2024年に実現された技術革新は、先に述べた5つの価値を支える基盤技術として、ヒューマノイドロボットの商用化を現実的なものとしています。
第3の価値「心理的安全性の確保」を支える技術としては、人や物への接触を事前検知し力加減調整を実現する東京大学の生きた皮膚を備えたロボット3(精巧3外見型)、ドイツ企業の静電容量式センサー内蔵人工皮膚4があげられます。ドイツ航空宇宙センターの関節トルク情報をセンサー代わりに使う技術では、関節モーターの微細なトルク変化を読み取ることで、外部からの接触位置と力の強さを推定します。例えば、ロボットの腕や胴体、脚のどこかに人が触れると、その接触により関節に微妙な力が加わり、モーターのトルクが変化します。この変化パターンを解析することで、高価な皮膚センサーなしに全身での接触感知を実現し、コスト削減と耐久性向上を同時に実現5しています。
介護・医療分野では、認知症予防・孤独感緩和を目的とした対話ロボット(精巧な外見型)の実証実験が進み、AI搭載の対話型ロボット介入研究では社会的孤立感や孤独度の大幅な低減が報告6されています。
また、第4の価値「三次元空間での自在性」を実現する技術として、人間に近い歩行を実現する強化学習による制御も飛躍的に進歩し、踵から着地し、つま先で蹴り出すヒールストライク・トーオフ動作を獲得したロボット(基本構造型)が、2025年2月から本格運用を開始7, 8しています。
第5の価値「創発的コミュニケーションの実現」を支える技術もあります。GPT-3搭載により観客と自然な会話を行いながら表情豊かな反応を示すモデル(精巧な外見型)が実用化9され、エンターテイメント分野でのビジネス活用が進んでいます。
ヒューマノイドロボットの第1の価値「社会インフラへの完全統合」と第5の価値「創発的コミュニケーションの実現」は、接客・サービス業で既に実用化されています。具体的には、ホテル業界で多言語対応リモートコンシェルジュ10として導入されている基本構造型ロボットや、展示会で来場者にコーヒーを提供するバリスタロボットなどが、実証段階を経て実用段階へと移行しています。
ほかにも芸術・娯楽分野では、観客とのインタラクティブな交流11、医療分野では内視鏡手術ロボットによる遠隔手術支援12など、多様な領域での活用が拡大しており、ヒューマノイドロボットは単なる研究対象から実用的なビジネスソリューションへと進化を遂げています。