地政学/経済安全保障、人権、ESG関連など企業を取り巻くリスク環境は目まぐるしく変化しています。また、従来とは異なる新たなリスクが、現在の経営戦略だけでなく、中長期的な企業価値までも脅かしています。KPMGはそれらを「戦略リスク」と捉え、現在の課題と優先度を明確にし、企業価値の向上に資する新たなリスクマネジメント体制の構築を支援します。
戦略リスクマネジメントの必要性
VUCA時代の企業経営は、中長期的な将来像から逆算し、攻め(成長戦略)と守り(リスクマネジメント)の両方からの経営判断が必要であり、難しい舵取りが求められています。特に、地政学/経済安全保障、人権、ESG関連などを含む戦略リスクは、事前の見積りが甘く損失が拡大し事業戦略の大幅な修正が必要となったり、リスク発現後の対応が顧客・取引先・地域社会等の一部ステークホルダーにとって適切ではなく、信頼が失墜し対応に追われたりするケースがあります。
こうした戦略リスクに対処していくことは、安定した収益を確保して財務基盤を維持するだけでなく、企業が環境・社会にポジティブな影響をもたらす存在であり続けるために重要です。
戦略リスクのような脅威や機会を中長期的目線で的確に捉え先手を打つことで、ステークホルダーが抱える課題解決の一助となり、環境・社会に対する好循環を生み出すことができます。したがって財務だけでなく非財務の観点からも戦略リスクへの対処は有効と言えます。
【戦略リスクへの対処】
財務 | 非財務 | |
環境・社会・投資家等にとって存在価値が小さい企業 | 外部環境変化に適応できず、売上低下や機会損失が生じ財務基盤が揺らぐ | 企業として環境・社会にポジティブな影響を与えられない |
環境・社会・投資家等にとって存在価値が大きい企業 | 外部環境変化に適応し、脅威や機会を的確に捉え、安定した財務基盤を保つことができる | 企業として環境・社会にポジティブな影響を与えられる |
戦略リスクマネジメント成熟度診断モデル
戦略リスクを含むリスクマネジメント体制の構築にあたり、従来のリスクマネジメント体制やプロセス等において改善すべきポイントを特定できず、具体的な課題と優先度を判断できないケースがあります。
KPMGは、KPMGインターナショナルが策定したターゲットオペレーティングモデル(TOM)に基づき、「戦略リスクマネジメント成熟度診断サービス(以下:本診断モデル)」を開発しました。本診断モデルは(1)業務プロセス、(2)人材、(3)テクノロジー、(4)サービス提供モデル、(5)パフォーマンス・インサイト&データ、(6)ガバナンスの各観点から独自の評価を行い、リスクマネジメントの現状把握、課題と取組み優先度、および課題解決の方向性を明らかにします。また、本診断モデルでは業界内の水準も考慮し、現状と目指すレベルのギャップを明確にすることが可能です。
戦略リスクを考慮した取組むべきポイントと具体的なステップの可視化は、リスクマネジメント体制の効率的・効果的な高度化において有効であり、改善に向けた第一歩となります。
KPMGによる支援
- 戦略リスクマネジメント成熟度診断の実施
本診断では、成熟度診断評価から取組むべきステップの策定まで支援します。評価では、一般的なオペレーショナルリスクへの対応力に加え、戦略リスクに対する検討プロセスや、経営層・取締役会の関与の在り方等も含めて診断を行います。評価は5段階が基本ですが、実施前にインタビューをし業界の水準も考慮しながら項目ごとに目指すレベルをあらかじめ設定したうえで実施します。
- 評価結果の活用
評価後は、抽出された複数の課題に対して、リスク対応の遅れによる損失の大きさも考慮したうえで、優先的に着手すべきものと段階的に対応すべきものとに分類・構造化します。こうした課題整理に加え、社内のリソースも考慮することで、現実的かつ具体的に取組むべきステップを明確化することが可能です。KPMGは、本診断を経て特定された課題に対し、継続的に支援が可能な以下の関連サービスもあわせて提供しています。
- 主要な関連サービス
- 新規事業・サービス検討時のリスクレビュー
- ESG/リスク観点を踏まえた中期経営計画・事業計画策定支援
- グローバルサプライチェーンリスクマネジメント支援
- シナリオ分析による将来リスク評価支援
- 事業リスク開示対応支援
- ESG観点を踏まえたリスク評価の支援
- 組織/事業再編に伴うリスク対応支援
- サードパーティリスク管理体制の構築
- ESGリスクマネジメント支援
- エマージングリスク影響評価支援
- 組織レジリエンス診断サービス