不確実性の時代に、経営判断の質を高める
企業を取り巻く不確実性が高まるなか、従来型の経営戦略、中期経営計画、予算管理、リスク管理だけでは、変化に十分対応しきれない時代になっています。
今求められるのは、リスクマネジメントを独立した管理活動にとどめず、経営戦略・財務戦略・新規事業・事業ポートフォリオ・サプライチェーンマネジメントなどの主要な経営機能に組み込み、経営判断の質を高めることです。
KPMGは、不確実性を前提に、戦略の前提を捉え直し、事業・財務への影響を見極め、経営判断を継続的に更新する仕組みづくりを支援します。
なぜ今、戦略的リスクマネジメントが必要なのか
従来型の経営管理だけでは、変化に対応しきれない
不確実性の高い経営環境では、戦略策定時に置いた前提が短期間で変化します。
中期経営計画、年度予算、予実管理といった従来型の経営管理サイクルだけでは、戦略変更や資本配分の判断が後追いになりやすくなっています。
また、リスクはもはや管理部門だけのテーマではありません。
地政学、規制、技術革新、サプライチェーン、資本市場の期待などは、経営戦略、財務戦略、事業ポートフォリオ、投資判断に直接影響します。
必要なのは、リスクを一覧化することではなく、リスクを経営判断に使える情報へ変換することです。
戦略的リスクマネジメントとは
主要な経営機能にリスクマネジメントを組み込むこと
戦略的リスクマネジメントとは、外部環境や内部環境の変化を捉え、戦略・事業の前提への影響を確認し、必要に応じて経営判断を更新していく仕組みです。
リスクマネジメントを独立した管理活動にとどめず、経営戦略、財務戦略、投資判断、サプライチェーン戦略などの主要な経営戦略に組み込むことで、経営判断の質を高めます。
また、コンプライアンス、BCP、内部監査などの従来型の“守り”の活動についても、経営戦略との接続を強め、企業価値向上に資する経営機能へと進化させることを目指します。
主要な経営機能にリスクマネジメントを組み込む
経営判断の質を高めるためのリスクマネジメントへ
戦略的リスクマネジメントは、経営戦略、財務戦略、新規事業、事業ポートフォリオ管理、投資判断、サプライチェーン戦略などにリスク視点を組み込むことで、意思決定の質を高めます。
たとえば、リスクシナリオが売上、利益、キャッシュフロー、資本効率に与える影響を検討することで、投資判断や撤退判断、資本配分の精度を高めることができます。
<主な組み込み先>
- 経営戦略・中期経営計画
- 財務戦略・FP&A
- 新規事業・M&A
- 事業ポートフォリオ管理
- 投資判断・撤退判断
- サプライチェーン戦略
守りの活動を経営戦略と接続する
コンプライアンス、BCP、内部監査を企業価値向上につなげる
従来型のリスクマネジメントは、不正防止、コンプライアンス、BCP、内部監査などの“守り”の活動として重要な役割を担ってきました。
一方で、これらの活動が管理部門の中で完結していては、経営判断や事業運営に十分に活かされません。経営戦略や事業上の優先課題と結びつけ、戦略の実行と企業価値を支える機能として運用することが重要です。
たとえば、BCPは緊急時の対応計画に限らず、サプライチェーン戦略や事業継続力を支える取組みです。内部監査についても、統制状況の確認に加え、重要な経営リスクへの対応やガバナンスの実効性を評価する役割が求められます。
<戦略接続すべき守りの活動>
- コンプライアンス
- BCP・危機管理
- 内部統制
- 内部監査
- グループ・グローバルリスク管理
- 品質管理
- サイバーセキュリティ
経営に実装するための3つの視点
戦略的リスクマネジメントを機能させるには、一般的なリスク分類に沿ってリスクを整理するだけでは不十分です。
重要なのは、自社の価値創造プロセスに即して不確実性を捉え、それを経営判断、ガバナンス、投資家対話、サステナビリティ経営に活かせる形へと変換することです。
1.自社のビジネスモデルと接続する
一般的なリスク分類ではなく、自社の価値創造プロセスとサプライチェーン起点で考える
戦略的リスクマネジメントは、一般的なリスク項目を並べるだけでは機能しません。重要なのは、自社のビジネスモデル、バリューチェーン、サプライチェーン、エンジニアリングチェーンに照らして、どこに重要な不確実性が存在するのかを捉えることです。
同じリスクでも、企業の事業構造、収益モデル、調達・生産・販売の仕組み、技術開発プロセスによって、経営への影響は大きく異なります。
リスクは一般論ではなく、自社がどのように価値を生み出しているかと結びつけて捉える必要があります。
2.取締役会・投資家対話に活かす
戦略とリスクを一体で語れる企業へ
戦略的リスクマネジメントは、経営執行だけでなく、コーポレートガバナンスや投資家対話にも直結します。
取締役会で議論すべきなのは、リスクの一覧ではありません。
経営戦略の前提が変化していないか、どのリスクを取るべきか、資本配分は妥当か、経営陣は変化に対応できているか、といった経営論点です。
また、投資家や資本市場に対しては、戦略、リスク認識、財務影響、資本配分、ガバナンスを一貫したストーリーとして説明することが重要です。
3.サステナビリティ経営もより戦略的に
理想と現実の最適解を見出し真の経営実装へ
戦略的リスクマネジメントは、サステナビリティ経営の最適解を見出し、確実な経営実装につなげることにも寄与します。
サステナビリティの最適解は、環境・社会価値の最大化だけでは導けません。地政学、安全保障、経済合理性、供給レジリエンスを含む複合的なリスクを織り込んだうえで、企業価値と社会価値を同時に守り高める解を探索する必要があります。
戦略的リスクマネジメントにより、理想論にとどまらない、実装可能なサステナビリティ経営へと進化させることができます。
実効性を支える3つの中核機能・活動
変化を捉え、データで読み解き、複数の未来を見据える
戦略的リスクマネジメントを機能させるには、リスクの洗い出しにとどまらず、外部環境の変化を継続的に捉え、社内外のデータを分析し、複数の将来シナリオを踏まえて経営判断につなげる仕組みが必要です。
KPMGは、経営インテリジェンス機能、シナリオプランニング、AI・データ分析基盤の3つを連動させ、リスク情報を経営判断に活用できる状態へと高めます。
特に重要となるのが、以下の3つの仕組みです。
- 政策・規制・地政学・技術・競争環境などを把握する経営インテリジェンス機能
- 不確実な未来を前提に戦略オプションを検討するシナリオプランニング
- リスク情報や財務・事業データを統合するAI・データ分析基盤
KPMGの支援例
構想にとどめず、経営の仕組みに組み込む
KPMGは、戦略的リスクマネジメントを単なるリスク管理活動としてではなく、不確実性の時代に経営判断の質を高めるための経営機能として設計し、構想策定から実装・定着化まで支援します。
| 支援領域 | 主な内容 |
|---|---|
| 戦略的リスクマネジメント構想策定 | 現状診断、重要リスクテーマ特定、ロードマップ策定 |
| 経営戦略・中計策定プロセスの見直し | 環境変化やリスクを継続的に反映する中計策定・見直しプロセスの設計 |
| シナリオプランニング | 複数シナリオ設計、戦略オプションの検討、事業・財務影響分析 |
| 経営インテリジェンス機能構築 | 外部環境モニタリング、早期警戒指標の設計、経営向けレポーティング |
| AI・データ分析基盤構築 | データ連携、重要リスク指標・KPI設計、ダッシュボード、予測・分析基盤の構築 |
目指すべき効果
リスクマネジメントを、経営判断に活きる機能へ
戦略的リスクマネジメントの目的は、リスクをゼロにすることではありません。
リスクを経営判断に使える情報へ変換し、経営戦略・財務・事業・ガバナンスに組み込むことで、不確実性の時代により良い意思決定を行うことです。
<期待される成果>
- 戦略前提の変化を継続的に検証できる
- リスクの財務インパクトを踏まえた判断が可能になる
- 事業ポートフォリオや投資判断の質が高まる
- コンプライアンス、BCP、内部監査が経営戦略と接続される
- 取締役会での戦略・リスク議論が高度化する
- 投資家・資本市場への説明力が高まる
- 変化に応じて戦略を見直す機動力が高まる
不確実性を前提に、経営判断を進化させる
変化の速い経営環境では、戦略は一度策定して終わりではありません。
経営環境の変化を捉え、戦略の前提を検証し、財務インパクトを見極め、必要に応じて戦略を更新し続けることが求められます。
KPMGは、戦略的リスクマネジメントを主要な経営機能と守りの活動の双方に組み込むことで、不確実性の時代に対応できる経営基盤の構築をサポートします。