえで重要な一歩です。

      KPMGコンサルティングは、今後も気候変動適応に関する知見を活かし、企業のレジリエンス強化や適応ソリューションの創出を支援するとともに、学校・地域・企業との連携を通じて、次世代に向けた学びの場づくりにも取り組んでいきます。

      本取組みの実施にあたり、ご協力いただいた啓明学院の校長先生、常任理事をはじめ、教職員の皆さまに心より御礼申し上げます。また、講義およびワークショップに積極的に参加し、多様な視点から意見を共有してくださった生徒の皆さんにも深く感謝します。今回の取組みは、皆さまのご協力により、気候変動適応を学びとビジネス、地域社会、将来の価値創出へと接続する貴重な機会となりました。

      執筆者

      KPMGコンサルティング
      執行役員 パートナー 土谷 豪
      マネジャー 白杉 誠基
      マネジャー 山本 悠真
      シニアコンサルタント 丁 海聖
      シニアコンサルタント 大矢 真子
      コンサルタント 宍田 順菜
      コンサルタント 近藤 真由

      筆者が行った取材を基に、未来の危機に備える「個人のレジリエンス」とリーダーが備えるべき判断軸、行動力、共助とつながりの重要性を解説します。

      自然災害やサイバー攻撃、地政学リスクなどの複雑化に伴い、企業に求められる対応がさらに高度化していることがわかりました。

      KPMGは、クライシスマネジメント態勢の構築や、BCM/BCPの策定に加え、危機が発生した場合の対応までをワンストップで支援します。

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      KPMGコンサルティング

      戦略策定、組織・人事マネジメント、デジタルトランスフォーメーション、ガバナンス、リスクマネジメントなどの専門知識と豊富な経験から、幅広いコンサルティングサービスを提供しています。

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