ESG保証への道のり

2024年6月、KPMGはサステナビリティ関連財務情報の報告及び保証業務(以下「ESG報告/保証」という。)に関する企業の準備状況を調査したKPMG ESG Assurance Maturity Index(以下「本報告書」という。)を公表しました。

KPMGは、昨年度においても同様の調査を踏まえた報告書を公表しており、本報告書では昨年度と比較して企業の準備状況がどの程度進んでいるかについて示されています。

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KPMG ESG Assurance Maturity Index 2024(英語版)




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本報告書の骨子は、以下のとおりです。

  • 今回の調査は、2024年2月から4月に掛けて、世界各国の大手企業1,000社の上級経営者及び取締役等に対して実施したインタビューの結果をまとめたものです。
  • ESG報告及び保証に向けた準備は、通常、下記5つのステップを経て実施されます。

① 適用する報告基準(例:ISSB基準)を決定する。

② 開示情報に関するガバナンスの仕組みを強化するとともに、取締役会のスキルを向上させる。

③ 適用される開示要求及び必要なデータを識別する。

④ データ収集に関するITシステムを整備し、高品質なデータが入手できるようにする。

⑤ 必要な情報を収集するため、バリューチェーンと協働する。

  • KPMGは、上記5つのステップを踏まえ、ESG報告/保証の準備状況を簡易に確認するための指標(以下「ESG報告/保証の準備状況指数」という。)を独自に開発しました。この指数は、準備状況に関する調査結果を要因毎の割合で加重してスコアリングすることによって、企業の準備状況を総合的に測定しようとするものです。

・      ガバナンス:25%

・      取締役のスキル:25%

・      データマネジメント:25%

・      ITシステム:15%

・      バリューチェーンとの協働:10%

  • 本報告書では、この指数で得られたスコアに基づき、上位25%をLeader、中位50%をAdvancer、下位25%をBeginnerとして区分しています。
  • 昨年度の報告書では、企業のESG報告/保証の準備状況はまだ初期段階にあることが報告されていました。今回の調査では、1年が経過し、企業の準備状況が総じて進んでいる一方、多くの企業でまだ初期段階にあるほか、直面している課題は企業によって異なることが判明しました。これを裏付ける主な指標は、以下のとおりです。
項目 今回(A) 前回(B) 変化(A)-(B)
ESG報告/保証の準備状況指数(平均) 47.6% 46.5% +1.1%

(内訳①)

Leader

Advancer

Beginner

 

67.0%

45.9%

28.9%

 

64.8%

45.4%

30.5%

 

+2.2%

+0.5%

▲1.6%

(内訳②)

フランス

ドイツ

日本

英国

米国

 

52.4%

52.3%

50.2%

49.9%

49.5%

 

50.4%

45.3%

50.0%

44.9%

49.4%

 

+2.0%

+7.0%

+0.2%

+5.0%

+0.1%

  • また、ESG報告/保証に向けた準備が進んでいるLeaderと準備がやや遅れているBeginnerを比較すると、以下の点で大きな差異があることが判りました。
項目 Leader(A) Beginner(B) 差異(A)-(B)
企業内でスキルと専門性が不足している 32% 61% ▲29%
ITシステムが十分でない 22% 48% ▲26%
十分な予算が確保できていない 21% 41% ▲20%
内部で主導する者がいない 10% 23% ▲13%
開示の要求が複雑すぎる 36% 47% ▲11%
基準における要求事項が整合していない 28% 38% ▲10%
関口 智和

関口 智和

有限責任あずさ監査法人

常務執行理事

サステナブルバリュー本部 副部長

大槻 櫻子

大槻 櫻子

有限責任あずさ監査法人

常務執行理事

サステナブルバリュー統轄事業部
部長

畠中 貴司

畠中 貴司

有限責任あずさ監査法人

サステナブルバリュー統轄事業部

サステナビリティ情報プロセスソリューション担当

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