下請法の執行強化
近年、公正取引委員会は下請法(下請代金支払遅延等防止法)の執行を強化しており、違反件数が増加傾向にあります。この背景には、原材料費やエネルギーコストの高騰により、親事業者(下請事業者に規制対象となる委託を行う事業者)が下請事業者に対して不当な経済上の利益の提供を要請するなどの行為を助長する土壌があること、政府が推進する「構造的な賃上げ」の実現に向けて下請法執行強化の政策方針が挙げられます。
下請法違反時には公正取引委員会による指導や勧告が行われます。指導や勧告を受けた企業は、改善報告書の提出や罰金が課される可能性があるほか、勧告に基づく企業名の開示によるレピュテーションの低下が懸念されます。
意図せず違反となるケース(例)
下請法では、企業側に悪意がなくとも事務処理の遅れや業界慣行に基づく対応により、意図せず違反状態となるケースが少なくありません。
違反が多い類型 |
|
---|---|
勧告が多い類型 |
|
有事における「事態の早期収束」や「再発防止」支援
公正取引委員会は、書面調査(定期調査)にて下請法違反の懸念が発見された場合、立入検査や報告徴収を行います。その立入検査にて下請法違反を裏付ける帳票(代金額と歩引きの額等が記載された支払通知書など)が発見されるなど「勧告・指導に相当する事案」が認められた場合には、追加調査等が行われます。
企業は、追加調査への対応として、事案経緯等の事情聴取への協力や当該違反行為の事実確認等を行うこととなり、勧告や指導を受けた場合には、違反行為の停止や再発防止策の検討、改善報告書等の提出を求められることとなります。
これらの一連の対応や当局を含めた利害関係者への説明を適時・適切に行うことが、事態の早期収束につながります。
KPMGは、下請法違反発生時の初動対応から当局対応を一貫して支援します。
【有事における企業の対応とKPMGの支援(例)】
区分 | 公正取引委員会の動き | 企業の対応 | KPMGの支援事項 | |
---|---|---|---|---|
有事 | 立入調査報告徴収 |
|
|
|
指導や勧告 |
|
|
|
|
課徴金納付命令等 |
|
|
- |
平時における「違反懸念の発見」や「リニエンシー」支援
公正取引委員会は、同委員会の調査着手前に違反行為を自発的に申し出た場合であって、違反行為をすでに取りやめ、再発防止策を講じている等の一定の要件を満たした場合には、勧告を行わない(違反事実の公表を行わない)方針を示しています(下請リニエンシー)。
企業としては、自社内の下請法違反懸念の調査をし、下請リニエンシーを実施することで、違反事実の公表によるレピュテーション低下を防止することが可能です。一方で、下請リニエンシー実施には一定の労力を要することから、調査段階からリニエンシーを行うか否か、勧告対象となるリスクが高いか否かを見据えた調査手続の設計が重要となります。
KPMGでは、調査から下請リニエンシー対応を一貫して支援します。
【平時における企業の対応とKPMGの支援(例)】
区分 | 公正取引委員会の動き | 企業の対応 | KPMGの支援事項 | |
---|---|---|---|---|
平時 | 自発対応 |
-
|
|
|
定期調査 |
|
|
|
有識者との連携
KPMGでは、国内外の弁護士有資格者や官公庁出身者を中心に、下記の危機対応を通じて蓄積された経験や知見を活用し、企業が下請法対応で直面する実情やニーズに沿った実効性のある支援します。
必要に応じて、下請法に精通する外部弁護士事務所と即時に連携することも可能です。お気軽にお問い合わせください。