IFRS第16号「リース」~適用に向けて~シリーズ6:リースの構成要素
本シリーズは、IFRS第16号に関して、実務担当者等が一般的に疑問に思うであろう論点、そして基準の理解に際して混乱しやすいと思われる論点について、Q&A及び設例形式により明確化を目指すものです。第6弾である本冊子は、リース会計を適用する上での会計単位である「リースの構成要素」について解説しています。
IFRS第16号に関して、実務担当者等が一般的に疑問に思うであろう論点、そして基準の理解に際して混乱しやすいと思われる論点について、Q&A及び設例形式により明確化を目指すものです。
契約に含まれる「リース」はどれか?
IFRS第9号「金融商品」(2014年版)、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に続く大型基準であるIFRS第16号「リース」も2019年1月1日以後に開始する事業年度の期首(早期適用しない3月決算会社のIFRS適用会社の場合には2019年4月1日)からいよいよ適用開始となりました。
2016年1月のIFRS第16号の公表以来、あずさ監査法人は精力的にIFRS新リース会計の解説の提供を行って参りました。2016年2月には速報的な位置づけとして日本語解説資料『IFRSの新リース会計 ~概説 IFRS第16号~』をリリース(翌3月に米国の新リース基準を取り込むため改訂)、引き続き同年7月に『図解&徹底分析 IFRS「新リース基準」』を出版しました。翌2017年7月からは、実務上のポイントにフォーカスし、詳細な解説と設例による例示を多く取り込んだ分野別の解説冊子をシリーズとして提供開始しており、第1弾「新基準への移行」、第2弾「リースの定義」、第3弾「割引率」、第4弾「リース料」、第5弾「リースの条件変更」に続き第6弾として、本冊子は、リース会計を適用する上での「会計単位」をとりあげています。
リースを含む契約には資産のリースと抱き合わせで関連するサービスを提供するものが多くあります。借手についてはリースとこれに関連するサービスを一括して全体をリースとして扱うことが認められているため、リースと直接関連しないサービスが抱き合わせになっている場合を除けば、「リース契約を構成している要素が何か」をわざわざチェックし、単位を細分化してそれぞれを別々に会計処理することは煩雑で面倒なだけと思われるかもしれません。しかし、長期大型のリース契約になると、リース以外の部分も簡便法でリースであるとみなして処理することは実態以上に負債比率を増加させることになり、各種財務比率を歪めることになりかねません。
さらに貸手については、借手に認められているような簡便法はなく、リース契約を構成する要素は一定の要件に従い必ず分離しなければなりません。そのうえで、リース要素にはIFRS第16号を、サービス要素には通常であればIFRS第15号を、というように該当する基準書を適用し、その要求する会計処理を行い開示を作成しなければなりません。もし、リース要素しか含まれていないとしても全体が一つのリースか、それとも複数のリースの集合体かという検討は必要であり、これを誤るとファイナンス・リース、オペレーティング・リースのリース分類の判断を誤る可能性もあります。しかし、要素を分離し、各要素に契約の対価を配分することは決して実務的に楽な作業ではありません。
PDFの内容
- 「リースの構成要素」とは何か
- リース要素の識別
- 非リース要素の識別
- 対価の配分
- 対価の再配分
Appendix 1 - IFRS第16号「リース」の概要
Appendix 2 - 設例のリスト
執筆者
IFRSアドバイザリー室