- 不正リスク管理は「追加業務」ではなく、日常業務の質を高める取組み
- 承認・報告時の確認、一人仕事の把握、証跡の確認、相談対応という5つの基本の実践が重要
- 第1線が気づき、第2線が支え、第3線が独立して確認することが3線モデルの骨子
- 「いつもと違う違和感」を自然と確認し、いつでも相談できる組織文化の醸成が必要
日常業務の質を高め、負荷を増やさず不正を防ぐ5つの実践方法と3線モデルを活用した不正リスク管理のあり方を解説します。
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ハイライト
日常業務に埋め込む不正リスク管理
不正リスク管理というと、チェック項目や承認手続を増やす発想に陥りがちです。しかし、現場の実態を無視した追加管理は持続しにくく、業務負荷を高めるだけになりかねません。
不正は、制度や規程がないことというよりも、「誰も確認していない」「例外が常態化している」「担当者任せになっている」といった状況で起こりやすくなります。
重要なことは、承認・報告など既存の日常業務に少しだけ「確認の視点」を加え、不正を起こしにくく、見逃しにくく、早期に声を上げやすい仕組みにすることです。
日常業務で実践できる5つの基本
不正リスク管理の実践のポイント
①承認時に「目的・相手・金額・例外理由」を確認する、②売上・費用・外注費・在庫・未収金・残業時間などの数字の変化に「なぜ?」を問う、③不正の温床となりやすい「一人仕事」をつくらない、またはその状況を把握し、上位者が指導・監督する、④判断理由・承認経緯・例外処理の理由などのエビデンスを残す、⑤「少し気になる」「いつもと違う」という違和感を気軽に相談できる風土をつくる、という5つだけです。
新たな仕組みを追加するのではなく、既存業務の質を高めることで不正リスク管理は可能です。
異常値と例外に「少し立ち止まって確認する」
たとえば、特定の外注先への発注が増えているものの、個々の金額は承認権限の範囲内で、同じ担当者が同じ外注先へ継続発注し、理由も「業務支援」「緊急対応」といった記載にとどまるケースがあります。
このような状況でも、特別な調査を始める前に、日頃から、月次の取引先別取引高のランキング・増減レビュー、予算・実績比較、支出理由の定期確認、承認時の理由確認、外注先の選定・継続発注理由の確認などの通常業務を徹底していれば、不正の予防または早期発見は可能です。
異常値や例外を見たときに自然に確認する習慣が、不正の抑止と早期発見につながります。
3線モデルで役割分担と連携を明確に
業務負荷を高めずに不正を防ぐには、3線モデルの各線の役割を整理して、重複や抜け・漏れを防ぐことが有効です。
第1線の現場・業務部門は、承認、確認、職務分掌、証跡保存、部下との対話、取引先管理などを通じて、不正リスクを最初に管理します。
第2線のコーポレート・一般管理部門は、ルール、ガイドライン、教育、相談窓口、モニタリング、データ分析などを整備して第1線を支えます。
第3線の内部監査部門等は、独立した立場から不正リスク管理に有効な社内制度・ルールの設計・運用の有効性を確認し、統制の抜け漏れ、重複、形骸化を捉え、全体最適の観点から改善を提言します。
「いつもと違う」を確認・相談できる組織へ
不正に強い組織は、特別な管理手法でつくられるものではありません。管理者による確認の一言、承認時の確認、異常値への気づき、判断根拠を残して確認する習慣、そして違和感をいつでも相談できる組織文化の醸成が、不正を防ぐ力になります。
株式会社とは、他者の資本を預かって事業を行う以上、説明責任を果たすことが必須です。また、人間には出来心がありますが、組織として「人に罪を作らせない」ことが重要です。そのためにも、健全な「Speak Up」が欠かせません。
第1線、第2線、第3線がそれぞれの役割を果たしながら連携し、「いつもと違う」と感じたときに自然に確認・相談することを日常化することが、業務負荷を増やさず不正リスク管理の実効性を高める第一歩です。
KPMGは、人を罪に陥れることにはならない組織の実現を目指して、不正をしようとしても不正ができない仕組み・組織風土の確立に貢献します。
KPMGによる支援
KPMG Forensic & Risk Advisoryでは不正の発生時の初動対応から調査・再発防止・平時の予防・発見・検知に至るまで様々なサービスを提供可能です。
不正リスクに係る内部監査についても、内部監査そのものの支援の他、管理体制の高度化も含めて実効性あるサービスを提供しています。
興味がありましたらお問い合わせいただければと思います。
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