昨今では、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資家が、企業のESGパフォーマンス評価において、株主権利の尊重、取締役会および監査役の実効性等を含め、ガバナンスの要素を重点的に評価しており、グローバル企業にとってESGは最重要課題です。
KPMGは、ESG時代にグローバル企業として対応すべきガバナンスやリスク管理体制の改善と実行をワンストップで支援します。

ESGリスクマネジメントとは

2006年に国連が発表した責任投資原則(PRI:Principles of Responsible Investment)は、機関投資家が投資を意思決定するプロセスにおいて、財務状況だけでなく、ESGの課題を組み込むことへのコミットメントとなっています。近年のESGへの認識の高まりや、変化するグローバルリスク情勢、および企業に対する要求の変化を受けて、2018年にCOSO※1およびWBCSD※2が発行した「ERM※3のESG関連リスクへの適用ガイダンス」では、事業体がESG関連リスクの全範囲をよく理解し、ESG関連リスクを既存のリスクマネジメント活動に統合していくプロセスを解説しています。
KPMGは、これらの「ESG関連リスクをリスク管理活動に盛り込む活動」を「ESGリスクマネジメント」と定義し、各社のリスクマネジメント体制・PDCAプロセスの改善とその実行を支援します。

※1. COSO:the Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commissionの略称
※2. WBCSD:the World Business Council for Sustainable Developmentの略称
※3. ERM:Enterprise Risk Managementの略称。企業の統合的リスクマネジメント

ESGリスクとは

ESGリスクとは、事業体に影響を及ぼし得る環境・社会・ガバナンスに関連するリスク/機会(サステナビリティリスク・非財務リスク・または財務以外のリスク)を言います。ESGリスクは、自社が環境や社会から影響を受ける事象と、自社が環境や社会に影響を与える事象が考えられ、現在と将来の両視点でこれらリスクの検討を進めることが重要です。

<ESGリスクとして想定される例>

分類 ESGリスク例
戦略

・顧客の好みが倫理的なサプライチェーンで製造された製品にシフトするリスク(事業ポートフォリオの見直しが必要な懸念)

・ESGの問題に対する投資家の関心が高まり、その結果、さまざまなトピック(例:多様性、森林破壊、人権)を理由に、株主離反や取締役選任への反対票を招くリスク

オペレーショナル

・持続可能な森林管理に起因する原材料コストの増加リスク

・製造プロセスの改善による廃棄物および原材料コストの削減が、取引先等から求められるリスク

・気候変動と自然災害の増加により、ビジネスの継続性が妨げられるリスク

ファイナンス

・租税回避戦略と税の透明性の欠如によるレピュテーション毀損リスク

・炭素税規制による増税リスク

コンプライアンス

・サプライヤーによる児童労働などの人権侵害にあたる行為が判明し、調達が停止されるリスク

・温室効果ガスの排出とエネルギー使用に関する報告要件の強化リスク

・温室効果ガス排出量の不正確または不正な開示により、罰金および罰則が課され、消費者の信頼が失われるリスク

ESGリスクマネジメントの構築に向けたKPMGによる支援

このようなリスクに対して企業が採るべきアプローチについて、KPMGはワンストップで支援します。まずは推進体制構築と経営層を含めた意識改革から始め、既存のリスク管理活動プロセスにESG関連リスクを含めてPDCAを回すことが重要です。

【ESGリスクとリスク管理活動融合へのステップ】

ESGリスクマネジメント支援_図表1

ESGリスクマネジメントの構築ステップ

STEP1. 推進体制構築・意識改革
ESGに関する知識、スキル、能力を一定以上持ったメンバーと、経営管理・リスク管理に精通しているメンバーによる組織横断的なプロジェクトや委員会等を組成することにより、推進に対する経営層からの「本気度」が伝わり、組織の意識改革につながります。
  • ESG推進専門部署の立ち上げ支援
  • ESG関連委員会の設計・設置支援

STEP2. 既存ERM活動とESGリスクの融合
ESGリスクの特徴として、「長期または未知の期間で不確実な影響が現れる場合が多い」ため、既存のリスクマネジメントフレームワークで同様に評価すると優先順位や重要性が相対的に低下することが懸念されます。また、ESGリスクを特定、評価、優先順位付けする場合、バイアスを特定し、それを踏まえて評価すること重要です。特に、特定の強い立場の方や専門的な知見を持った方の意見に引きずられないよう注意が必要です。KPMGは、客観的な立場から組織のバイアスを避け、中長期目線でリスクマネジメントを捉えるための仕組み作りと運用を支援します。

STEP3. モニタリング・改善
組織のKPIや監査の視点にESGリスクを監視するための適切な指標・観点を盛り込み、定期的にモニタリングを行うことが重要です。KPMGは、KPIの設定や、内部監査へのESG観点の盛り込みと実査を支援します。

  • ESG関連KPIの設定支援
  • ESG監査・モニタリングの構築・実行支援

また、ESG関連のリスク管理をERMプロセスに効果的に統合した企業であっても、以下のような観点で継続的に効率化・高度化を進める必要があります。
(1)組織の変更
(2)リスク選好
(3)新技術の活用
(4)同業他社比較
(5)教訓演習

ESGリスク評価・対応支援サービス

ESGリスクは、環境や地域・社会、企業倫理などに関連して複合的に発生するリスクです。財務的損失や社会的信頼の低下、当局からの制裁、従業員の身体生命の安全性への脅威を引き起こし、最終的には、企業価値の毀損につながる恐れがあります。KPMGは、企業にとって重要なESGリスクの特定・評価およびその対応を総合的に支援します。

KPMGのサステナビリティトランスフォーメーション(SX)支援サービス

SXの成功には、経営理念・事業戦略・オペレーション・組織・ガバナンスにわたる一貫した取組みが鍵となります。KPMGは、この変革にむけた支援をワンストップで提供します。

SX&事業戦略

  • SX事業戦略策定支援
  • SDGs方針策定支援
  • SX企業ブランド戦略検討支援
  • 気候変動リスクシナリオ分析支援

SX&新規事業

  • 社会課題対応事業創出支援
  • 新規事業検討時のESGリスク分析支援

SX&サプライチェーン

  • サステナブルサプライチェーン構築支援
  • サードバーティリスク管理支援
  • 気象データ活用による気候変動対応のDX支援

SX&リスク・ガバナンス

  • ESG対応ガバナンス再構築支援
  • ESG対応法務コンプライアンス体制整備支援

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