生成AI活用の高度化に向けた推進ロードマップ策定

生成AIの活用は、これまでの取組みの強化につながる高い可能性を秘めています。しかし、スピーディかつ抜本的な変革や成果が求められるなかで、生成AIの最大限の成果を得るためには、ユースケースやテクノロジーにとどまらず、戦略、プロセス、人材、リスク・ガバナンスなど包括的な視点で将来を見据えて推進していく必要があります。

KPMGは数多くのデジタルトランスフォーメーション（DX）や生成AI推進支援で得た知見を融合し、生成AIの活用による企業変革を強力に支援します。

生成AIの活用による成果は、「従業員」「顧客」「経営層」「市場」それぞれに寄与します。多くの企業は、従業員の負担削減や品質向上による業務生産性の向上、顧客への新たな価値提供、迅速な意思決定につながる経営への情報提供、技術リーダーとしての自社の対外アピール等、企業価値向上や競争優位性の確保の実現を目指しています。

【生成AIの活用で実現したいこと（例）】

生成AI活用の実現には、網羅的な検討アプローチと具体的な実行計画の策定が不可欠です。KPMGが有する「生成AI活用の高度化に向けた検討フレームワーク」では、検討するべき重要な観点を「生成AI活用戦略」「ユースケースの選定～開発プロセス」「アーキテクチャ」「体制、人材」「リスク、ガバナンス」「パフォーマンス分析、洞察」の6つの要素に分解しています。

（1）生成AI活用戦略

事業戦略やデジタルトランスフォーメーション（DX）戦略と整合し、市場動向も考慮した生成AI活用戦略を立案します。その際、長期的視点で、全社や事業部の目標達成に寄与する創出価値（活用目的・目標）や目指す姿なども考慮します。

（2）ユースケースの選定～開発プロセス

生成AIのライフサイクル全体で品質・コスト・納期を最適化し、再現性のある運用を標準化するため、ユースケース選定、設計、開発、運用管理に係る一連のプロセスや成果物を定義します。ビジネスニーズであるユースケース選定においては、既存業務への活用だけでなく、新規ビジネスモデルでの新たな価値創出も含め、貢献度・業務カバー範囲（広さ・深さ）が考慮されたユースケースの発掘、選定、優先順位付けの基準を整備し、ポートフォリオの最適化につなげます。

（3）アーキテクチャ

将来のビジネスニーズに対応できる点も考慮しながら、「生成AI基盤の拡充」「ソリューションを組み合わせたアプリケーションの全体設計」「ユースケースに活用できる業務データの統合や標準化」を進めます。また、外部に開発委託する際の委託範囲や、品質・コストを高め納期を順守する委託先マネジメント方法も定義します。

（4）体制・人材

全社への生成AI導入やユーザー利活用を促進するための推進体制、役割分担、スキルセット、人員構成および優秀な人材リソースの確保、各担当のスキルを高め維持する方法を定義します。

（5）リスク・ガバナンス

生成AIの固有リスクに対応する管理態勢構築・強化やルール策定などのガバナンスを整備し、従業員や外部パートナーへ継続的に教育・啓発し、ルールに基づく運用継続を進めます。

（6）パフォーマンス分析・洞察

期待する効果の定義および、信頼・活用できる分析元データ（ログなど）を整備し、企業価値を創出する意思決定につなげる分析、モニタリング・レポーティング、改善活動の仕組みを構築します。

これらの6要素を基に、網羅的な視点を持ちながら企業の取組み状況や課題にあわせて重点テーマを定め、生成AI活用の変革ゴールやロードマップ、アクションを明確化・再設定します。明確化したロードマップ・スケジュールに則った推進により、生成AI活用の成果を企業価値最大化につなげます。