近年、国際輸送を取り巻く環境は一層複雑化し、不確実性が高まっています。地政学的には地域紛争や大国間の対立、保護主義の台頭などによる世界の分断、経済面では供給制約や資源価格の変動、自然災害など複数リスクの発現が顕著です。また、金融政策や通商・税制の変動が、企業活動に不安定要素をもたらしています。
KPMGはこうした状況下において、「途切れない国際輸送」を支える柔軟な体制とオペレーションの構築を支援します。
国際輸送に影響を及ぼす不確実性の高まり
日本の国際輸送は海上輸送が大半を担い、特に「太平洋航路」「アジア-欧州航路(スエズ運河経由)」 「東南アジア航路」といった主要ルートに依存しています。そのため、運航障害が発生した際の影響は甚大です。リスクの発現例として、中東・紅海における大型船舶の座礁や武装勢力による商船への攻撃、欧米主要港のストライキ、ロシア・ウクライナ情勢やイスラエル・ハマスの緊張などが挙げられます。さらに、気候変動による影響も深刻で、渇水によるパナマ運河の通航制限といった事例も見られます。日本にとっては、南海トラフ地震や台湾有事等のリスクも深刻です。
これらのリスクの顕在化により代替ルートに貨物や船舶が集中し、結果として混雑や遅延など二次的な障害も生じます。このような状況下において、特定の幹線輸送ルートに過度に依存し続けるリスクについて改めて見直し、対策を講じる必要に迫られています。
【日本の貿易量における海上輸送の割合】
出所:公益財団法人 日本海事センター作成「SHIPPING NOW 2025-2026」を基にKPMG作成
国際輸送の不確実性への対応における課題
不確実性の高まりを背景に、リスク分散やBCP対応力の強化に向けて段階的な取組みを進めることが求められています。しかし、多くの企業では実証輸送さえ実施せず、あるいは実証輸送を行っただけで終わってしまい、開発したルートに係るその後の継続的な利用や改善につながっていないケースが目立ちます。結果として、有効なBCP対策ルートの確保や複線化、そしてそれらに対応したTo Be業務プロセスや業務ルールの整備が進まず、課題が残ったままとなっている状況が散見されます。
KPMGの支援
不確実性への対応力を備えた国際輸送の実現に向け、ステップ0〜8までの段階的な取組みを支援します。まず、柔軟な対応の前提として貿易関連業務の標準化を進めます(ステップ0)。次に、不確実性に関わるリスクの洗い出しと影響分析(ステップ1)、代替ルートの調査と実証輸送(ステップ2〜3)を行い、各ルートの特性と課題を明確化します。そのうえで、複数ルートの併用ガイドライン、貿易業務におけるBCP発動基準、ルートの切替えルールを整備(ステップ4)し、モニタリングとコントロール体制を構築します。
また、その情報基盤として、必要に応じリスクモニタリングツールの設計・開発(ステップ5)を進め、情報の一元化と分析精度の向上を図ります。さらに、輸送ルートの分散化の実現(ステップ6)、他社との共同化による輸送の高度化(ステップ7)、定期的な点検と改善(ステップ8)を重ね、持続的にレジリエンスを高めていきます。
【実行ステップおよび支援内容】
支援実績に基づくサポート
実際に実証輸送を行うことで、ノックアウトファクターと言える要因を含め、多くの課題が明らかになります。
不確実性が高まる状況下において、リスクへの対応は喫緊の課題です。重要なのは、これらの課題の低減や解決に向け、実効性のある方法論に基づき着実に取り組むことです。
実行ステップにおいては、取組みを実証輸送で終わらせず、平時から複数ルートを併用し、有事の実効性を確保していきます。
【実証輸送により明らかになる課題の一例】
クオリティ |
サービス品質 |
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プロセス |
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外部環境 |
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コスト |
事業性 |
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デリバリー |
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リスク |
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