法令・行政運用の動向は、経営判断に直接影響を与える外部環境要因です。取引条件(値決め・支払・証跡)、人材戦略(教育・相談・記録・開示)、サプライチェーン管理、資本市場対応、BCP、プロダクト設計・広告運用まで波及し、前提条件の変化を見誤れば、コスト増や統制不全、レピュテーション毀損、成長機会の逸失につながり得ます。
一方で、法令動向情報を先回りして意思決定と運用に落とし込めば、取引先・従業員・投資家からの信頼を獲得し、変化対応力そのものを競争力として積み上げることができます。法令動向を、信頼と競争力を磨くための経営の羅針盤として、意思決定に組み込んでいくことが重要となります。
そこで本稿では、2025年に具体化が進んだ動向を横断的に見渡し、企業経営への影響が大きい論点を6テーマに整理しました。
【6つのテーマ】
1.公正な取引と価格転嫁
2.「人への投資」としての働き方改革
3.スピークアップ・透明性確保
4.サステナビリティ・グリーントランスフォーメーション(GX)
5.レジリエンス
6.デジタル市場・広告・プラットフォーム規律
1.公正な取引と価格転嫁
2025年は、労務費・原材料費・エネルギーコストの上昇を背景に、「物価上昇を上回る賃上げ」の原資確保に向けて、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させるための動きが、制度面の後押しによって実装段階に入った1年でした。価格転嫁を阻害し受注者に負担を押しつける商慣習(例:協議に応じない一方的な価格決定)を是正する観点から、下請法の改正が進み、2026年1月1日施行の「中小受託取引適正化法(以下『取適法』)」として具体化しています。
取適法は、対象企業・対象取引の拡大など、現状の業務フローの前提に影響を与える改正を含みます。主要な改正点は、(1)「特定運送委託」(発荷主が運送事業者に物品の運送を委託する取引)の追加、(2)従業員基準の規模要件への追加、(3)手形払等の禁止、(4)協議に応じない一方的な代金決定の禁止、(5)面的執行の強化です。これにより、形式的な交渉の有無だけでなく、協議の合理性や説明、証跡を含めた運用設計が前提になります。
とりわけ従業員基準については、「常時使用する従業員の数」は賃金台帳の調製対象となる労働者数で算定し、原則として取引時点の数で判断する整理が示されています。委託側に賃金台帳の閲覧・写し取得まで求める趣旨ではないものの、結果として取適法の適用関係に該当する取引で違反行為があれば是正が必要となるため、「いつ・何を根拠に・どの手順で適用判定したか」を説明できるプロセス(照会方法、回答の記録、更新頻度等)を整備しておくことが重要です。
取適法の対応にあたっては契約・証跡保管のプロセスの見直しが重要になりますが、加えて物流関係法令でも同様に取引プロセスの書面・記録化を要求する法令の整備が進んでいます。2025年4月1日施行の改正貨物自動車運送事業法では、運送契約の内容(役務内容・対価等)を書面で明確化する枠組みや、実運送事業者の名称等を記載する実運送体制管理簿の作成・保存等が制度化されました。
さらに、物流効率化法では、一定規模以上の特定荷主・特定連鎖化事業者等に対し、届出/中長期計画/物流統括管理者の選任/定期報告などを求める枠組みが示されています。
取適法の「協議・支払・証跡」と、物流効率化法等の「契約書面・実運送管理・荷主機能」の要求は、現場では、発注条件の提示(見積・単価協議)、契約書面化、履行・検収の記録、請求・支払の証跡管理という同一フローのなかで重なります。2025年は業務オペレーションと契約・取引先管理に大きな影響を与えるルールが確立した1年だったと言えます。
関連法令動向
- 2025/5/23:下請法改正法 公布(法律名を取適法へ変更)
- 2025/10/1:公取委が取適法の規則・運用基準等を公表
- 2026/1/1:取適法 施行
- 2025/4/1:改正貨物自動車運送事業法 施行(書面交付、実運送体制管理簿 等)
- 2026/4/1:物流効率化法の一部規律 施行(届出/中長期計画/物流統括管理者/定期報告 等)
2.「人への投資」としての働き方改革
「人への投資」「人的資本経営」は、人的資本に関する開示・説明責任の定着を背景に、2025年は改正法の成立を受けて、運用設計(教育・相談・記録・開示)が明確になりました。
とりわけ、カスタマーハラスメントと求職者等へのセクシュアルハラスメント(就活セクハラ)については、事業主に雇用管理上必要な措置を求め、国が指針で具体化する枠組みが整備されています。施行日は、審議会において2026/10/1(政令公布は2026年2月予定)とする方向性が示されています。
同時に、女性活躍推進では、男女間賃金差異・女性管理職比率等の情報公表について、常時雇用する労働者数が101人以上の事業主に義務付けられることとなりました。算定ルールの整備、データ品質(定義・集計・監査可能性)や開示ガバナンスが、レピュテーションと採用競争力の双方に直結するテーマになっています。
さらに、2025年は安全衛生でも節目がありました。労働安全衛生法および作業環境測定法の改正により、個人事業主等への安全衛生対策の拡充、ストレスチェックの見直し、化学物質管理の強化等が盛り込まれ、内容に応じた段階施行を前提に枠組みが更新されています。加えて、雇用仲介アプリ等を通じた単発就労(スポットワーク)についても、留意事項(周知資料)が公表され、労働条件の確保を実務へ落とし込む動きが確認できます。
なお、次の制度改正に向けた議論(労働基準法制)も具体化しています。2025年1月8日公表の「労働基準関係法制研究会報告書」では、工場労働モデルの一律ルールから、多様な働き方に合わせて調整できる「オーダーメイド型」への転換として、労働者性、過半数代表者、複数事業場手続、労働時間情報開示、テレワーク、勤務間インターバル/つながらない権利、副業・兼業の管理など、企業実務に影響の大きい論点が整理されています。義務化を見据え、影響領域の棚卸しと運用準備を進めることが現実的なテーマになっています。
2026年に企業に求められるのは、規程整備で止めず、(1)相談・一次対応・再発防止までの現場フロー、(2)教育・周知、(3)事実確認と記録(証跡)、(4)開示データの算定根拠と監査可能性を一体で設計し、グループ・現場で運用できる形に落とし込むことです。
改正・議論を踏まえ、多様な働き方を支える実務運用の整備がより一層求められることとなります。
関連法令動向
- 2025/1/8:労働基準関係法制研究会 報告書 公表
- 2025/5/14:労働安全衛生法・作業環境測定法 改正法 公布
- 2025/6/11:労働施策総合推進法等 改正法 公布
- 2025/7/4:スポットワーク(単発就労)に関する留意事項 公表
3.スピークアップ・透明性確保
内部通報制度をはじめとしたスピークアップ・透明性確保の制度の実効性確保が強く求められる流れの下、2025年に改正公益通報者保護法が成立・公布されました。
改正の中身は、企業実務に直結します。(1)通報を理由とする解雇・懲戒等の報復抑止を強め、(2)保護対象をフリーランスまで拡大、(3)正当な理由なく「通報しない合意」を求める等の通報妨害を禁止して合意を無効化、(4)正当な理由なく通報者特定を目的とする行為を禁止するなど、運用上の課題に対応するための規律を設けています。加えて、一定規模以上の事業者の体制整備について、命令・立入検査等を通じた実効性確保も強化されました。
2026年末の施行に向けて、内部通報をコストではなく、信頼とレジリエンスを高める投資として位置付け、運用できるかが差になります。受付(匿名可・秘匿性確保)→初動判断→調査→是正→再発防止→経営報告までを一本のプロセスとして設計し、記録(証跡)と改善サイクルを回すことができる状態にする必要があります。
このような一本化された運用設計の必要性は、「2.人への投資」としての働き方改革(とりわけハラスメント相談~是正)や、「ビジネスと人権」の文脈で要請されるグリーバンスメカニズムとも共通します。制度を「不祥事対応の装置」に閉じず、平時の兆候・不正・ハラスメント・取引リスク等を拾い上げる経営のセンサーとして機能させることが重要です。
内部通報・ハラスメント相談・人権グリーバンス・取引先からの申立て等を特定制度ごとに分断して管理するのではなく、共通原則(守秘、報復防止、独立性、公平性、救済への接続)を軸に、リスク把握から経営判断までつながる統合的な体制として設計・高度化していくことも視野に入れる必要があります。
関連法令動向
- 2025/6/11:公益通報者保護法改正法 公布
4.サステナビリティ・グリーントランスフォーメーション(GX)
環境・サステナビリティを巡るルールは、単発の環境規制から、「測る・開示する・資本市場とつなぐ」総合的なフレームワークへと進化しつつあります。
まず、記録・測定に関しては、気候・GHG・水質に関する制度が一体で整備されつつあります。2025年には、カーボンフットプリント表示ガイドラインの公表や、温室効果ガス排出量算定・報告マニュアルの改正により、ライフサイクル排出の算定と報告実務が具体化しました。さらに、JCMクレジットの記録等に関する省令が公布され、国際協力排出削減の成果管理も数値・記録ルールで運用する段階に入っています。
そして開示に関してみると、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、IFRSの国際サステナビリティ基準を踏まえたサステナビリティ開示基準を公表し、ハンドブックでサステナビリティ関連リスクや商業上の機密情報として非開示とし得る場合などを詳細に整理しました。中期運営方針では、国際基準との整合と日本基準の安定性を掲げ、今後の段階的適用に向けた方向性を示しています。これにより、サステナビリティ情報は「任意のIRトピック」ではなく、財務情報と並ぶ開示インフラとして位置付けられるようになりました。
さらに、投資についてみると、クライメート・トランジション・ファイナンス指針改定案の検討、GPIFのサステナビリティ投資方針、洋上風力法のEEZ拡大など、金融・インフラ・エネルギー政策が一体となって脱炭素投資を後押しする構図も鮮明になりました。
2026年は、GX-ETSなど排出量取引制度の本格稼働とサステナ開示義務化のスケジュールをにらみながら、データ基盤の整備、事業ポートフォリオの見直し、資本市場との対話を同時並行で進める「GX経営」の実行力が問われていきます。
関連法令動向
- 2025/1/31:国際協力排出削減量(JCM)の記録等に関する省令等 公布
- 2025/2/14:「カーボンフットプリント 表示ガイド」公表
- 2025/3/10:「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」改正(Ver.6.0)公表
- 2025/3:GPIF「サステナビリティ投資方針」公表
- 2025/6/11:改正再エネ海域利用法 公布
- 2025/6/4:改正GX推進法 公布
- 2025/7/2:排出量取引制度(GX-ETS)の制度設計に向けた検討方針 公表
- 2025/7/25:「グリーンファイナンス市場の中長期的な発展に向けて」公表
- 2025/11/28:SSBJ ハンドブック公表
- 2025/12/9:排出量取引制度小委員会「中間整理(案)」公表
5.レジリエンス
災害などのショックに備える制度・計画は、2025年に更新されています。
まず、「災害対策基本法等の一部を改正する法律」は、能登半島地震の教訓等を踏まえ、国による市町村支援の強化、福祉的支援(福祉関係者の関与等)、広域避難の円滑化(避難元・避難先の情報連携)、NPO・ボランティア団体との連携(被災者援護協力団体の登録制度)、防災DX・自治体の備蓄状況公表等といった方向性を整理しています。加えて、内閣府は新物資システム(B-PLo)の運用開始を公表しており、平時の備蓄把握や、発災時の調達・輸送等に関する情報共有/調整の効率化を狙う枠組みが示されています。
同時に、「国土強靱化年次計画2025」(2025年6月6日決定)は、主要施策を具体例で示し、KPI等で進捗を把握しつつPDCAで改善する考え方を明記しています。例として、道路・橋梁、上下水道等のインフラに加え、データセンターや海底ケーブル等の地方分散、衛星通信システムに関する制度整備など、情報通信面の強靱化も挙げられています。
さらに、「第1次国土強靱化実施中期計画(令和8〜12年度)」(2025年6月6日閣議決定)の概要では、ライフライン強靱化に加え、スフィア基準等を踏まえた避難所環境の改善、プッシュ型支援物資の分散備蓄、発災時の民間・NPO・ボランティア等の活動環境整備、一元的な情報収集・提供システムなどが重点施策として示されています。
これらを踏まえると、企業の備えは「BCP(危機対応)」と「経営(平時の設計)」の二層で再点検が必要です。
BCPの観点では、(1)自治体との協定(物資・拠点・従業員支援等)の発動条件と連絡系統を実動で検証、(2)自治体の備蓄公表や物資情報共有の仕組みを前提に自社備蓄/代替調達/提供可能品目を再設計、(3)広域避難時の従業員把握(安否・所在・就労可否)を運用手順まで落とし込み、(4)通信断前提の代替通信・オフライン手順・権限委譲を整備することが要点になります。
一方、BCPに閉じない企業経営としては、インフラ復旧の見通しや通信・電力の冗長性を織り込んだ拠点配置、重要サプライヤ/物流経路の複線化、IT(クラウド・回線・認証)の単一障害点の解消、人的資本(出社可否・在宅移行・給与/勤怠継続)の設計を一体で構築することが重要になります。
(1)代替の用意(冗長化)、(2)判断の迅速化(権限・連絡網)、(3)復旧の再現性(訓練・記録・改善)をセットで構築できるかが、事業継続力の差となって現れます。
関連法令動向
- 2025/6/4:災害対策基本法等の一部を改正する法律公布
- 2025/6/4:改正法の一部施行に伴う関係政令(整理政令)公布・施行
- 2025/7/1:改正法の主要規定が施行(施行に伴う関係政令の整備等も同日施行)
- 2025/4:新物資システム(B-PLo)運用開始(平時の備蓄把握/発災時の調達・輸送情報の共有・調整を支援)
- 2025/6/6:国土強靱化年次計画2025(国土強靱化推進本部決定)
- 2025/6/6:第1次国土強靱化実施中期計画(令和8〜12年度)閣議決定
6.デジタル市場・広告・プラットフォーム規律
デジタル市場における公正性・透明性の要求は、2025年に入って表示・導線・取引条件の開示から委託先管理まで含めた運用設計についても具体化されました。
まず、経済産業省は2025年2月に「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を約3年ぶりに改訂し、改正民法の施行を踏まえつつ、デジタルプラットフォームやブロックチェーン技術を用いた価値移転の位置付けを更新しました。NFTをめぐる法理解釈や、ウェブサイト利用規約の定型約款該当性の整理は、企業が新規デジタルサービスを展開する際に、契約・免責・利用規約・価値移転の設計を初期段階から組み込む必要性を示しています。
次に、2025年2月には「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」(透明化法)に基づくデジタル広告分野のモニタリング・レビュー結果が公表され、広告取引後の価格や景品表示法の観点を含む課題が指摘されました。
さらに総務省は2025年4月に、デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス(案)を公表し、広告経営層の関与や広告主が講ずべき対策を明示するなど、広告の透明性と説明責任を「広告配信の現場」だけでなく広告主サイドの統治課題として捉える姿勢を強めています。
そして消費者庁は2025年4月に、いわゆる「ダークパターン」に関する取引の実態調査のリサーチ・ディスカッション・ペーパーを公表し、UI/UX上の誘導設計が消費者の意思決定を誤認させ得るリスクとして、政策的に可視化されました。
この流れに重なるのが、スマホ・ウェア競争促進法(スマホソフトウェア競争法)の動きです。2025年には、同法に基づく特定事業者の指定が行われ、また関係する政令・施行規則・指針の改正により、アプリランキング表示順や警告ポップアップ等の画面設計に関する論点がより明確化されました。これは、スマートフォン上のソフトウェア・OS・アプリ流通の競争政策が、契約や市場構造だけでなく表示・導線・設計へ踏み込む段階に入ったことを意味します。
結果としてデジタル領域の規律は、契約・利用規約(準則改訂と民法の接続)/広告取引の透明性(透明化法と総務省ガイダンス)UI/UXの公正性(ダークパターン・スマホ競争促進法)という三層で同時に精緻化しています。
2026年は、プロダクト設計・法務レビュー・広告運用・データ/アルゴリズム統制を一本化し、「成長」と「公正性・透明性・説明責任」を両立できるかが競争力の分水嶺になると考えられます。デジタル市場における「公正性・透明性・説明責任」は、2025年に複数の行政文書・制度運用を通じて、より具体の実務論点として整理・可視化されました。
まず、経済産業省は2025年2月12日に「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」を改訂し、NFT等のデジタル資産や生成AIなど、新たな取引・サービス類型に関する考え方を追補・更新しています。これにより、企業が新規デジタルサービスを展開する際、利用規約・免責・ユーザーへの説明(取引条件の提示方法を含む)を、初期設計から実装可能な形で組み込む重要性が増しています。
次に、同省は透明化法に基づき、2025年2月14日に「デジタル広告分野」の大臣評価(2024年度)を公表しました。評価では、提供条件の開示や苦情処理、不正広告(なりすまし広告)対応、プラットフォーム利用の対価(手数料等)に関する懸念、広告の質の「見える化」、オーディエンス・データへのアクセス等、広告取引の透明性・公正性に直結する論点が整理されています。広告主・媒体社・仲介事業者いずれも、取引条件・運用ルール・改善プロセスを説明できる状態にしておくことが、実務上の前提になりつつあります。
さらに、総務省は2025年6月9日に「デジタル広告の適正かつ効果的な配信に向けた広告主等向けガイダンス」を公表しています。広告主に対し、経営層関与を含むガバナンス体制、運用ルール、委託先の管理基準、説明の根拠(記録)を整備することが求められる構図が明確になりました。
そして消費者庁は2025年4月7日に、いわゆる「ダークパターン」に関する実態調査のリサーチ・ディスカッション・ペーパーを公表しました。そこでは、同意取得や購入・解約などの画面で、初期設定・文言・導線によって利用者を特定の選択へ誘導する設計(例:同意の事実上の強制、解約導線のわかりにくさ、追加費用の後出し等が、意思決定を歪め得るリスクとして整理され、既存の消費者関連法制との接続(どの場面が“誤認”や“不利益”の論点になり得るか)まで含めて政策的に可視化されました。
同じ文脈で整備が進むのが、スマホソフトウェア競争促進法(いわゆるスマホ新法)です。同法は2025年12月18日に全面施行され、公正取引委員会が2025年3月26日に指定事業者を指定しています。あわせて、下位法令・指針等の整備も進み、ユーザーの選択導線(例:チョイススクリーン)を含む実務論点が具体化しています。その結果、(1)利用規約・取引条件の提示(契約)、(2)広告取引の透明性確保(開示・苦情対応・不正広告対応)、(3)UI/UXの選択導線の適正化(誤認・誘導の抑止)という3つの領域で、企業に求められる設計・運用要件が同時に具体化しています。
2026年に向けては、プロダクト設計・法務レビュー・広告運用・データ/アルゴリズム統制を分断せず、「成長」と「公正性・透明性・説明責任」を両立できる社内運用(ルール、ログ、委託先管理、改善サイクル)へ落とせるかが、競争力とリスク低減の鍵になると考えられます。
関連法令動向
- 2025/2/12:経産省「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂(デジタルPF論点、ブロックチェーン価値移転、NFT等の論点整理を含む)
- 2025/2/14:経産省 透明化法に基づく「デジタル広告分野」大臣評価(2024年度)公表
- 2025/6/9:総務省「広告主等向けガイダンス)」公表
- 2025/4/7:消費者庁「ダークパターン」実態調査のリサーチ・ディスカッション・ペーパー等 公表
- 2025/3/26:公取委 スマホ法に基づく「特定ソフトウェア事業者」指定
- 2025/7/29:公取委 スマホ法の下位法令・指針等に関する意見募集結果 公表
- 2025/12/18:スマホ法 全面施行
まとめ
2025年は、法令・行政運用が「方針提示」から進み、企業に対して協議・説明・記録(証跡)・開示まで含む運用設計を前提に制度の輪郭が固まった1年でした。(1)公正な取引と価格転嫁、(2)働き方改革(人的資本)、(3)スピークアップ、(4)サステナビリティ・GX、(5)レジリエンス、(6)デジタル市場規律の6テーマで共通して、規程整備にとどまらず、情報管理と部門横断のガバナンスを含め運用を構築することが求められる局面に移行しています。
後編では、これら6テーマを軸に、2026年に施行・本格運用が集中する注目法令をTOP10で整理し、企業がとるべき対応、実装に必要な準備を具体化します。
※「2026年注目法令TOP10 後編:2026年における法令対応上のポイント」はこちらからご覧になれます。
執筆者
KPMGコンサルティング
シニアマネジャー 荒尾 宗明
マネジャー 吉田 愛子
シニアコンサルタント 中畑 良丞