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      ハイライト

      1. 調査の概要
      2. Key Findings

      調査の概要

      KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパンは、2012年にその前身組織である統合報告アドバイザリーグループを組成して以来、企業の自発的な取組みである統合報告書の発行を、企業と投資家との対話促進を通じて価値向上に貢献する取組みの1つと捉え、2014年から日本企業の統合報告書に関する動向を継続して調査してきました。

      2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂や、2023年1月公表の「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」により、気候変動影響に関する説明の更なる充実が企業に期待されています。また、2023年9月には自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)から、自然関連リスクと機会の管理と開示のための最終版フレームワークが発行されるなど、自然資本や生物多様性に関する情報に対する利用者のニーズも高まっています。そこで、2024年4月に公表した「日本の企業報告に関する調査2023」で実施した調査のなかから、気候変動と生物多様性に焦点を当て、業種別の分析を加えた本冊子「日本の企業報告に関する調査2023-気候変動および生物多様性の業種別分析編-」を取りまとめました。

      日本の企業報告に関する調査2023」および「日本の企業報告の取組みに関する意識調査2024」と併用いただき、企業報告の取組みに関する現状理解の一助となることを目指しています。


      Key Findings

      1. TCFDが推奨するカテゴリ別定量指標に沿った開示は、「エネルギー資源業」と「銀行業」で進み、一部の指標カテゴリでは80%を超える高い開示率となっている

      TCFDは産業横断的な7つの指標カテゴリに沿った定量的開示を推奨しています。そのうち、GHG排出量を除く6つのカテゴリについては、定量情報を開示する企業の割合は限定的です。しかし、業種別にみると、エネルギー資源業と銀行業では、一部の指標カテゴリで定量的開示が進み、その割合は80%超となっていました。エネルギー資源業のある企業では、気候変動を役員報酬の決定要素の1つとして採用し、その業績連動報酬の割合や評価の重み付けを定量的に開示していました。経営陣が気候変動影響を重視して経営していることが読み取れます。また銀行業では、サステナブルファイナンスの目標額と実績や、気候変動影響の大きいセクターへの貸付金残高等の削減目標と実績を定量的に開示している企業がありました。こうした情報からは、気候変動影響を考慮して投融資判断が行われていることが読み取れます。


      2.GHG総排出量のScope1比率が高いとされる業種の1つ「電気・ガス業」は、Scope1排出量の開示および第三者保証を受ける割合がともに100%であり、報告する情報の信頼性向上に向けた意識が高いことがうかがえる

      統合報告書、有価証券報告書、サステナビリティ報告のいずれかで温室効果ガス(以下、GHG)排出量のScope1とScope2の実績を示す割合はともに96%となり、第三者保証を受けている割合も70%となりました。CDPによれば、セメント、鉄鋼、輸送サービス、電気事業の4つのセクターは、GHG総排出量のうち、Scope1の占める割合が最も高いといわれています。東証17業種において、これら4セクターに類似する業種のうち、電気・ガス業では、Scope1の開示割合と第三者保証の受審割合がともに100%となっており、報告する情報の信頼性向上に向けた意識が高いことがうかがえます。


      3.Scope3は全体では89%が排出量の実績を報告し、29%が第三者保証を受審しているものの、主たる排出源に該当するカテゴリの実績が開示・保証されてない業種があり、改善の余地が見られる

      GHG排出量のScope3(15カテゴリのうちいずれか)について、89%が、統合報告書、有価証券報告書、サステナビリティ報告のいずれかで実績を報告し、29%が第三者保証を受けていました。そのうち割合が最も高かったのは、カテゴリ1「購入した製品・サービス」で、80%の企業が報告し、40%が保証を受けていました。カテゴリ別にみると、その報告と保証受審の割合は、業種ごとに異なる状況でした。それぞれの業種における主たる排出源と考えられるカテゴリについて、報告や保証受審の割合が高く合理的だといえる業種もありますが、そうではない業種もあります。


      4.自然資本・生物多様性に関する目標や実績の開示割合が高い業種は「電力・ガス業」、「素材・化学業」

      生物多様性・自然資本をマテリアルだと判断している、または自然資本・生物多様性に特化したセクションを設けたうえで、自然資本・生物多様性に関する目標と実績をともに示しているのは28%でした。業種別にみると、記載割合が高いのは、電気・ガス業(60%)、素材・化学業(57%)、医薬品業(44%)、商社・卸売業(43%)、自動車・輸送機業(36%)、食品業(33%)、エネルギー資源業(33%)、電機・精密業(28%)の8業種です。サステナビリティ会計基準審議会(SASB)の業種別基準や、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が現在開発中のセクター別ガイダンスを参考に、自然資本・生物多様性に関する影響を検討したうえで、その対応として目標を設定し、その進捗を報告する一連の取組みが一層広まることが想定されます。

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      日本の企業報告に関する調査2023

      気候変動および生物多様性の業種別分析編

      執筆者

      有限責任 あずさ監査法人
      KPMGサステナブルバリューサービス・ジャパン


      KPMGジャパンは、社会的課題の解決を通じて、サステナブルバリューの実現を目指す組織の変革に資する的確な情報やインサイトを提供しています。

      コーポレートガバナンスと関連領域の最新動向について継続的に情報発信しています。

      よりよい企業報告 - Better Business Reporting - の実現に向けた国内外の動向の解説やインサイトを提供します。

      KPMGは、企業の中長期的な価値向上の取組みとしてのサステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)の実現を包括的に支援します。

      財務報告と非財務情報に関する知見を結集し、統合報告で戦略的な開示を実現するための様々なサービスを提供します。

      KPMGジャパングループ各社が発行したサステナビリティ関連の調査・レポートをご案内しています。