生成AIの急速な進化に伴い、AIとデータの管理・統括を担うChief AI Officer(CAIO:最高AI責任者)の設置が、世界中の企業で始まっています。KPMGは、グローバルで保有する知見を体系的に整理した「AI TOM(AIターゲットオペレーティングモデル)※」 「KPMG Trusted AI」 「DXMO」などのグローバルフレームワークを活用し、企業におけるAI利活用の成熟度診断による課題の洗い出しからAI戦略立案、CoE(センターオブエクセレンス)組織策定支援、プラットフォーム導入、人材育成、ガバナンス対応まで、AI・データの利活用を包括的に支援します。
※AI TOM:AIによる組織変革のグローバルフレームワーク。企業のAI戦略に基づく業務推進・実行するためのあるべきビジネスアーキテクチャにおける論点を網羅的に把握することが可能で、AIターゲットオペレーティングモデルの構築を支える。
多様化・高度化するAI活用への課題
生成AIをはじめとする先進的なAI技術の進化が進んでいます。しかし、AIは従来のIT技術とは異なり、常に一定のアウトプットを保証しない特性や、革新スピードの速さ、ツールやモデルの多様性による選定・評価の困難さ、予期せぬプライバシー侵害やモデルインバージョンアタックによる情報漏洩リスクなど、複雑な課題を内包しています。さらに、導入後には社内外における厳格なガバナンス体制の構築、運用ルールの確立、継続的な改善が欠かせず、AI導入は容易なものではありません。
CAIOの必要性
多くの企業は既存のIT部門やDX(デジタルトランスフォーメーション)部門にAI活用推進を委ねていますが、AIの活用はより専門的な知識と経験が求められるため、専任による管理・統括が望ましいと言えます。そのため、AI戦略立案からユースケース創出、AI投資実行判断、AIリスクのガバナンス整備/運用、AI・データの利活用人材の育成、AI・データプラットフォーム構築、社内外ステークホルダーとの連携などを総合的に担うCAIOの配置が急務となっています。
企業が直面するAI・データ利活用のジレンマとCAIOのミッション
実際にAIを導入し、AI・データ利活用をするにあたり、多くの企業で下記のようなジレンマが散見されます。このようなジレンマに対して、何を優先し施策を推進するかの意思決定を行い、組織全体の戦略的なAI・データ利活用をリードするのがCAIOのミッションです。
「攻め」と「守り」の両立 | CAIOは、企業の競争優位性を確立・拡大する「攻め」と、リスクを最小化し持続的な価値創出を可能にする「守り」の観点を同時に考慮する必要がある。しかし、即座にAI導入を望む「攻め」の要求とセキュリティやコンプライアンス等の「守り」の要求は常にせめぎあい、両立が容易でないというジレンマ。 |
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「多種多様なAI技術の進化に対する目利き力」と「意思決定」 | AI分野は、日進月歩の技術革新と新規ツール/サービスの乱立が特徴であり、CAIOにはこの激流に乗り遅れない情報収集スピードと意思決定が求められる。しかし、従来のガバナンス、承認フロー、予算確保プロセス、法的確認作業などの社内手続きがその阻害要因となるジレンマ。 |
「期待」と「成果」のギャップ | AIの導入は、劇的な効率化や生産性向上、イノベーションが即座にもたらされると思われがちだが、常に期待どおりの結果を出すとは限らない。そのため、投資対効果の試算とその予算化の難易度が上がり、さらに単にAIを導入しただけで成果を導き出せない可能性があるというジレンマ。 |
<9つのCAIOアジェンダ>
KPMGでは、CAIOが取り組むべきアジェンダとして以下の9項目を設定しています。
1.戦略・ビジョン | AI戦略の策定とAIイノベーションの統率 |
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2.マインド変革 | 組織全体におけるAIの理解の醸成とAI利活用の意欲向上 |
3.コラボレーション | 部門横断的な業務改革、外部パートナーとの連携強化 |
4.人材開発 | AI人材の獲得/育成/スキルアップ |
5.情報収集 | 急速に進化するAIの技術動向や法規制への迅速な対応 |
6.予算配分 | 柔軟な予算確保と技術革新/法規制対応への予算再配分 |
7.施策推進 | AI利活用基盤導入およびビジネス価値創出への展開 |
8.リスク管理 | AIリスクの明確化と関連法令や規制との整合 |
9.ガバナンス | AIガバナンスや倫理規定の策定/運用管理 |
KPMGによる支援
KPMG独自のグローバルフレームワーク(AI TOM、KPMG Trusted AI、DXMOなど)を活用して、以下の支援を行っています。
Data & AI CoE組織支援
企業内に組成されたデータ&AI CoE組織に対し、KPMGのグローバルフレームワークを用いて網羅的に課題を洗い出し、包括的な課題解消とCoEのケイパビリティ強化を支援します。
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Data & AI プラットフォーム導入支援
AI・データ利活用に欠かすことのできないプラットフォームの戦略構築、概念設計や導入支援を行います。
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データマネジメント推進支援
企業が抱えるデータを、いつでも誰でも活用できる形に整備することを目的に、データ品質やメタデータの整備、データマートの構築などを支援します。
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データ分析/AI構築支援
企業データの分析代替や、分析結果からのインサイトの創出、生成AIを含むAIシステムの開発を支援します。
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生成AI活用推進支援
各種生成AIツールの全社導入・活用促進、またすでに導入済みの生成AIツールの活用を推進し、全社的な業務効率化を支援します。
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強力な支援体制
本サービスは、KPMGコンサルティングのDXA Data&AI、AIT、KPMGジャパンのアドバイザリー領域におけるデータ戦略、データサイエンス、デジタルインテリジェンスをコアとしたCoE機能を担うKPMGアドバイザリーライトハウス、そして、あずさ監査法人のデジタルアドバイザリー部門と連携しながら企業を支援していきます。