形だけで終わらせない「不正検知力」で組織を守る新常識

企業不正の発覚経路として最も多いのは内部通報であることが、Fraud Survey等で明らかになっています。しかし、現実には、通報窓口には、ハラスメントや人間関係の相談が集中するため、重要な通報が埋もれてしまうケースも少なくありません。また、そもそも内部通報制度への信頼がなく、活用の浸透が不十分で、不正の早期発見には結びついていない企業も多く見られます。

重要な内部通報情報への適切な対応ができなければ、不正の初期兆候を見逃し、重大なリスクを招く恐れがあります。内部通報制度は、単なる“通報窓口の設置義務”ではなく、従業員の声を経営課題の改善と組織を守るために活用する重要なリスクマネジメントの仕組みです。

不正の発覚経路の回答割合 Source:「Fraud Survey 日本企業の不正に関する実態調査 」結果に基づき、KPMGが作成

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求められる“世界基準”の内部通報制度(グローバル通報制度の現在地)

近年、世界的に内部通報制度に対する要求水準が高まっています。各国当局のコンプライアンス体制に係るガイダンス文書では、内部通報制度が有効なコンプライアンス体制に必須の要素とされており、多くの日本企業は海外事業の重要性の高まりにともない、グローバル通報制度の整備・導入の必要性に直面しています。

  • 内部通報制度の国際的な規格化(ISO37002)
  • 内部通報者保護等を定めた国内法の整備をEU各国に求めたEU指令の施行

一方、日本でも2025年6月に公益通報者保護法の改正が公布され、2026年度中に施行される予定です。今回の改正では、保護対象となる通報者の範囲拡大や、企業の法的義務と責任の強化が図られます。しかし、世界水準と比較すると、日本の内部通報制度は依然として発展途上であり、今後さらなるギャップ解消への取り組みが求められています。

日本における「通報者保護」の動き(改正公益通報者保護法)

「通報者の保護が十分ではない」「内部通報が十分に機能していない」等の実態を受け、2022年6月1日に公益通報者保護法の一部が改正されました。保護される通報の範囲が拡大し、規制対象となる企業においては、「公益通報対応体制の整備」および「公益通報対応業務従事者の指定」が義務付されました。

海外子会社の「内部通報窓口」の設置の難しさ

海外子会社に内部通報窓口を設置する際は、法規制や文化、従業員の通報に対する心理的ハードルなど多様な課題があります。各国で求められる匿名性やプライバシー保護の要件も異なるため、画一的な制度運用は困難です。KPMGは、グループ行動規範や労使合意をはじめ、現地の法規や実情を踏まえた具体策を提案し、各社で円滑な内部通報制度の整備・運用を支援します。現地スタッフへの教育や制度の信頼性確保策の助言も提供可能です。

グループ全体で実効性を高める内部通報制度の重要ポイント

内部通報制度の実効性を向上するためには、下記事項が非常に重要なポイントとなります。

  • 内部通報制度の独立性確保のための制度設計を行うこと。
  • 内部通報の運営要綱等を整備するとともに、制度を周知徹底すること。
  • 内部通報制度の信頼確保のための施策、従事者に対する通報対応力向上のための研修などを実行すること。
  • 従業員アンケートやフォローアップ制度をはじめとした内部通報制度の評価・モニタリング手法を確立すること。
  • 内部通報情報の重要性判断基準を明確化し、マネジメントに報告する制度を確立すること。

 

内部通報制度の高度化のためのKPMGのサービスの概要

KPMGの強み

■ 豊富な実績とグローバルネットワーク
KPMGは、多様な業種・企業規模に対応した支援実績に加え、世界各国の最新動向や規制を網羅するグローバルネットワークを有しています。日本国内はもちろん、海外子会社やグループ全体の内部通報制度構築にもワンストップで対応可能です。

■実効性を重視した制度設計・運用支援
単なる法令対応にとどまらず、不正検知力を高める実効性のある制度づくりや運用、社内への定着化まで一貫して支援します。

■ 高度な専門性をもつプロフェッショナル
不正対応やリスクマネジメントに精通した経験豊富な専門家が担当し、最新の法改正や国際基準にも迅速に対応。各社の実情や課題に合わせた最適なソリューションをオーダーメイドで提供します。

■トータルサポートと継続的改善
現状診断から制度設計、教育・研修、モニタリング、継続的な改善まで、一貫したサポートが可能。変化する社会的要請や法改正にも柔軟に対応し、持続的なガバナンス強化をご支援します。