労働人口の減少と過労死防止に向けた規制強化により、企業には厳格な対応が求められています。違反時の罰則も重くなっており、勤怠管理は重要な課題です。さらに、リモートワークやフレックスなど働き方の多様化により、従来の勤怠システムだけでは実態把握が難しくなっています。
KPMGは、内部監査におけるデータ活用の豊富な経験を活かし、各種業務ログを用いた労務監査の高度化を支援します。
法改正と働き方の変化がもたらした勤怠管理上の課題
勤怠管理は人事労務部門の主要な業務ですが、内部監査部門においても、社内規則や法令に則った業務運営の観点から、勤怠情報の正確性とコンプライアンスの確保に努める必要があります。
近年では、労働関連法規の強化により、労働時間、深夜労働、休日出勤などに関する法令違反が企業にとって重大なリスクとなっており、労働基準監督署からの指導や罰則の可能性も高まっています。さらに、リモートワークの普及もあり、従業員の自己申告に依存した従来の勤怠管理では実際の労働負荷を正確に把握することが難しくなっており、多くの企業が課題を抱えています。
【勤怠管理上の課題例】
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課題解決の方向性:業務ログの活用
従業員が日々の業務を行うなかで、PCの起動、メールやチャットの送受信、各種システムでの申請・承認等の操作により、多くのログが自動的に生成されます。これらのログは企業内に蓄積されており、適切に活用することで、より高度な勤怠管理が可能になります。活用するログの種類によっては、単なる勤怠状況の実態の把握にとどまらず、リモートワーク実施日の管理や残業時の休憩取得状況の確認なども行うことができ、法令や社内規則への準拠状況の確認に役立ちます。
また、内部監査部門と人事労務部門とが連携しながら、これらのログをそれぞれの立場から確認・分析することで、会社全体として勤怠管理の精度と信頼性を高めることができます。
重要視するポイント(1):リスクアセスメント
労働人口の減少により、限られた人員で効率的に業務を進めることは、内部監査部門にとっても重要な課題です。
KPMGでは、まず社内統制の状況を把握するために、勤怠管理に関する社内規則、業務フロー、システムの運用状況を確認し、リスクを洗い出します。次に、それぞれのリスクについて、発生の可能性と影響度を定量的・定性的に評価し、優先順位をつけます。
その際、これまでの知見を基に、データ分析の活用が有効と考えられる領域も提案します。このアプローチにより、リスクの高い領域を優先的に監査対象とすることができ、限られたリソースのなかでも、より効果的な監査の実施が可能となります。
重要視するポイント(2):データブレンディング
勤怠管理のモニタリングにおいて、異なる種類のデータを組み合せる「データブレンディング」を実施したいと考えているものの、その手法や分析結果の品質をどう担保するのかに不安を感じ、実現に至らない企業は少なくありません。
KPMGではこれまでの豊富なデータ活用経験を基に、企業が保有する勤怠関連データを確認し、結合可能なデータの見極めや、必要に応じたキー項目の作成を通じて、より多くのデータを統合・活用できるよう支援します。
データブレンディングは、正確な勤怠把握に役立つだけでなく、システムの操作履歴やチャット・メールの送信履歴などを組み合せることで、勤怠記録と実際の業務とのズレの要因を特定できる可能性があります。こうしたデータ活用は、法令対応だけでなく、過重労働による健康被害や人材流出、生産性の低下といった経営課題へのアプローチにもつながります。
KPMGの内部監査向けデータ活用支援
KPMGは、内部監査・内部統制に加え、データ分析やデジタルツールの活用、リスクマネジメントなど多様な領域での支援実績を有しています。これらの知見を活かし、企業の内部監査業務におけるデータ活用を推進するアドバイザリーサービスを提供しています。
(1)データ活用ロードマップの策定支援
・監査プロセス・システムの運用状況・データの調査
・人材計画の策定/ツールと環境の選定
(2)データを活用した内部監査の実施支援
• 分析テーマ検討/データ監査手続の策定
• 往査の実施/発見事項の検討/データ監査報告書の作成
(3)データ活用人材の育成および態勢構築支援
• 内部監査規程・データ分析マニュアルなどの整備
• データ活用人材のスキル定義/研修の企画と実施
• モニタリング態勢の構築/2線へのモニタリング業務移管