RPAには、定型事務作業を自動化するものと、AI等で高度な知的処理を自動化するものがあります。定型作業の自動化については、以前から効果が実証され実用段階に入っていました。他方で、人間のみが対応可能と思われていた高度な作業や知的処理も、昨今は、AIやロボティクスといったテクノロジーによって、「デジタルレイバー(仮想知的労働者)」として実施することが可能になりました。RPAの活用に取り組む企業が増えつつあります。
RPA活用のインパクト
- 品質向上への貢献
RPAは事務処理業務全般と親和性が高く、人間に比べ継続的かつ安定的に業務を実施することが可能であるため、エラー・事務ミスが激減し、タスクの品質向上につながります。 - スピードへの貢献
RPAはデータ編集、画面操作等の作業に物理的なキーボードやマウス操作が伴わないため、人手の数十から数百倍の速さで作業をこなし、業務実施スピードが圧倒的に速くなります。また、導入・変更対応のスピード、効果創出までのスピードも向上します。 - 効率化への貢献
RPAにより人間の介在が不要となるため、リソースの制約をほぼ受けずに作業の多重実行が可能となります。結果として、人件費格差や標準化を元にしたBPO等によるコスト削減は15~30%が限界と言われている一方で、RPAでは40~70%※のコスト削減が可能となります。
(※KPMGのプロジェクト実績より)
RPA活用例
- 部門・企業全体へのRPAの活用
RPAは一部の個別業務だけではなく、企業全体の機能における業務に対して網羅的に親和性が高く、活用可能性が非常に高いと言えます。例えば営業業務においては、受注から売掛金の計上および回収まで、End to Endで自動化することが可能となるため、企業全体での横断的な導入の検討が必要と考えられます。
某自動車メーカーでは、RPAをグローバルシェアードサービスセンター内の買掛金業務に導入し、自動化しています。その結果、定型作業時間が約65~75%減少し、エラー数の削減により作業品質が向上しました。 - 一部非定型作業の自動化
RPAは定型作業のみならず一部非定型作業の自動化にも対応し、自然言語等の非構造化情報処理も可能となります。非構造言語を読み取り、知識ベース(ナレッジDBや大量ソース)を活用した問合せに対する回答、データ分析等を実施することができます。
コールセンターの質疑対応サポートにRPAを導入したケースでは、精度の高く素早い質疑応答を実現し、顧客からの信頼性向上に貢献しました。
KPMGの標準アプローチ
RPAは、業務やビジネスのあり方を大きく変える可能性があります。RPAツール導入の視点に加えて、業務改革の視点も取り入れ、さらなる効果を発揮します。
期間としては、「将来構想および効果検証フェーズ」に6~8週間程度、また「RPA本格導入フェーズ(導入立上/仕組み化/高度化)」に約3~9ヵ月程度かけます。本格導入フェーズでは主に、運用管理機構の構築、RPA構築・運用の推進、RPA組織/人材育成推進、運用管理機能の高度化を行います。またその後も、モニタリングと継続改善を支援します。
そのほかの活用例
- 金融・證券会社「管理業務のRPA化」
バックオフィス全業務をスコープにした、業務のロボ化を推進。 - 医療系メーカー「工場生産性の向上」
業務のRPA自動化×シェアードセンター価値の再定義を軸に、これからの“全社間接業務推進プラットフォーム”を構築。 - 精密機器メーカー「HQ改革とグローバルBPR」
国内本社(GHQ)とリージョンHQの役割・権限・機能の再定義と並行してRPA×SSCを活用した間接業務のグローバルBPRを推進。 - 事務用品メーカー「商品企画プロセスのBPR」
商品企画~マーケット投入までの主要プロセスにフォーカスしたRPAをレバーにしたBPRを推進。 - 印刷会社「自社BPOサービス力強化」
派遣・契約社員業務のRPAシフトによるコスト構造改革を図ると共に、オペレーションスピードの向上も含めて推進。 - オフィスソリューション販売会社「人に依存しないセールスプロセス構築」
人によるプロセスからデジタルプロセスへ抜本的に変革。当該業務改革と並行して、RPA化出来る業務は徹底的にロボ化。 - 医療機器メーカー「輸出入(SCM)業務改革」
RPAを用いて輸出入業務を可能な限りロボ化。人でしか出来ないFWD交渉等以外はBPRも伴いながら業務改革。 - OAメーカー/事務用品メーカー「マネジメント意思決定オペレーション改革」
RPAが得意とする情報収集・集計等のタスクはすべてロボ化し、人の意思入れ前までをスピーディーな姿に変革。