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      サステナビリティ関連財務開示に対する第三者保証の制度化に向け、保証業務におけるデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)の推進が求められています。本連載では、有限責任 あずさ監査法人およびKPMGあずさサステナビリティ株式会社(以下、「あずさ監査法人およびKPMGあずさサステナビリティ」)が推進する保証業務のDX、およびDXが企業にもたらすベネフィットを紹介します。

      本連載の構成は以下のとおりです。

      第1回:サステナビリティ情報開示の課題とDX

      第2回:サステナ保証DXでデータ収集・加工プロセスの効率化を実現

      第3回:サステナ保証DXでリスク評価分析の高度化を実現

      第4回:サステナビリティ関連財務開示におけるDXの将来の展望

      第3回となる本稿では、サステナビリティ関連財務開示の基礎となるデータ(以下、「開示の基礎情報」)に対する「リスク評価分析およびリスク対応手続」に焦点を当て、具体的な課題とその解決策を、あずさ監査法人およびKPMGあずさサステナビリティが開発した「Sustainability Data Analytics」(以下、「SDA」)を中心に詳しく解説します。


      企業におけるサステナビリティ情報の分析・開示作成プロセスの課題

      企業は子会社等から必要なデータを収集・加工し、作成した開示の基礎情報の分析や開示書類の作成を行います。しかし、多くの企業において、開示の基礎情報に対する分析・検証プロセスが十分に確立されていないことが課題となっています。特に、子会社等から収集されたデータの正確性や整合性を確認する体制が不十分な場合、以下のリスクが顕在化します。

      • 開示の基礎情報の誤りや漏れを適時に検出できない
      • 開示書類の作成時に手戻りが発生し、作業効率が低下する
      • 結果として、適時かつ適切なサステナビリティ関連財務開示が困難となる

      保証人における、開示の基礎情報に対するリスク評価分析とリスク対応手続の課題

      保証人は、開示の基礎情報に対してリスク評価分析やリスク対応手続を実施します。リスク評価分析では基礎情報を指標や拠点ごとの項目別に分析し、開示を誤るリスクが高い項目を検知します。また、リスク対応手続では検知された項目に誤りがないか検証するために、質問や根拠資料との照合を実施します。こうした手続に際して、以下のような課題があります。

      • リスク評価分析において、保証人のサステナビリティ情報に対する分析手法が個人の経験値に依拠する場合、情報を俯瞰して異常点を捉える視点や気づきなどの知見が属人化する
      • リスク対応手続において、リスクが検知された項目に対する手続内容(質問や根拠資料との照合等)が属人化し、保証手続にばらつきが生じる

      保証人のリスク評価分析とリスク対応手続の課題に対するソリューション

      これらの課題を解決するために、SDAは保証人に以下の機能を提供します。


      標準リスク検知シナリオの設定

      エネルギー種別に、特定の閾値を超える変動が発生した際に異常値として検出される「リスク検知シナリオ」を設定する。これにより、検知したリスクに的を絞った保証手続が可能となる。個々の保証業務において標準的なリスク検知シナリオを定義することで、保証品質のばらつきをなくし高品質な保証業務を実現する。


      可視化によるドリルダウン分析

      ダッシュボード機能により、指標ごとや拠点ごとの分析結果が一覧できる。また、ドリルダウン機能により全社レベルからセグメント別・拠点別への掘り下げが容易に行え、効率的に異常点の有無を確認できる。これにより、標準リスク検知シナリオで検知されない、個々の保証業務に特有の異常点の検知を支援する。


      標準質問書の自動作成

      検知されたリスクを適時に伝達するための機能を備え、リスクが検知された項目に対する質問や確認すべき標準的な根拠資料が記載された質問書の自動作成が行える。

      出典:KPMG


      DXがもたらす企業へのベネフィット

      SDAの機能は、保証業務の効率性向上と高品質な保証業務の維持に寄与します。保証業務にSDAを適用することで、企業には以下のアウトプットが共有されます。これらは企業に次のような複数のベネフィットをもたらし、サステナビリティ関連財務開示の高度化・早期化に貢献できると考えられます。 


      リスク検知シナリオや結果の共有

      保証人目線のリスク検知シナリオや、検知したリスクに対する手続結果が共有されることによって、企業の分析・検証プロセスの内部統制強化の参考となる。


      可視化された分析画面の共有

      企業と保証人が同じ分析画面を共有しながら議論することでコミュニケーションが円滑となり、企業の保証対応時間が短縮され、サステナビリティ関連財務開示の早期化の実現につながる。


      標準質問書の共有

      保証手続に必要な情報収集のための標準質問書が企業に共有されることで、企業は質問書を確認し、保証対応に必要な作業を的確に把握できる。また翌年度以降の保証対応において情報収集項目の見直しにも活用できるため、手戻りの防止につながる。

      これまでの連載では、現在のデジタル技術を活用した取組みが、どのようにサステナビリティ情報開示の保証業務の信頼性の向上に貢献するかについて解説してきました。最終回である第4回では、生成AIを活用した保証業務の将来展望について紹介します。


      執筆者

      有限責任 あずさ監査法人
      サステナブルバリュー統轄事業部
      KPMGあずさサステナビリティ株式会社
      SUSアシュアランス事業部
      マネジャー  日髙 祐助  

      有限責任 あずさ監査法人
      Digital Innovation & Assurance統轄事業部
      アシスタントマネジャー 八幡 菜々子

      KPMGジャパンは、社会的課題の解決を通じて、サステナブルバリューの実現を目指す組織の変革に資する的確な情報やインサイトを提供しています。

      KPMGは、企業の中長期的な価値向上の取組みとしてのサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現を包括的に支援します。