昨今のデジタルテクノロジーの革新を背景に、多様化・複雑化するビジネスへの最適な人材配置の実現は、企業の競争力向上のための主要経営課題と言えます。企業は、業界や市場動向の変化等の外的環境変化に対応する構えをとる必要があります。
KPMGは、多様化する人材と業務の最適なマッチングを実現するHR-Tech AIソリューション“Kc-HERO®※” を開発しました。人の価値を適切に見出し、企業にとって戦略的な配置の実現を支援します。
人事業務を取り巻く環境の変化
外部環境のさまざまな変化によって、現状の人事業務は従来よりも複雑かつ多くの課題を抱えています。組織・人材面の課題 解決は、企業の成長における重要な要素の1つです。
このような状況において、各社はこれらの課題へのチャレンジを迫られています。
【社員配置検討業務への課題と影響】
課題 | 影響 |
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増加する人事情報 | • 確認すべき情報の量が増えるなか、配置検討を行う人事担当のヘッドカウントは従来のまま • 雑化した人事情報、事業内容の特性を正しく理解し、限られた時間のなかで戦略的な配置検討は困難 |
表面的な情報のみでの配置判断 | • 有用な情報が大量にあるにもかかわらず、出身学部・専攻や希望業務、面接時の印象等といった表面的な情報での配置検討となりミスマッチが増加 |
配置基準にバラつきが生じている | • 量的な問題や時間的制約により、人手での配置作業では、データドリブンな配置を行うことは困難 • 担当者ごとの主観、経験則といった暗黙知による配置 |
配置根拠の説明が困難 | • 配置対象社員や組織、経営層への配置理由の説明機会が増加 • 主観や暗黙知で人を配置した場合、配置根拠の説明は非常に困難 |
AI技術“自然言語処理”を活用したKPMG独自のアプローチ
KPMGは、“自然言語処理”の活用により、社員一人ひとりの特徴や各部署の行っている業務の特徴を抽出し、それら特徴同士を突合することで、最適な配属のマッチングを実現するHR-Techソリューション「Kc-HERO」を開発しました。Kc-HEROを活用することにより、従来人手で膨大な時間をかけて実施していた作業が自動化され、大幅な効率化が実現できます。また、膨大な人事上のビッグデータを全量分析し、データに基づいた検討が可能となり、配置業務の高度化が期待されます。
【Kc-HEROのアプローチ】
Kc-HEROの特徴
自然言語処理の活用
自然言語処理の活用により、企業の中に自然文で存在している情報を分析のために加工することなく、そのまま分析することが可能です。
人の情報:履歴書、ES、レポート、社内SNS など
組織の情報:事業計画、所属メンバーの業務報告書 など
全量データ分析
企業が所有している大量の組織情報および業務情報を瞬時に分析することが可能です。人手では一部の表層的な情報のみしか確認できなかったところが、全量データを踏まえて分析ができるため、人では把握することのできない人と組織の相関、驚きの一手となるマッチングが期待できます。
個別要件の組込み(柔軟な拡張性)
Kc-HEROは、オープンソースソフトウェアを組み合せて開発されたKPMGのオリジナルAIです。そのため、一般的なAIサービスと異なり、複雑な個別要件の組込みが可能です。業務をAIの仕様に合わせるのではなく、個別要件の組込みにより各企業の業務に対し最適化することで、“使える”AIを提供します。
レコメンド根拠の可視化
一般的なAIは、レコメンドの根拠がブラックボックスとなる ことが多いですが、Kc-HEROは、レコメンド結果と併せて根拠 まで可視化することが可能です。配置根拠の説明が容易になり、また人の配置に対して普遍的な判断基準を打ちたてることが期待できます。
Kc-HERO活用により期待できる変革
業務効率化
従来、人事部と各業務部で多大な工数をかけて議論を行い、配属案を作成していたのに対して、Kc-HERO活用により配属案の初版作成が大幅にスピードアップし、人事部および各業務部は分析結果の確認・微調整のみで配属を決定することが可能になります。
業務高度化(Wow!の提供)
人手では確認できていなかった情報まで分析可能になるため、驚きの一手となるマッチングが期待できます。また、これまで考えつかなかったマッチングであるものの、レコメンド根拠を確認することで納得感をもった意思決定が可能になります。
参考事例 大手製造業A社のケース
従来、技術職新入社員の配置先を検討する際には、人事担当者が手作業で膨大な人事情報の文章より新入社員の特徴を把握し、配置先検討を行っていたため、多大な工数を要していました。
また、配置先部署で必要とされる専門性も多様化・複雑化しており、個々の専門性を正しく把握した適切な配置は非常に難易度の高い作業となっていました。
KPMGは、この課題に対しKc-HEROを活用し、新入社員配置業務の大幅な効率化・高度化実現の実証検証を開始しました。
Kc-HERO活用の成功シナリオ
AI活用の要諦は、業務への定着化を図るところにあります。KPMGは、AIを単なるツールとして導入するのではなく、人事業務におけるコアな課題を識別し、AIを活用して解決することで、人事業務の抜本的な改革実現が可能であると考えます。
そのためにKPMGは、実際に業務に活用できるAIを確立するのみならず、最大限AIの効果を享受することを目指し、業務変革を支援します。
※Kc-HEROはKPMGコンサルティング株式会社の日本における登録商標です。