Skip to main content

読み込み中です


      2025年10月7日に厚生労働省(以下、「厚労省」)にて「第1回 企業年金の加入者のための運用等の見える化等に関する懇談会」(以下、「見える化懇談会」)が開催され、11月に議事録が公開されました。本稿では、議題のうち「企業型DCの適切な商品選択のための取組・推進について」に関する内容と意義について解説します。


      1. 適切な商品選択に向けた取組に関する議論

      2025年10月7日に厚労省にて「見える化懇談会」が開催され、11月に議事録が公開されました。
      議題は、「(1)企業年金の加入者のための運用等の見える化の具体化について」と「(2)企業型DCの適切な商品選択のための取組・推進について 等」で、前者の(1)については、「企業年金運用の「見える化」の検討状況とスケジュール」にて解説しています。本稿では(2)について解説します。

      見える化懇談会の「【資料2】適切な商品選択に向けた取組」で示された提言の概要は以下のとおりです。

      • 企業型DCを実施する事業主は、1.商品の選定、評価、見直し、2.投資教育の実施等により、加入者が適切に商品を選択できるよう、継続して取り組んでいく必要がある。現状の事業主の取組状況は、投資教育の実施割合が約7~8割、商品のモニタリングの実施・見直しの実施割合が約3~4割、運営管理機関の評価の実施割合が約4~5割となっている。
      • 運営管理機関は選定している運用商品のラインナップについて、適切にモニタリングをし、その結果を踏まえた適時の見直しを提案していくことが求められる。また、運営管理機関のユニバースの一覧について、HPに開示をすることとされているが、そうした情報提供の在り方についても、事業主のニーズも踏まえつつ対応していくことが重要である。
      • 以上を踏まえて、以下の対応を進める。
        • 事業主の取組を推進するため、厚労省HPにおいて継続投資教育のページの充実を図る等、情報発信の拡充を行うとともに、事業主が取り組むべき事項を整理したガイドブックを作成し、厚労省HPや運営管理機関等を通じて周知する。
        • 運営管理機関に対しても、事業主と連携した加入者等の最善の利益を勘案した商品選定、適時適切な商品入替、効果的な投資教育の実施等を促すといったことを通じて、適切な商品選択に向けた取組を推進する。
        • 企業年金の運用等の見える化を通じて他社との比較や分析ができるような環境を整え、企業年金を行う主体やその加入者などが、加入者等の最善の利益のために運営を改善できるようにする。

      加えて、資料中では、2025年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2025改訂版」の資産形成を行うための環境整備についても取り上げられており、「企業型DCについて、足元の物価が上昇する市場環境下において、元本確保型商品では実質的な購買力を確保できない可能性があることについて、事業主は加入者に対してより丁寧に説明するとともに、必要に応じて指定運用方法を含めた運用商品の構成の見直しを検討するよう促す」ことが強調されています。

      また、前述のガイドブックとして、「【参考資料1】適切な商品選択に向けた取組に関するガイドブック」が併せて公開されています。こちらには、適切な商品選択に向けた取組の観点から、運用商品の選定・評価・見直し、投資教育のポイントが、また、従業員の老後資産形成の観点から、運営管理機関との対話・業務評価における手順や評価方法についてのポイントがそれぞれまとめられています。

      2.「適切な商品選択に向けた取組のために ガイドブック」の公開

      見える化懇談会では参考資料としてガイドブックが公開されていましたが、11月19日付で厚労省より事務連絡「企業型確定拠出年金に係る適切な商品選択に向けた取組に関する参考資料の送付について」が発出され、正式版のガイドブックが地方厚生(支)局に送付されました。
      地方厚生(支)局のHPへの掲載や、企業型DC年金実施事業所の運営状況報告書の受け渡しの際の事業主に対する配布などを通じて、幅広く周知を行うことを目的としています。

      3. 企業に望まれる対応

      11月に公開された見える化懇談会の議事録によると、「【資料2】適切な商品選択に向けた取組」の提言内容について出席者からの反論や見直し提案は出ていなかったようです。
      今回の適切な商品選択に向けた取組に関する議論やガイドブックの公表は、企業型DC年金実施企業に新たな義務を負わせるものではないと考えられます。しかし、適切な商品選択の前提となる運用商品の品質が低い場合や、運営管理機関の運用商品提案力やサービス水準が低い場合、従業員のウェルビーイングを損なう原因となります。優秀人材確保の競争激化や人的資本経営の推進といった課題に対応する観点からも、企業は運用商品の評価、運営管理機関の評価といった対応をしっかりと行うことが必要です。また、その結果を労働組合や従業員に説明していくことで、従業員は会社が従業員のウェルビーイング向上に真剣に取り組んでくれていることを実感し、会社への信頼を高めると考えられます。こうした取組は、企業と従業員の双方にとって有益であるといえるでしょう。
      今後、企業年金の運用等の見える化によって、他社との比較や分析ができるような環境が整えられ、加入者等の利益のための各種評価や運営改善が行いやすくなる予定(「企業年金運用の「見える化」の検討状況とスケジュール」)ですので、適切な商品選択へ向けた取組を本格化する契機としてはいかがでしょうか。

      なお、運営管理機関の評価については、前述のガイドブックにも評価フローが例示されており、評価を実施しようとする企業には参考になるものと思われます。


      KPMGが推奨する運営管理機関の評価実務については以下の記事を参照ください。上記の評価フローに関しても、支援経験を踏まえた具体的なスケジュール案を載せています。

      確定拠出年金(DC)の運営管理機関の評価実務~従業員満足度の向上のために~


      KPMGではDC年金導入企業による商品評価や運営管理機関の評価の支援を行っていますので、お気軽にお問合せください。

      確定拠出年金制度の運営高度化に関するアドバイザリー

      執筆者

      有限責任 あずさ監査法人
      金融アドバイザリー事業部
      マネージング・ディレクター 萩原 浩之

      萩原 浩之

      金融アドバイザリー事業部 マネージング・ディレクター

      あずさ監査法人


      金融機関とは独立した客観的な第三者として、確定拠出年金の導入や運営のアドバイザリーサービスを提供しています。

      広範な分野をカバーする専門チームを組織し、退職給付制度に係わる問題を経営の視点から俯瞰する統合的・横断的なサービスを提供します。