生成AIを導入したいが、何か問題が起きたときにどう責任が取れるのか。生成AIの全社展開に踏み切れない企業に共通する悩みだ。カナダのある金融機関も同じ壁に直面していた。一部の部門ではAI導入を進めていたが、全社的なリスク管理とガバナンス体制、いわば「ガードレール」が未整備だった。AI導入をめぐる競争が激しさを増すなか、先行しすぎるリスクと遅れを取るリスクの狭間で身動きが取れず、取りうる戦略の探索を繰り返した。KPMGの「Trusted AIフレームワーク」が解決の糸口となった。データの整合性、AIの透明性などの10の軸で、自社組織体制の評価と競合50社のベンチマークを実施。その分析を踏まえてAI戦略を立案、12〜18カ月の具体的な実行計画を策定した。
概要 Overview
課題(Before)
- AI導入に向けた適切なリスク管理とガバナンスが未整備
一部でAIツールを開発・導入していたが、全社展開するためのリスク管理とガバナンス体制=“ガードレール”が未整備 - 自社のAI対応力を評価できていない
現状の体制で、安全かつ信頼できるAI導入を推進できるかを評価できておらず、AI導入・拡大に向けた具体的で実行可能なロードマップを描けていない - 業界内での自社のポジショニング把握
AI導入に関して、業界内での自社のポジショニングを明確に把握できていない。競合他社と比較して、過度に先行してガバナンス不足に陥るリスクや、逆に遅れを取るリスクを回避する必要があった
解決策(During)
- KPMGのTrusted AIフレームワークの活用
透明性、データ整合性、プライバシーなど10の柱で構成されたKPMGのTrusted AIフレームワークを採用。AIのライフサイクル全体を通じて責任あるAI導入を推進するための構造化されたアプローチを活用 - 3段階の評価プロセスの実施
① ディスカバリーセッション:対話を通じ、現行のAIツールの使用状況と管理方法を評価
② フィールドワーク:使用中のAIモデルに関するインタビューと資料収集を実施。ローン承認の審査モデルを含むAIモデルのサンプルをテストし、リスクや有効性を評価
③ 報告と提言:①②で把握したリスクを踏まえ、AIガバナンスとリスク管理体制構築のためのロードマップを策定 - 競合50社をベンチマーク調査
競合50社を対象に詳細な調査を実施。各社のAI活用度を把握し、自社の業界内でのポジショニングを分析
成果(After)
- AIガバナンスとリスク管理のギャップを可視化し改善に着手
現状のAI管理体制を評価し、必要な"ガードレール"とのギャップを明確化。責任あるAI導入に向けた具体的な改善アクションを開始 - 業界内ポジションを把握し戦略的なAI導入を実現
50社のベンチマーク調査により、AI活用における自社の立ち位置を定量的に把握。過度なリスクや遅れを回避する判断材料を獲得 - 12〜18カ月の実行可能なロードマップで自信を持ったAI活用へ
AI能力開発とガバナンス・リスク管理の具体的な実装計画を策定。責任ある方法でAIの潜在力を活用し、自信を持ってリスクを管理できる体制を確立