近年、製品製造時における品質検査のコンプライアンス違反がニュースなどで大きく取り上げられており、内部監査には、品質管理・品質保証に関するガバナンス体制を監査することに加えて、製品の製造過程における品質コンプライアンス違反の兆候を把握することが求められています。

KPMGは、品質コンプライアンス違反に関するデータ監査の実行支援を通して、監査業務の高度化・効率化を支援します。

データを活用した監査手続

製造業における品質領域の監査では、品質検査データに加えて関連する業務データが活用可能なため、データを活用した監査が有効です。コンプライアンス違反の過去事例や製造過程を把握したうえで、各業務プロセスにおいてどのようなリスクが存在するのかを検討し、分析に必要なデータを特定することが重要です。

品質コンプライアンスに関するデータ監査支援_図表1

品質領域に関するリスクシナリオの例

受注から販売までの業務プロセスのうち、品質領域に関するリスクシナリオの例を各プロセスごとにまとめた表が以下です。分析したいリスクシナリオごとに必要なデータ種が異なり、データ品質によってデータ分析の深さが変わるため、まずはデータ取得が可能な範囲から検討を始めることを推奨しています。

プロセス例 データ分析が可能なリスクシナリオの一例 分析に必要なデータ種の例
受注 売上目標を達成するために、無理をして短納期の案件を受注する 受注データ
生産計画 受注を獲得するために無理な生産計画を立てる 生産計画データ、指図データ、製造データ
調達 コスト削減のために非正規の原材料や取引先を利用する 調達データ、単価マスタ
製造 品質基準を達成することが難しい状況で、検査結果を改ざんする 検査データ、在庫データ、検査マスタ
販売 製品について顧客から特定のクレームがあり、返品率が増加する 販売データ、クレーム情報

データ監査手続の例 1:(製造)検査結果の改ざんリスク

検査結果データを分析することで、「結果が正規分布になっていない」「基準値付近に結果が集中していない」等の疑わしい兆候を検知することが可能です。分析結果から、コンプライアンス違反が疑われる工場やチームを効率的に選定し、ヒアリングや監査手続を実施することができます。

品質コンプライアンスに関するデータ監査支援_図表2

データ監査手続の例 2:(調達)非正規の原材料や取引先を利用するリスク

現場が無理なコストカットを強いられる状況下にて、承認を得ないまま契約時の基準よりも品質が低い原材料や未認可の取引先を利用することがあります。調達データに含まれる原材料の仕入単価を時系列で分析することで、リスク兆候の検知が可能です。単価の急激な変動や極端に低い単価の原材料が検出された場合には、原材料や取引先を不正に変更していないかを確認するため、調達担当者や関係者へヒアリングを実施します。

品質コンプライアンスに関するデータ監査支援_図表3

データ監査手続の例 3:(生産計画)無理な生産計画を立てるリスク

製品受注を確実にするために、稼働率の適正範囲を超えた無理な生産計画を立てることがあります。このようなリスクについては、生産計画と指図データ・製造データ・労務データなどを突合することで、データ間の不整合を確認します。たとえば、標準工数に対して検査実績工数が有意に少ないなど、意図的に検査工程を省略している場合や、過度な残業により短納期での出荷を強いられているなどの事例があります。計画と矛盾する業務プロセスを把握することで、効率的に監査手続を設計できます。

品質コンプライアンスに関するデータ監査支援_図表4

KPMGの支援

KPMGは、データ監査に必要なプロセスを一貫してサポートすることに加え、従業員がデータ監査に必要な知識やスキルを習得できるように支援します。初回はKPMGがリードする形でデータ監査を実行、2回目以降は従業員がリードおよびKPMGがサポートする形で複数サイクルを実施し、安定した内製化を推進します。また、2回目以降のサイクルではKPMGが従業員によるデータ監査状況を定量的に評価することで、業務の高度化・効率化を促します。このように、KPMGはデータ監査手続の設計や実行支援だけでなく、データ活用推進のための人材育成やプロセスの構築など、幅広い領域を支援しています。

【データ監査の実行支援プロセス例(初回:KPMGがリード)】

品質コンプライアンスに関するデータ監査支援_図表5

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