高付加価値化が迫られる国内食品業界~製油・製粉業界における最近の動向を通じて~
製油・製粉業界は、国内業界再編なども含め、長年にわたってコスト削減の取組みを続けてきましたが、一方で、成長と利益確保のために多角化や製品の高付加価値化の取組みを模索してきました。その経緯と高付加価値領域への取組みを考察します。
製油・製粉業界は、長年にわたってコスト削減をする一方で、成長と利益確保のために多角化や製品の高付加価値化の取組みを模索してきました。その経緯と高付加価値領域への取組みを考察します。
食品企業各社は、国内需要減少への対応として、製品の付加価値を高め、利益率を引き上げる取組みを強化し、一方で、消費者は、嗜好の多様化・SDGsへの意識の高まりなどを背景に、「付加価値のある製品」を求めています。
国内食品企業が、国内外における積極的なM&Aや研究開発活動を通じて、高付加価値領域への取組みを進め、ビジネスモデルの転換を図ろうとすることは、国内食品企業の成長戦略にとって、今後ますます重要なものとなります。
本稿で取り上げる製油・製粉業界は、食品素材を提供し、国内食品企業を基礎から支える業界として存在していますが、国際穀物相場の変動を受けやすく、また、油脂や小麦粉といった製品は差別化が難しいという側面を持っています。
製油・製粉業界は、国内業界再編なども含め、長年にわたってコスト削減の取組みを続けてきましたが、一方で、成長と利益確保のために多角化や製品の高付加価値化の取組みを模索してきました。その経緯と高付加価値領域への取組みを考察します。
なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。
POINT 1
食品業界が直面している課題国内食品市場において、中長期的な人口減少を背景とした食品需要の減少は不可避であり、いずれの食品業界もその対応を考える必要性に迫られている。
POINT 2
コスト削減努力を積み重ねてきた製油・製粉業界とも、原料は国際穀物相場などの影響を大きく受ける一方、製品は汎用品が多数を占め、差別化を図ることが難しく、利益率の引き上げに苦慮してきた。業界再編なども実施し、コスト削減に努めてきたが、競争力向上のため多角化、製品の高付加価値化を迫られていたと言える。
POINT 3
高付加価値領域への取組み嗜好の多様化やSDGsへの意識の高まりなどを背景に、消費者が高付加価値製品を求めるニーズは増大している。高付加価値領域への取組みを目的とした成長戦略を策定することが、ますます重要になっている。
目次
I.食品業界による課題への取組み
国内の食品市場をめぐる外部環境変化のうち、中長期的な人口減少を背景とした食品需要の減少は不可避的なものです。
この点、食品業界各社は、需要減少への対応として、製品の付加価値を高めて、利益率を引き上げる方向への取組みを強化しています。一方で、需要側である消費者は、健康志向や植物性食品を重視する食品消費などの嗜好の多様化、SDGsへの意識の高まりなどを背景に、従来と異なる付加価値のある製品を求めており、モノと価値観の双方の観点から消費者の暮らしを豊かにする方向と合致する製品に対しては、多少単価が高くても購入するという傾向も見られます(2020年5月刊 KPMG 「顧客ロイヤルティの真実」参照1)。
したがって、高付加価値製品への取組みは、国内食品企業の成長戦略実現のために不可欠なものであり、かつ、消費者ニーズにも合致したものであることから、今後も、食品企業にとってその取組みの重要性は増していくと見られます。
本稿では、国内食品企業を基礎から支える業界である製油・製粉業界を事例として、高付加価値化が迫られる国内食品業界の動向と今後の事業戦略について展望します。
II.製油業界における高付加価値領域への取組み
1.製油業界の特徴
国内で消費される植物油の大部分は、菜種油、パーム油、大豆油です。そして、菜種と大豆は油糧作物の形態で原料を輸入し、パーム油は精製パーム油で輸入しています。製油企業は、港湾部に建設した大規模な搾油・精製工場を建し、そこで輸入した原材料から国内市場向けの最終製品を製造しています。
2.製油業界のビジネスモデルと課題
製油業界は、原料をほぼ全量輸入する、大規模投資を背景とした装置産業です。そのビジネスモデルは、国内市場で販売活動を行い、製品の輸出は基本的に想定されていません。海外輸出を前提としない理由は2つあります。1つは、油糧種子から搾油を行っただけでは、製品の差別化が困難であること、もう1つは国内において高コストで製造した油脂に価格競争力がないためです。
そして、このビジネスモデルの課題は、(1)世界の穀物取引市場の原料価格や為替の変動を受けやすいこと、(2)本効率性が低いこと、(3)国内成長の他に成長の施策を持ちにくいことです。
加えて、近年では安価な油脂の輸入が増える可能性も生じています。従来、海外からの輸入油に対しては、国内製油産業の保護を目的として、海外からの輸入油に対して、関税が課されてきましたが、GATTウルグアイ・ラウンド農業合意(1986年~1994年)を契機として、その後、輸入関税は削減、撤廃の方向にあるからです。他方で、少子高齢化にて、消費者の健康志向による食用油の消費低迷などを背景とした国内需要の減少が見える中で、製油業界は、再編・合理化やコスト削減に取り組んできました。
図表1 国内の食品業界を取り巻く外部環境と課題
3.2000年代前半の大規模な業界再編
具体的には、まず、2000年代前半に大規模な業界再編が行われました。先述のような製油業界における構造的課題に加え、1990年代後半から始まったデフレ経済下において製品の買い手からの価格引き下げ圧力が高まり、製油業界の収益環境は悪化していました。
そこで、2000年代前半、大手中堅6 社が2社に集約される大規模な業界再編(日清製油、ニッコー製油及びリノール油脂が日清オイリオグループ(以下、「日清オイリオ」という)へ。味の素製油、ホーネンコーポレーション及び吉原製油がJ-オイルミルズへ)が起こり、日清オイリオ、J-オイルミルズ及び昭和産業による寡占市場の形成へ至りました。
この経営統合により、原料調達コスト削減や工場の再編などによる大幅なコスト削減が実施され、一定の価格競争力を確保できたと見られます。
4.業界再編後の2000年代後半における更なる業務提携
その後、2000年代後半には、国際穀物相場が高値を更新し続けたことを受け、再編後の企業間で業務提携が進みました。製油企業においては、費用の6~7割程度を原材料費が占める構造のため、そのコスト増は製油企業の収益を圧迫します。
そこで、2009年に日清オイリオと昭和産業が、生産及び調達コスト削減を目的に、業務提携することを発表するなど業界内での業務提携が相次ぎました。
業界としては、独占禁止法などの規制の許容範囲内で、資本及び業務提携などの取組みを続け、コスト削減とそこから導かれる価格競争力の維持に努めてきたことが理解できます。
5.製油業界内におけるさらなる資本効率化への取組み
さらに、最近では、2018年のTPP11発効による再度の安価な輸入油の増加懸念や、縮小する国内市場を視野に入れて、大規模な製油工場を単独で所有、運営することへのリスク懸念から、製油業界内における資本効率化の動きが見られます。たとえば、2021年に、業界上位2社である日清オイリオとJ- オイルミルズは、搾油工程に関わる新JV設立を検討する旨のリリースをしています。
製油業界は、既に寡占市場であることから、現状以上の大手企業同士のM&Aは想定しにくいですが、搾油という業務プロセスを業界内企業同士で融通し合い、国内での将来に渡っての安定供給を行うことと、単独での多額の工場設備投資の回避をしながら、高付加価値分野への資金投資を行いたいという考え方が背景に存在すると思われます。
6.高付加価値領域への取組み
以上のように、製油企業は、特に製油事業において、同業他社も巻き込んだ業界再編などを通じたコスト削減などの取組みを行ってきましたが、売上高、営業利益の双方からの成長を実現するためには、新しい事業領域、とりわけ高付加価値領域を開拓する必要性に迫られており、これを継続的に模索しているものと思われます。
製油企業が取り扱う植物油の高付加価値領域の製品の方向性としては、主に次のようなものが挙げられます。(1)健康志向に対応したコレステロールや脂肪がつきにくい効果がある製品や、特定保健用食品に該当する製品、(2)においの発生を抑える、酸化劣化が抑制される、あるいは長持ちするなどの調理ニーズに対応した製品、(3)料理に油のままかけるサプリメントのような使い方をする製品、(4)油に調味加工したフレーバーオイルなどの製品、(5)化粧品や食品機械用の潤滑油などに利用される化成品用油脂などです。
これらの高付加価値領域の製品は、健康志向やSDGsへの意識の高まりなどを背景にした消費者のニーズに合致したものといえます。図表2は、食用油の消費者向け領域における油糧種子別食用油の市場規模データですが、主に上記の(1)(3)カテゴリーを含むオリーブ油、こめ油、アマニ油、しそ・えごま油などの油糧作物の油の消費が伸びていることが理解できます。
製油企業が、こうした高付加価値領域の製品への取組みを強化する方法としては、自社の技術・研究開発力などの既存リソースの活用のほか、国内外のM&Aなどを通じた新しい素材・技術・研究開発力などの獲得による新製品・新規事業の開発などが考えられます。
たとえば、日清オイリオは、油脂事業、加工食品・素材事業に次ぐ収益の柱として、高付加価値領域である化粧品用油剤を中心としたファインケミカル事業を挙げていますが、2011年にスペインの化粧品油脂の製造販売会社であるインダストリアル・ケミカ・ラセムを子会社化し、また、2017年には、特に衛生管理分野に強みを持つ子会社であったセッツを完全子会社しました。これらのM&Aは、同社の油脂・油糧事業の平均営業利益率3.0% (2016~2020年度平均)よりも、同7.5%( 同)の高い営業利益率であるファインケミカル事業の拡大を企図した高付加価値戦略に基づくものと見られます。
図表2 油糧種子別食用油の家庭用製品の市場規模データ
III.製粉業界における高付加価値領域への取組み
1.製粉業界の特徴
製粉業界各社は、米国、カナダ、豪州などから小麦などの穀物を輸入し、港湾部の大規模工場で製粉し、主に小麦粉などの原料素材を国内向けに製造・販売しています。必要な原料をほぼ海外から輸入し、一次製品を国内向けに販売する、また、製粉されただけの一次製品では差別化が図りにくいという観点からは、製油業と類似したビジネスモデルとなります。製粉製品(小麦粉、小麦製粉かすなど)の出荷金額ベースの市場は、5,000億円規模でほぼ横這いで推移しています。日清製粉グループ本社(以下、「日清製粉」という)とニップン( 「日本製粉」は2021年1月1日に「ニップン」へ商号変更しており、本稿では以下「 ニップン」という)及び昭和産業の上位3社で市場シェアの70%程度(日刊経済通信社(2018年))を占め、製油と同様に寡占市場となっています。
2.製粉業界のビジネスモデルと課題
輸入小麦の調達は、商社などを経由して政府が一括購入した小麦を、製粉企業が仕入れるという政府売渡制度が実施されており、政府が輸入小麦の価格決定権を持ちながらも、その一方で、売渡価格は、国際穀物相場や為替などに連動して、毎年2回改定される相場連動制が採用されています。
そのため、輸入小麦の国際穀物相場の変動が、政府売渡価格に影響を与え、さらに小麦の販売価格に波及し、概して、政府売渡価格改定後3か月程度経過後に、業務用小麦粉への価格に影響を与えるという流れになっています。小麦は、実質的に政府の管理下にありつつも、国際穀物相場などの変動を直接的に受けるようになっており、製粉企業の収益性は、原材料である輸入小麦の価格変動に左右される構造であると言え、この収益構造も製油業界と類似しています。
また、輸入小麦が政府から製粉企業へ売り渡される際には、国内農業保護のために、マークアップという輸入差益が付加されています。
しかしながら、2018年に発効したTPP11では、主要小麦輸入先である豪州及びカナダ産小麦のマークアップを9 年目までに45%削減するものとし、小麦粉・小麦粉調製品については、域内の関税が撤廃されました。同じく、主要小麦輸入先である米国との間でも、TPPとほぼ同内容の日米貿易協定が2020年から発効しています。加えて、小麦二次加工製品についても、関税が削減あるいは撤廃される方向にあり、小麦・小麦製品に係る国境措置は、全般的に低下しています。それらを受けて、製品の価格競争力の構築とそれを通じた収益性の確保が、課題の1つであることに疑いはありません。
3.製粉業界における業界再編・合理化
製粉企業は、特に製粉事業の価格競争力の確保のために、早くから合理化の取組みを積み重ねてきました。1990年には既に日清製粉、ニップン及び昭和産業の上位3社で市場の60%程度を占める寡占市場の状態にありました。その後、1995年からの輸入小麦の関税化実施がトリガーとなった1991年から1993年と、グローバルでの穀物資源需要の高まりを受けた穀物市況高がトリガーとなった2008年から2009年に、業界内では、小規模ながらもM&Aが発生しました。
また、原材料のほとんどが輸入小麦であるため、港湾部に大規模な工場を持つことが事業の経済合理性に叶っており、内陸部に位置する工場や小規模な工場は、集約の対象として国内工場の再編も進められてきました。さらに、2015年から2017年には、農林水産省による加工施設再編などの緊急対策事業の予算措置が講じられ、事業再編に対する融資や出資が法制化されたことで、大手上位企業による更なる市場寡占化が進んでおり、業界全体として、生産性や工場操業率の引き上げへの取組みが実施されています。
4.製粉企業のオポチュニティと事業多角化
製油業界との大きな違いは、小麦粉の用途が幅広いため、小麦粉を用いた二次製品が多いことが挙げられます。こうした二次製品とその市場規模は、パン類 (1兆6,000億円(工業統計。2019))、めん・パスタ類(1兆2,000億円(同上))、菓子類(1兆9,000億円( 同上))であり、製粉企業には市場規模の大きい多くの対面市場も存在しています。また製粉企業はプレミックスやパスタなどの二次製品を自ら製造することも可能であり、製粉業界は、製粉バリューチェーンの川中への進出機会に恵まれていることが特徴として挙げられます。
その意味で、製粉企業は早くから多角化により高付加価値領域に進出してきたといえます。たとえば、国内最大手企業である日清製粉は、1960年代から事業多角化を進めてきており、足元では、連結売上高に製粉事業が占める割合は4割程度となっています。プレミックス・パスタや健康食品を含む食品事業が同3割程度、中食・総菜事業が同2割程度となっています。また、業界2 位のニップンも製粉事業が占める割合は3割程度、食品や中食事業が6割を占める売上構成となっており、製粉大手企業においては、高付加価値領域を含めた多角化の進捗を認識することができます。
5.製粉企業の海外市場への取組み
なお、製粉企業は、必ずしも海外売上高比率が高い企業が多いとは言えず、その点は、製粉企業のみならず食品産業全般の今後の成長戦略上の課題となっています。日清製粉の海外売上高比率は23%程度であり、国内食品企業の中では決して低い水準ではありませんが、更なる海外成長の余地があることが理解できます。
したがって、高付加価値化と並び、海外市場の取り込みは製粉企業の今後の成長戦略にとって重要です。この点、日清製粉は、主に小麦産地であるカナダ、米国、豪州などの製粉企業の買収を行いましたが、単に現地で売上高を上げるだけでなく、生産地の情報取得、現地生産者や穀物関係会社との関係構築などを目的として、それらのM&Aを行ったと見られます。また、豪州のAllied Pinnacle買収については、経済成長の進行に伴い、食の欧米化が進むASEAN地域での小麦需要を取り込むことも狙っており、今後の成長が期待されます。
6.高付加価値領域への取組みの必要性
以上のように、製粉企業は、小麦の国際穀物相場の影響を小さくするために、製粉事業そのものは合理化を進めて生産性を高め、他方では、事業多角化とそれを通じた高付加価値な製品のラインアップの幅を広げる取組みに努めてきています。
しかしながら、日清製粉の連結営業利益率と国際穀物相場の小麦価格との相関を見ると、負の相関係数が高く、収益性に対する国際穀物相場の影響は依然として大きなものがあります【図表3参照】。
図表3 日清製粉のセグメント別売上高と営業利益率/国際穀物相場の小麦価格の推移
したがって、製粉企業にとって、高付加価値領域への取組みは今後も重要であり、そこに成長の余地があると見られます。
たとえば、図表4は、日清製粉の事業ポートフォリオを分析したものですが、中食・総菜事業のポジショニングは、成長性は高いが利益率が低い領域になっています。そもそも中食・総菜事業は、一般に高付加価値の利益率の高い事業領域として位置づけられていることや【図表5参照】、今後の女性の就業率の上昇、共働き世帯の増加や少人数世帯の増加などのライフスタイルの変化も鑑みるならば、中食・総菜事業などの強化は、同社の成長戦略にとって重要なものと思われます。
図表4 日清製粉の事業ポートフォリオ
図表5 惣菜の利益率(スーパーにおけるその他商品との比較)
この点、日清製粉は、中食・総菜事業の強化施策として、2015年に調理麺のサプライヤーであるジョイアス・フーズを、また、2019年には、既に2012年に資本提携を行っていた総合中食サプライヤーであるトオカツフーズを連結子会社化しました。今後は、健康志向などに対応した高単価・高付加価値な製品の開発や、効率的な生産体制の構築を通じて、利益率を引き上げ、ポートフォリオ上のシェアを拡大させることで、全社を通じて高付加価値事業の占める割合を増やし、全社の収益性に対する国際穀物相場の影響を抑制していくものと見られます。
IV.高付加価値領域への挑戦
ここまで見てきたように、国内の製油業界と製粉業界は構造的に高付加価値化への取組みが迫られている状況にあり、それを継続的に模索してきています。
製油・製粉業界において汎用品への取組みだけでは利益率の向上を目指すことが難しいという事情は、日本企業のみならず欧米企業も共通ですが、欧米企業の中には、代替肉に本物の肉の見た目や食感を再現する植物性油脂由来のサシを開発するなどして成功した製油企業や、高付加価値デンプン製品の開発の強化徹底により営業利益率を大幅に改善させたスターチ企業などの成功事例も散見されます。また、製品供給のみならず、食品企業に向けた技術支援、サプライチェーン構築支援、環境対応支援やマーケティング支援などの高付加価値サービスを提供する事例も存在します。
これらの成功事例に共通することは、顧客のニーズに応えるべく顧客と共同開発を試みたり、高付加価値分野に強みをもつ国内外の企業の積極的M&Aを通じてノウハウや技術を手に入れたり、グローバルな視点から世界各地に研究拠点を置いて製品コンセプト開発、試験、改良提案等を行なったりと、高付加価値領域の強化が、会社の明確な意図と戦略のもとで行われ、従業員の意識と行動にまで浸透しているということです。
日本国内においても、プレミアムビールにみられるような高付加価値ブランドの投入、製品ブランドポートフォリオマネジメントの実行、健康意識の高まりを背景とした乳製品や飲料業界における特定保健用食品の隆盛、保存技術の進歩に伴う品質の高い冷凍食品・レトルト食品市場の拡大など、食品業界が高付加価値領域に取組む契機やビジネスチャンスは広がっています。
日本国内の食品企業においても、会社の明確な意思と戦略のもとで、企業内の既存リソースの活用に加えて、国内外における積極的なM&Aや研究開発活動を通じて、高付加価値領域への取組みを進め、ビジネスモデルの転換を図ろうとすることは、今後の成長戦略にとってますます重要なものとなるでしょう。
執筆者
KPMGジャパン 消費財・小売セクター
パートナー 梶川 慎也