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      気候変動訴訟が世界各地で拡大しています。ただし、その争点は大きく変化しつつあります。なかでも近年は、猛暑や大気汚染などを通じた健康被害への関心の高まりを受け、気候変動と人々の健康の関係性に対して、国家や企業の責任を問う訴訟が増加しています。同様に、生物多様性の損失を人々の健康や生活への影響と結び付けた訴訟も現れ始めています。このような新たな潮流は、気候変動-環境汚染-生物多様性の損失というトリプルクライシスがもたらす健康被害を人権侵害ととらえる「プラネタリーヘルス訴訟」と位置付けることができます。

      この潮流に拍車をかけたのが、2025年7月23日に示された国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見です。同意見は、国家が気候変動対策に関する国際法上の義務を負うとの見解を初めて明確化し、気候変動対策における国家の不作為責任を問う法的根拠と判断基準を整理したものです。これにより、健康被害を主張する気候変動訴訟の増勢が後押しされる可能性があります。事実、2025年12月18日には、この勧告的意見を受けて、日本で初となる気候変動国家賠償請求訴訟が提起されました。

      こうした国際的潮流の変化が進む一方で、政府や企業は、環境問題と人権・健康問題を別々の問題として捉える場合も多く、上述の変化に対して能動的に対応できているとは言い難い状況にあります。そこで本レポートは、健康被害に焦点を当てた気候変動訴訟の動向と主要論点を概観したうえで、その特徴を整理し、政府・企業に求められるアクションや留意すべきポイントを提示しました。


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      執筆者

      あずさ監査法人
      ディレクター 小柴 巌和
      シニアマネジャー 山形 律子
      シニアアソシエイト 畠山 航也
      アソシエイト 藤芳 絢乃

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